ブロガーズ・コラム
他責的なメンバーはチームの前進を阻害する
起こったミスは誰のせい?
期限を設定して依頼したのに忘れていた、頼んでいたことが思うように仕上がらなかったなど、仕事をする上でミスは絶対に起きます。「ミスが起きたときにまず報告してもらう」というのは非常に重要なことです。では、ミスが起きたあとどのように再発生を防げばよいのでしょうか。
何か問題が起きたとき、原因を特定することが大切、というのは自明のことです。
もちろんそれが誰か1人の単なる「うっかり」であったりもすると思います。性格的に忘れっぽく、期限を守ることが苦手な人もいるかもしれません。(わたしのことですね!)
じゃあその人に「今度は忘れないようにしてくださいね」としつこく言ったとして、一件落着するかというと、ちょっと違う。
自分が何をどうしても変えられないものがあります。
他人の性格だったりタスク管理が苦手、など個人の性質はどうやっても変えられないし、それを起点としたミスはなかなか防ぐことが難しく繰り返してしまいがち。これではいつまで経ってもワークフローが改善しません。
じゃあいったいどうすればいいのでしょうか?
人のせいにしていると何も変わらない
例えば、毎回スケジュールに遅れる人がいるとします。どんなに頼んでも忘れる、遅れる、ほかの仕事との調整ができずいっぱいいっぱいになってしまう。
そういった属人的な性格が原因でミスが起こったときに、その人の性格やスキルのせいにしてしまうのは簡単です。もちろん、それが原因のひとつであることは間違いありません。ただ、「原因特定」と「犯人探し」は分けて考えましょう。犯人を探して「お前が悪い!」と責めるのは気分がスッとするかもしれないし、自分の責任ではないということが判明すれば気は楽になるかもしれません。でも、再発防止にはつながりにくい。
言葉遊びに近いかもしれませんが、「犯人を探す」のではなく「原因を特定」し、「これはどうしても個人の属性によるものだ」とわかったら、相手を責めるのではなく、冷静に、事実として受け止めて、その原因の解決策を議論するようにシフトしてみる。まずはここから始めるといいのかもしれません。
頼まれたことを忘れてしまうならどうやって忘れないようにするか。メモ書きがいいのか、カレンダーに登録するほうがいいのか、それとも毎朝タスクの見直しミーティングをするのがいいのか。原因の特徴がわかれば、いくらでも対策をひねりだすことができます。原因と対策は常にセット。原因が見つかれば、自ずと対策も見えてくるのはないでしょうか。
前進するために、他責的であってはならない
この原因と対策を検討するときに意識してほしいのが、「他責的であってはならない」ということ。
「自責的」と「他責的」という言葉をざっくり説明すると、物事が思うように運ばないときの原因を自分に求めるのが「自責」、他人に求めるのを「他責」と言います。
行き過ぎた「自責」は単なる思考停止であり非生産的ですが、他人とかかわってうまく物事が運ばないとき「他責」してしまうと、なかなか前に進むことができません。
なぜかというと、前述のとおり「他人は変えられない」からです。
......厳密に言えばめっちゃ頑張ってめっちゃ時間をかければちょっとくらいは変わるかもしれないんですけど、あんまり現実的ではないし、自分にも負荷がかかります。
ならまず自分から、自分のできる範囲で変えられる部分を変えてみて、それがワークするかどうかを試してみるほうが、よっぽど生産的だと思いませんか。
かかわる人すべてが目的のため一歩ずつ歩み寄ろう
同じ目的に進もうとするチームが2つあったとして、個人の経験上、絶対に自責的なタイプの人が集まったときのほうが物事がうまく運ぶという実感があります。
なぜか。
自責的な人は物事がうまく運ばなかったときの原因をまず自分に求め、改善できることはないかを探します。自分自身のことは他人より状況や条件をよく理解できているから、変えやすいポイントが発見しやすく、実行に移しやすい。
一方で、他責的な人たちは責任の所在を押し付けあって、誰か「犯人」が見つかれば一件落着。たいした改善策も出ないまま、また同じことの繰り返し。そんな経験はありませんか。
自分は100%、120%完璧にやれている、と思ったとしても、まだ改善できることはないか、と考え続けること。それは「今の自分のやり方」を見直し、「改善するためのアイデア」を考え、「実行可能なタスク」に細分化する、という地道な作業です。
地道かもしれませんが、原因を他人のせいにして思考停止してしまうよりはるかに建設的で、いくらでもやれることが見いだせる、前向きな作業です。
そして大切なのは、「犯人探し」ではなく、「目標を達成するため、いま自分にできることは何なのか」という視点を常に意識する・させること。
誰が悪くて誰が無能、ではなく、「得意不得意がそれぞれ異なるメンバーで目標を達成するため、各人ができることを持ち寄って協力しあう」。
そのために「今、自分には何ができるのか?どんな手助けができるのか?」と考える習慣をつけていくことが、常に前進できるチームを作るコツなのではないでしょうか。
今日はそんな感じです。 チャオ!
イラスト:マツナガエイコ
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執筆
撮影・イラスト
松永 映子
イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。