優しい人ほど説明がまわりくどく、理解のバラつきを生んでしまいがち

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サイボウズ式編集部より:チームワークや働き方に関するコラム「ブロガーズ・コラム」。先月、読者のみなさまからご相談を募集したところ、たくさんのお悩みが届きました(まだまだ募集中!)。届いたご質問やご相談をいくつか取り上げて、ブロガーのみなさまに回答していただきます。今回は、桐谷ヨウさんからの回答です。

ご相談内容


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今回の回答者:桐谷ヨウ。ブロガー、週末コラムニスト。2012年4月、ブログ「My Favorite, Addict and Rhetoric Lovers Only」を開設。一躍人気ブロガーに。現在は複数媒体でコラムを連載中。主なコンテンツは恋愛関係、人間関係全般。


こんにちは、エイコさん。ご質問ありがとうございます。


「口頭で説明する」って難しいですよね。僕は比較的、口が立つ方だと思いますがそれでも「あれ、グダグダになってるわ」と思うことはよくあります(笑)。というか、「自分は説明が得意だ!」と言い切っている人は、独りよがりっぽくてうさんくさいです。

「仕事の仕様・内容の説明」と書かれているので、ここでは口頭のコミュニケーション全般ではなく、「自分から相手に何かを説明する」シチュエーションに絞って書いてみますね。

「口頭で説明する」というステップを分解してみよう

僕が「自分から相手に何かを説明する」ときに大事だと考えているのは、ざっと以下のステップです。

①どこまで相手が理解してくれて、どこから相手が理解してくれていないのか?
②そのギャップはどこで生まれたのか?
③そのギャップを埋めるための言葉を投げかける。
④その上で、何か「ちがう意見」を持っているなら言ってもらう。

これらは以前に書いた「教え上手な人間の特徴をあばいてみた」という記事の内容に近い部分があります。

「とっさに説明しやすいように言葉を作る」ことへの苦手意識は、これらのステップを分解せずに、いっぺんに処理しているからではないでしょうか?

相手が微妙なリアクションをしたとき、あるいは聞き返してくれたときに、ひと呼吸を置いてみるんです。全否定されているわけではないでしょうから、どこかの「引っかかり」が相手の全体理解・部分理解を妨げていることは間違いありません。そこを切り分けていくことで、こちらが「説明すべきところ」も必然的に絞られることになります。

エイコさんが当たり前のように知っている知識を知らないことで相手がピンと来ていないのであれば、それを教えてあげれば相手の理解は自動的に進むでしょう。相手が自分の知識に引きずられて、こちらが伝えたいことが伝わっていないのであれば、そこを矯正してあげればいいでしょう。

一番大切なのは「相手に伝えるべきこと」を絞ること

ともあれ、まずは「相手に伝えるべきこと」を絞る必要があります。それなしにはこちらが余計な頭のメモリを食わされるのは間違いないからです。相手の疑問点はどこなのか? なぜそこに疑問に感じるのか? そこに検討をつけないままに説明するのは、的がないダーツをやるようなものです。

具体的には「どこが引っかかりました?」って聞いちゃえばいいんです。それで返ってきた答えに「自分はこう思ってるのですが、そうではないと思ってるってことですよね? 教えてくれません?」と、いくつか質問をかぶせていくことで、的を絞っていくんです。

なぜか? 疑問を感じている側も、明確に疑問を言語化できているわけではないからです。「なんとなく引っかかる」「なんだかよく分からない」というアレです。

そういったアプローチをすることで、先方も「自分の知りたいこと」が明確になっていきます。そうすれば、こちらが投げかけるべき言葉も必然的に絞られますよね。

言葉を作るときは、自分の意図を「ダイレクト」に伝える

次に「言葉を作る」という意味では、意識するべきテクニックがあります。ここは少し「説明」から逸脱したコミュニケーション全般のお話です。

日本人の素晴らしいところで、「ちょっとまぶしいね」って言ったら「カーテン閉めようか?」ってなるじゃないですか(笑)。でもこれってビジネスシーンにおいてはメッセージ性として、最悪ですよね。非常にまわりくどい。

