誰にも頼らず、いつも一人で生きていくのは疲れない?──アメリカでサイボウズのチームワークは通用するのか
2016年4月、サイボウズ式編集部大槻がkintone Corporation(以下サイボウズ アメリカ)のオフィスを初めて訪問しました。アメリカ出身の社員2人が「なぜサイボウズという場を選択したのか」「サイボウズのチームワークに対する考え方をどうとらえているのか」について、サイボウズ アメリカの社長を務める山田理とともにお話を聞きました。
ワークライフの考え方を広めることが、ここにいる意味
2人はどうしてサイボウズで働こうと思ったの?
以前はサンフランシスコのCBS(アメリカの三大TVネットワークの1つ)で働いていたの。仕事は好きだったけれど、ジャーナリズムの世界はITの進歩に全然ついていけてないんじゃないかと思うようになって。
ほう。
そこでIT業界でニュースを製作・発信できる会社を探し始めたの。そうして出会ったのがサイボウズ アメリカだったというわけ。
採用面接ですぐにこの会社がもつ社員一人一人の働き方へのこだわりを知って、これを人々に広めることが私の使命だと思った。だから私は今ここにいるの。ワークスタイルムービーも多くの人に見てもらいたいな。
僕はサイボウズに入る前Salesforceにいたんだ。システムが変わるだけで、多くの人の働き方が変わっていくのに驚きっぱなしだった。それで、転職してもビジネス向けのクラウドソフトウェアを専門にした会社に入りたかった。
その中でサイボウズを選んだ決め手はなんだったの?
理念だね。サイボウズは多くの人の働き方だけでなく考え方や風土までもを変える製品を創ってると感じたんだ。それで「よし、乗った!」と思ったよ。
アメリカでだって強がらない。弱みを見せて、助け合えばいい
サイボウズ アメリカは、それぞれがバラバラの得意技を持ち寄って、お互いになんでも尋ね合える場なんだ。だれも「こんなこと聞いたら恥ずかしいかなぁ……」なんて迷ってないよね。いつも「ねぇ、教えてほしいんだけど」って感じで(笑)。
そうね(笑)。
チームワークは、メンバーの強みと弱みをマッチングして創り上げるものなんだよね。僕は話すのが得意だからできるだけ話す機会を引き受けようと思うけど、技術的な話は苦手だから、その部分は技術が得意な人に助けてもらっているし。これがサイボウズらしいチームワークなのかもしれない。
アメリカでも日本でも、弱みを隠して競い合わなければならない時が結構ある。なんでもできるふりをして。2人の以前の職場はどうだった? みんな弱みを隠していたんじゃない?
そうそう、そのとおり!
今競争が厳しくなっているジャーナリズムの世界では特に、自分が攻撃されるのを恐れて弱みをさらせないの。みんな守りに入って、クビにならないよう自分が優れていることをアピールしてね。仕事はできても、性格のキツイ人が多かったなぁ……。
日本を出る前は、日本には助け合う文化、アメリカには個人主義の文化があると思ってた。
どちらもメリットデメリットはあるけれど、アメリカでは「誰にも頼らず、自分1人で生きていかなきゃ」って迫られているように感じることがあるよね。
でもアメリカ人だって常に強くいるってのは疲れるんじゃない? たまには助けあう必要もあるし、たまには弱みを見せたくなる時もあると思う。そんな感覚が一般的になる日がくるんじゃないかな。
よく見てるなぁ(笑)。そのとおりだと思うよ。
100人いれば、みんな違う。多様性はすでに存在している。
僕は日本人で、2人はアメリカ人。こんな感じで、みんな肌の色や人種、宗教とかでわけて、多様性だと言いたがる。
そう。いろいろな集団によって区別している。
でも僕たちはすでに「みんな違う」んだよね。もし日本人だけだとしても、100人いればみんな違う。もちろんアメリカでの多様性はもっと大きなギャップがあるのかもしれない。でも、それはそんなに大きな問題じゃないと思うのよ。
人が集まれば、みんな会社の目標に対するモチベーションにばらつきがあるのは当たり前。大抵の会社では、常に高くあれ、なんて言いがちだけど、サイボウズではそうでなくていい。自分の人生のペースは自分で決める。
これはいい考えだよね。
ありがとう。人は、結婚したり家族が増えたりといったプライベートな環境で、仕事へのモチベーションを変化させるものでしょう。だからサイボウズはどんな距離感も受け入れるんだ。
きっとそれが、多くの人が必要としていることね。
そう。アメリカの多くの企業は株価や利益ばかりを気にしすぎてる。
会社経営とか、モチベーション管理とか、もっと会社側はいいやり方ができそうだものね。雇用する側だけでなく、される側の利益にも立ち返って考えればいいんじゃないかな。
自分が会社から収入以外に何を得られるか、ということを個人も考えていかないとね。
そのとおり。
日本は働き方に関して、たしかに遅れてるかもしれない。でも、アメリカでももっと変化が必要だと思う。だからアメリカでも新しいチームワークのカルチャーを一緒に創っていきたいよね。
文:河崎環/編集:眞木唯衣
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