ブロガーズ・コラム
チームワークは「仲良しごっこ」ではない
【サイボウズ式編集部より】この「ブロガーズ・コラム」は、著名ブロガーをサイボウズの外部から招いて、チームワークに関するコラムを執筆いただいています。今回ははせおやさいさんが考える「本当のチームワーク」について。
春は異動の季節です
こんにちは、はせおやさいです。
春ですね。3月ですね。異動、転職の時期ですね。
みなさまの身の回りでも異動になったり転職してきたり、新たな出会いがあるのではないでしょうか。
さて、新しいチームが組成されたとき「チームワークを発揮して結果を出そう」と言いますが、この「チームワークがいい」というのは具体的にどんな状態でしょうか。
チームメンバーの仲が良く、いつも楽しそうなこと?
チームリーダーに人望があって、全員の気持ちが1つになっていること?
「仲良き事は美しき哉」と申しますが、ビジネスシーンにおいて、「チームワーク=チームの仲が良い」というのは、残念ながら誤った認識ではないかと思います。
改めて考えたい、チームワークとは?
もちろんチームメンバーの仲が良いに越したことはありません。
しかし、会社やビジネスシーンで集まったメンバーが果たすべき責任を踏まえた上で、ベストなチームワークが発揮できている状態、というのを定義してみると、「チームワーク」=「チームのメンバー全員が、目的のためベストなパフォーマンスを発揮できている状態」ではないかと思うのです。
ギスギスして雰囲気が悪く、誰もあいさつをしないという人たちの集まりについては、他者と仕事をするという前提において、チームワーク以前に社会人としての振る舞いに欠けるので今回は横に置いておきますね。
チームワークとは、「お互いが遠慮し空気を読んで、調和することを目的にする」ためのものではありません。自分たちが何のために集められたメンバーで、このチームは何を達成するための集団なのか。そのことを各人が認識し、追求し、遂行する。目的を達成するためであれば、あえて「空気」を読まずに発言をすることも必要で、摩擦は避けられません。
ついやってしまいがちなのは、「チームの和を乱したくないから、自分の意見は胸にしまっておく」というマイナスな謙虚さです。
もちろん、自分が気付いた意見は誰かがすでに発言していることかもしれないし、全員が当たり前のように感じていて口に出すまでもないこと、とされているかもしれません。
そうであったとしても、自分がそのチームのメンバーとして加わっている以上は、脳みその1つとして意見を出すべきであり、たとえそれが他のメンバーの意見を否定することになったとしても、どこからも意見が出されないよりは、反対意見が出ることでより強度のあるアイデアになるほうが、よっぽどいい。
意見やアイデアについて、より多くの目で見て意見をフィードバックするというのは、1人では決してできないことであり、「チームとして働く大きなメリット」でもあるのです。
見るのは「お互いの顔」ではなく「共通のゴール」
では、なぜ「全体の調和」ばかりを気にしてしまうのでしょうか?
おそらくそれは「共通のゴール」設定ができていないからなのではないかと思います。
チームの目的と、メンバー全員で到達すべきゴールが不明確だと指標を見失ってしまい、迷ってしまうと、つい取り組みやすくて、分かりやすい「その場の空気を良くすること」に優先順位が行きがちです。
自分のいるチームの優先度が「みんなで仲良くやること」に行ってしまっているような印象を受けたら、自分たちは何をするチームで何をゴールとするのか、それは誰を幸せに、何をどう変えるものなのか、一度考えて、議論してみることをおすすめします。
チームワークを発揮して、ベストなゴールを決めよう
最後に、チームワークの要となるリーダーの役割についても触れておきたいと思います。
リーダーの役割はメンバーの面倒を見て手助けをするのではなく、仲良しグループの旗振り役になることでもありません。「チームのゴール設定とその浸透」に努めることです。
チームはあくまでフラットであるべきですが、その中でもリーダーとして任命された人の果たすべき役割は、会社全体が目指すゴールを理解した上で、自分たちのチームはそのゴールに向かってどこを担うのかブレイクダウンし、そのために何ができるかを考え、メンバーに伝えること。
ブレイクダウンすることが何より重要で、そこから先は、ぜひチームのメンバーの意見を聞いて、全員の経験と知恵、意見を集めてみてください。リーダーがすべてを背負う必要はありません。リーダーはあくまで会社とメンバーの間をつなぐ「通訳」くらいの気持ちで取り組みましょう。そして集まったメンバーの力を借りて、ベストなゴールを決めた快感をぜひ味わってください。
そんな気持ちで、新しい季節を迎えていただけたらいいなと思います。
今日はそんな感じです。チャオ!
イラスト:マツナガエイコ
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執筆
撮影・イラスト
松永 映子
イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。