Q「成功のコツは?」、A「全要望を叶えようとしないと割り切った」――人事部感動課、400人級の社員旅行を振り返る
サイボウズ人事部「感動課」の福西です。2014年に10年ぶりぐらいにサイボウズの社員旅行がありました。東京、大阪、松山と複数拠点に散らばる400人以上が、北海道、東京、グアムという別の場所を自由に選び、それぞれの場所で合同お食事会をする「選択型の社員旅行」です(前編はこちら)。
後編では、一人で400人規模を巻き込む「選択型お食事会」の実際と、終わってからの振り返りをまとめます。ちなみに感動課って何よ? と一瞬でも思った方は『感動課の不思議な毎日』をどうぞ。
北海道だけで10パターン以上の選択肢
「選択型社員旅行」のはじまりは、3月の国内旅行でした。場所は北海道のニセコになりました。なぜか? 下記から決めました。
・予算的に候補の1つだった宮古島が難しかったこと
・開発メンバーの同期が毎年集まってボード旅行に行ってたこと
・kintoneの(よく鼻血を出す)プログラマーが日報で、国内旅行は北海道にボード旅行とかだとうれしいと書いていたこと
安く予約がとれる3月8日の週末を候補日としました。ボード旅行を考えましたが「あまりボードとか興味ないし…」といった声がちらほら聞こえてきたので、さらに選択肢を増やしたり、いろんなアレンジを加えたりしました。
・金曜日休んで、金土日の3日間の人 :ニセコでたっぷりボードをする人
・月曜日休んで、土日月の3日間の人 :後半は札幌に移動して観光する人
こうしていると、「(感動課は)結構要望を聞いてくれる」といううわさが広まり、最後は国内旅行だけで10パターン以上になってしまいました。70名弱が北海道に行くことが決まっていて、この人数でこれだけのパターン数があったのです。最後の方は1人1人の調整をした方が早いんじゃないかと思うくらいでしたが……。
大きな旅行をとりまとめるときに大事なのは「予算配分」です。今回は航空券と宿泊費、北海道での移動費が会社持ちです。ボードのリフト券なども会社負担としました。逆に、夜の合同食事会と朝食を除くご飯は、すべて社員の持ち出しとなります。
選択型お食事会1:北海道での合同お食事会というメインイベント
僕は感動課として、「合同お食事会」のすべてに参加することが決まっていました。半分参加者、半分添乗員として、まずは1つ目の北海道の合同お食事会に行きました。
みなさんがボードに出かけた2日目。実はその数時間前、僕は空港に戻っていました。この日は土曜日で、東京からの便は1つだけ。空港で松山のメンバーと合流し、そのままニセコに戻りました。
この日の夜は合同お食事会です。貸し切りのレストランで、立食を楽しみました。「普段直接話さない他部署・他拠点の方と交流できて良かった」など、満足コメントが多かったです。
そんな感じで北海道旅行は無事に終わりました。怪我やドタキャンがなかったのでほっとした感じです。
選択制お食事会2:「肉増し!」呪文が飛び交う松山道後
2つ目のお食事会は松山です。4月11日、松山の道後にある温泉付きの松山で有名な料亭で開催されました。
松山は温泉付きにして、社長の青野にも参加してもらいました。派遣社員の方も食事会にご参加いただき、普段あまり話す機会のない方同士が、美味しいものを食べながら会話を楽しんでもらえたと思います。
選択制お食事会3:東京でお食事会
翌週の4月18日、東京・恵比寿で3つ目の合同お食事会を実施しました。お城なような建物で有名なレストランを貸しきりました。こちらは当日の雰囲気を写真でどうぞ。
選択型お食事会4:パーッと使うグアムでフィナーレ
「選択型社員旅行」も残すところは4つ目のグアムだけ。ここまで来ると慣れたもので、段取りもかなりスムーズに進みました。160人ほどが一斉にグアムに行きます。グアム旅行も「金曜日発と土曜日発の2泊3日の人」「自腹で延泊する人」などいくつかのパターンがあり、飛行機は1日で2便(JALとUA)に分かれました。
部屋割りは、基本的に2人部屋で仲の良い人同士になるように調整しました。家族は、コネクトルームに変更したり。部屋のグレードを無料で変更できるサービスもありましたが、他とのバランスを見ながら僕の独断で自由に変えていきました。
