誰かを惹きつけている人は、誰かに嫌われている──「人を惹きつける」とはどういうことなのか?

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サイボウズ式編集部より:チームワークや働き方に関するコラム「ブロガーズ・コラム」。以前、読者のみなさまからご相談を募集したところ、たくさんのお悩みが届きました(まだまだ募集中!)。届いたご質問やご相談をいくつか取り上げて、ブロガーのみなさまに回答していただきます。今回は、桐谷ヨウさんからの回答です。

ご相談内容

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今回の回答者:桐谷ヨウ。ブロガー、週末コラムニスト。2012年4月、ブログ「My Favorite, Addict and Rhetoric Lovers Only」を開設。一躍人気ブロガーに。現在は複数媒体でコラムを連載中。主なコンテンツは恋愛関係、人間関係全般。


はじめまして、極楽蝶さん。ご質問ありがとうございます。

いろいろと思われていることがありそうですね。こんなときは僕もスナックの一日パパをやってみて、カウンター越しに極楽蝶さんから直接お話を聞いてみたくなります。

さて、ざっくりとまとめさせていただくと「日の目を見たい」という極楽蝶さんのメッセージを受け取りました。たぶん自分がやっていることを「他人にもっと見てもらいたい! もっと認められたい!」ということなんでしょう。これは恥ずかしいことではなく、当たり前のことだと思います。極楽蝶さんのように、頑張っている人ならばなおさらです。

普段ならば「他人の評価など気にするな!」「己が自分を褒めてあげよ!」とマッチョなことを言う僕ですが、今日はちょっとちがった角度で語ってみたいと思います。

嫌われることを辞さない、恥をかくことを恐れない

人を惹きつけるパフォーマンス──喋り・行動・文章を問わず──には、たしかにコツがあります。そして僕はこれらがそれなりに上手い方です。その大前提には、ふたつの信念があります。

それは「嫌われることを辞さない」という思いです。そして「恥をかくことを恐れない」という思いです。

どういうことか? 人を惹きつけるとひとことに言いますが、「すべての人をパーフェクトに惹きつける人」というのはなかなかいないんですよ。これは僕の得意分野の恋愛コラムでもよく書くことですが、クラスの異性全員にモテるなんてムリです。福士蒼汰さんでも、菅田将暉さんでもムリです。

つまり誰かを惹きつけている人は、誰かに嫌われているんです。目立つというのはそういう側面を必ず持ちます。僕はこれまでに数人ほど”Outstandingな(飛び抜けた)人材”に出会ったことがあります。彼・彼女らは出現する場所で周囲の耳目をさらっていく。そして、強奪した耳目のあとに、各々の口から出る感想はまちまちなんです。

「あの人、ほんと良いよねー!」というポジティブな意見から、「あの人、面白いけど○○だよなぁ」というネガティブな意見まで。そしてだいたいモノマネされたりするんですよね(笑)。傑出した個性があるとは、そういうことなんでしょう。

出る杭が打たれる文化圏において、人を惹きつけるということは必ずディスられます、と。

OK、それがわかったら次に進むとしよう。

目立つ人は、目立たない人が味わう必要のない「ネガティブな側面」を受け取っている

さらに障壁になるのは、「目立っているだけに、失敗をしたときの陰口もデカい」ことです。

これは以前に書いた「上司に『目をかけてもらう』と『目をつけられる』は紙一重」であるという内容に近しいものがあります。
会社や上司の奴隷にならないためには○○をコントロールせよ

極端な例を挙げると、有名人がポカをやると叩かれまくるじゃないですか? それと同じように、会社で目立っている人は、失敗したときに必要以上に恥をかいているんですよ。耳目が集まってるんだもん。

そんなときに「これくらいであきらめない」という鉄のメンタル、あるいは「テヘッ、やっちゃった」というブリッコ。やり方は人それぞれですが、ひっそりとやっていれば立ち向かわなくてもいい「恥」と戦っているんです。要は、目立つということは、目立たない人が味わう必要のないネガティブな側面を受け取っているんですよね。

成功したら派手にアピールできますが(ここだけを見て羨ましがる人が多い)、失敗しても派手にアピールされてしまいます。人目をひくとはそういうことなんです。拡声器をつねに持って活動しているようなもんですから。

これらを理解したうえで、それでも「パフォーマンス力を身につけたい」でしょうか。おそらくそうでしょう。

人を惹きつける人は「ファクト」ではなく「ストーリー」を魅せる

それでは人を惹きつけるパフォーマンス力を発揮している人がもれなくやっていることは?

ストーリーテリングです。たとえば部下から絶大な信頼を集める上司は「このプロジェクトを成功させることで我々はこんな風になれる」であったり、「このタスクをこなすことで君はこんな存在になれる」という中期的なビジョンを与えます。

あるいは優秀なプレゼンテーターはメリットを押し出していません。「メリットによりどんなことが享受できるのか」をプレゼンテーションします。それはファクトではなく、ストーリーです。ドリルを買いたい人は、ドリルそのものではなく穴がほしいのですから。

あるいは雑談であっても。「週末どうだった?」と期待せずとも聞いてみると、思いのほか面白い返しをしてくる人はもれなくストーリーを披露してきます。だいたいは盛っているわけですが、こまかい正確さよりも面白さの方が大事なので無問題です。

おそらく極楽蝶さんが獲得したい「面白い発言」のヒントはここにあります。もちろん切れ味バツグンのパンチラインをブチ込むワーディング力や、機敏にユーモアのある返しをするスキルも関係しています。ですが、僕が見てきた「他人を惹きつける人」は往々にして、ストーリーテリングが他人よりも秀でていることが多かったです。

この視点で「この人うらやましいな(ちょっと憎たらしいな)」と感じる人をまずは観察してみてください。そうするといままで見えてこなかった何かが極楽蝶さんの眼球に飛び込んでくるはずです。

ストーリーテリングと書きましたが、ようは「情報をどのように伝えるか」が重要なんです。いや、すべてです。

誰もが知らないネタを披露できる人はそうそういない。それなりに馴染みのある情報を交換しているのがコミュニケーションです。ではなぜそこに優劣があるように生まれてしまうのか? それは「伝え方」に他なりません。

必要なことは、人よりも一歩前に出る勇気

まとめます。

まずは表にガンガン出ていくことで嫌われるリスクを積極的に取ってください。取りまくってください。腹をくくって、つんのめっても前に行ってください。そして、たくさん恥をかいてください。それが増えていくことが、目立ってきた証拠です。同時に、いままでと同じことをしていても「表舞台」に上がっている実感を得られることでしょう。必要なことは人よりも一歩前に出る勇気です。

そして「面白い話」をしている人が、なぜ他の人が面白いと感じるように話せるのかを積極的に観察して、パクってください。言ってること自体は極楽蝶さんが言ってることと大差がないはずです。どんなワーディングで、どんなフレーズで、どんなトーンで、そしてどんなストーリーでそれを語っているでしょうか? これが手に取るようにわかってくる頃には、自分がそれを試してみるターンです。

どんなアピールの仕方をしようが、極楽蝶さんの素晴らしさは揺るぎないものです。それを前提に、自分の評価のされ方が気に入らないと感じるのであれば、それは自分を変えるチャンスです。いままでの自分ではいられなくなっているのですから。

極楽蝶さんが舞台に上がる勇気を持つ一助になれば、幸いです。

イラスト:マツナガエイコ

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