極端な例ですが、こういったダイレクトでないメッセージのやり取りって結構されてるんですよ。そう、「何を伝えたいか」をシンプルに伝えるのは慣れが必要な領域なんです。特に、人に気を使ってしまいがちな性格の人は。婉曲(えんきょく)的な表現は、まわりくどさと理解のバラつきを生みます。

だから「全体的には分かるけど、ここだけが分からない」であったり、「ちょっと理解できないから、いったん進行を止めてほしい」であったり、「理屈は分かるが、言い方が気に食わない」であったり(笑)、何らかの自分の「意図」をなるべくダイレクトにメッセージとして伝える必要があるんですよね。

つまり、相手に想像の余地を残させない伝え方というのは、コミュニケーションエラーを予防するということです。

とっさに何かを話したときに、意味があることを言えるようになる訓練を

少し話がズレますが、資料だってそうです。優秀な人の資料は、必ず1枚のスライドに1つのメッセージがあります。なんとなくデータを提示しているだけではなく、そのデータが示しているメッセージが必ずあります。(多くの場合は、作成者が語りたいストーリーの意図に沿う根拠)

同様に、自分が何かを話すときには「伝えたいメッセージを込める」ことを意識していくんです。それが「とっさに何かを話したときに、意味があることを言えるようになる訓練」に直結すると僕は考えています。

大体において人とのコミュニケーションでは「同意」「拒否」「もっと詳しく話したい・聞きたい」「もう話したくない・聞きたくない」「話題を変えたい」「スルーする・される」あたりを基本として、それを細分化したものではないでしょうか? そのあたりを意識して、飲み会でメンバーのメッセージの交流を観察してみるのもいいかもしれません。ダイレクトな人、そうでない人が手に取るように分かるはずです。

「自分が思っていることをストレートに言う」=「相手が気を害する」ではない

あとは「口頭でも角なくきちんと伝えられたら」とおっしゃっていましたが、これはもう言い方ですね。上述しましたが、日本人って「お前、その言い方はないだろ」ですべてが台無しになる文化圏じゃないですか。海外だと衝突してからが始まりみたいなところはありますけど。

おそらくエイコさんって人の気持ちを慎重にはかろうとする人だからこういう言葉が出てくると思うのですが、「自分が思っていることをストレートに言う」と「相手が気を害する」ことはイコールではありません。そこは強く意識してみてください。

大体において自分が考えていることを伝えて相手が気を害するのは、「プライドを傷つけたとき」「相手の利益を損ねるとき」くらいです。そこに抵触しそうな部分だけ、マイルドな言い方をしたり、ユーモアのある言い回しをしたり、あるいはビジネスだと割り切ればいいんです。

自分が思っていることを我慢するのは毒です。飲み込むのではなく、どうしたら「相手にスッと入っていくだろう」とテクニックを身につけていく方が、心身ともに気楽です。くり返します。自分がメッセージを発することが角を立てるのではありません。相手のプライドか利益を損ねる言葉をぶつけたときに角が立つだけです。

ここで言うテクニックとは、今日書いた「的を絞る」と「メッセージを込める」と考えてもらえれば大丈夫です。さらに説明というシチュエーションであれば、なぜ自分がこの仕様にしたか分かってもらいたい、相手をバカだと思っているわけではない、というニュアンスでしょうか。

それはともかく、図で表現できるの素晴らしいスキルですよね。個人的にはすごく羨ましい説明方法ですし、まわりも分かりやすいと評価してくれてるはず。今後、エイコさんが「図と言葉」の二刀流で説明するための一助に少しでもなっていたら、すごく嬉しいです。

イラスト:マツナガエイコ

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