旅行代理店の方からは、「役員の方とかの部屋のグレードを上げられます」と言われていたのですが、元々サイボウズでは、役員だからと変に気を使う文化は皆無です。社長にも「社長の部屋を良くしますか? とか聞かれたので、即座にうちにそんな社長はいない! って言ってやりましたよ」と笑い話として伝えていました。
なるべく平等にしようとしても差が生じます。「これは仕方ない」と割りきって色々なところでバランスをとる。そのこと自体を楽しむ。これ大事ですね。
さて、4つ目の合同お食事会のグアムです。場所がグアムになろうと「選択型社員旅行」の工程は変わりません。ほぼ自由行動で、1日だけ夜ご飯を全員で合同食事会とする。これだけです。グアム旅行の食事会では、浜辺で沈んでいく太陽を見ながら食事と会話を楽しみました。途中はダンスなどで盛り上がり、最後にしめのあいさつとなります。
創業者の1人の畑さんのあいさつの終わりに「最後にひとつプレゼントがあります。みなさん浜辺に移動してください」とアナウンスをしてもらいました。移動が終わったところでカウントダウンしました。
この一連の社員旅行のフィナーレを飾るべくグアムの夜空に花火が打ちあがりました。基本花火は禁止されているようなのですが、特別に許可をいただいたんです。「ぱーっと使おう」の象徴が、この花火だったんですね。おかげで予算の残金は1000円ちょっとになりましたが。
社員旅行を振り返って
こうして10数年ぶりの社員旅行は終了しました。改めて、今回のような大規模な社内旅行を取りまとめる際に、重要なことを考えてみました。まずは満足度。高い満足度を得られたポイントは2つだと思っています。
1点目は「それぞれが考えて、それぞれが一番楽しめる方法で参加してもらった」から。旅行を選択制にし、食事会以外のほとんどを自由時間にしたことで実現しました。大半は仲の良いメンバーで行動し、会社の人とはほどよく出会う。このバランスがちょうど良かったのかなと思います。
2点目は「社内のグループウェアで旅行の様子を共有したこと」だと思います。北海道以外の別プランを選んだ社員もグループウェアにコメントをするなど、オンライン上の交流も生まれ、より多くの社員と楽しさを共有できたと思います。「大人数が集まる社内イベントで、全員の満足を求めるのは無理じゃないか」――となかばあきらめモードになることもあります。「全員が満足する」という目標を達成するのは難しく、「より多くの参加者が満足する」という目標に変わり、その葛藤は最後まで続くことになります。
一番大事なのは「楽しませたい」という気持ちと「自分も楽しむ」っていう強い気持ちの双方を持つことです。これがないとみなさん賛同してくれないですからね。「単なる仕事」だと思ったらやっていられなかったと思います。
また大規模な社内イベントで社員の満足度を高めるためには「欲張らないこと」です。「社員全員の要望を叶えるのは無理」としていい意味で割り切りができた後、判断・決断がしやすくなりました。平等にしようとしても結局自分で不平等にしているところもありますし、全員の意見は反映できない。その上で目に見えないバランスを取るのが大事なのだと思います。こう考えないと、後で社内でも説明できないですしね。
最後に
サイボウズ流社員旅行の一番の良いところは。改善して変わっていくことだと思っています。もし今年も予算を達成してごほうびが出る場合は、今回とはひと味もふた味も変わったイベントになると思います。
来年になるのかもう少し先になるか……業績のみぞ知るという感じですが、再び訪れる(であろう)その時を楽しみに、日々の仕事を頑張ろうと思える。そんな社員旅行だったと思います。そのときは軽く「下見とか行くなら手伝いますよ」って言わないようにします。
長々となりましたが、あれこれと考えて工夫・実施したのが、今回の社員旅行でした。大勢が参加するイベントの企画は本当に大変です。でも、目の前で喜んでいる姿が見えたり、お礼を言われたりするので、やりがいのある仕事だと思います。ここだけの話、来年も社員旅行の企画があるようで、来週あたりにまた旅行代理店に向かっているかもしれません。
社員旅行のような大規模のイベントを考えている方に、少しでも参考になれば幸いです。
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