【ブランドコンテンツ】 東洋経済オンラインとサイボウズ式が始めます
明日、8月27日より東洋経済オンラインとの新しい試みを開始します。
その名も「ブランドコンテンツ」。
8/28追記:第1回記事が掲載されました。
「ブランドコンテンツ」とは一体、何でしょうか?
それを詳しく解説した書籍が8月1日に発売されました。
5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?
東洋経済オンライン編集長、佐々木紀彦さんによる「今後の5年間、日本のメディア業界で起こるであろう激変」について、メディア運営者の立場、そしてジャーナリストの立場から複眼的に、そして海外事例を豊富に交えながらまとめられた本です。
各章では、変化の激しいネットメディア業界に身を置く佐々木さんならではの鋭い洞察が語られています。
第3章のテーマはウェブメディアが今後どのような手法で収益を生み出していくのか。
その中で「ブランドコンテンツという新マーケット」という部分で詳しく書かれています。
「広告を面白くする」ための切り札となり得るのが、第2章でも紹介したブランドコンテンツ(オウンドメディア)、もしくは、企業と媒体のコラボでつくったコンテンツを、ウェブメディア上に掲載するサービスです。メディアが企業に「場所貸し」と「コンテンツ・コンサルティング」を行うビジネスともいえます。
一般的な記事広告との違いは、記事の内容がコンテンツ仕立ててであり、会社の商品やサービスなどの宣伝がほとんど含まれない点です(図表)。
企業は、モノやサービスを直接売るためではなく、ブランディングや業界全体の理解を深めるための記事を掲載します。
ブランドコンテンツの古典的な例が、ミシュランの料理ガイドです。ミシュランの本業はタイヤであり、料理とはなんの関係もありません。しかし、この料理ガイドがヒットしたことで、ミシュランの名前が世界に知れ渡り、タイヤのブランディング、販売にも大きく寄与しました。商品を直接アピールせずに自社のブランドと認知度を高め、長い目で売上につなげる。これがブランドコンテンツの狙いです。」
「こうしたブランドコンテンツ人気の背景にあるのは、従来型の広告の陳腐化と、オウンドメディアの広がりです。今の消費者は、ただ単純に自社商品をアピールするだけでは、目を向けてはくれません。宣伝色が強すぎる広告はむしろマイナスとなります。そのため、ブランドコンテンツでは、できるだけ「オレオレ感」を抑えて、業界全体の話をしたり、間接的に自社製品をアピールしたりします。
たとえばSAPやオラクルのブランドコンテンツでは、同社の社員のコラムからジャーナリストが書いた業界記事まで、多彩なコンテンツが並んでいます。企業の関係者は、自分の会社や業界については記者よりもくわしいケースが多いですから、コンテンツの質という点でもポテンシャルがあります。
コンテンツが面白ければ、企業初の記事でも編集記事をしのぐページビューを記録することもあります。SAPの「子供と教育のための、9つのホットなアンドロイドタブレット」と題した記事は75万PV、「イノベーションを追う:10の戦略的洞察」と題したコラムは38万PVを獲得しています。こうした人気記事は、たとえ企業発のものでもサイトのアクセスランキングに掲載されます。つまり、ジャーナリストにとって、企業発の記事は読者を取り合うライバルになるわけです。」
オンラインメディアにとって新たなチャレンジとなるこの取り組みに、サイボウズ式で取り組みます。
今回の取り組みを開始するに当たり、編集長の佐々木さんにお話しを伺いました。
いよいよ明日から新企画がスタートしますね。そもそもこの「ブランドコンテンツ」を始めようと思ったきっかけは何でしょうか?
大槻
私が、ブランドコンテンツの存在を知ったのは、ちょうど1年ほど前のことです。「今までにはない、画期的な広告商品がアメリカで大ブームとなっている」と聞き、『ぜひとも「東洋経済オンライン」で試してみたい!』と胸が高鳴りました。 どこかかわれわれと一緒に、モルモット役となってくれる企業はないだろか――。そう思っていたときに巡り会ったのが、サイボウズ式編集長の大槻幸夫さんです。
そうだったんですね(笑)。私も最初にお話しを伺って、「これはおもしろそうだ」と感じました。
大槻
ブランドコンテンツに興味を示してくださった大槻さんの元を訪れ、担当者とプレゼンを行ったところ、「面白い、ぜひやりましょう」と即断即決してくださいました。 新しいことには、つねにリスクがつきまといます。何の実績もない商品のポテンシャルにかけてくださった、サイボウズのみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。しかも、コンテンツ作りにあたっては、「本質を突く真っ当な内容であれば、炎上してもOKですよ」と、普通の企業ではありえない(笑)、何とも心強い言葉をいただきました。
そこは普段から東洋経済オンラインを拝見していての信頼感です。炎上というと語弊があるかも知れませんが、間違った内容でもなく、誰かを傷つけるような内容でもなければ、物議を醸す話題の提供というのはメディアの役割の1つだと思います。ご提案頂いて、すぐに動き始めましたね。
大槻
はい。8月末のスタートを目指し、編集部とは別にブランドコンテンツチームを早速立ち上げ、過去4カ月に渡り、編集会議、取材、そして、飲み会に汗を流してきました。そして、そのコンテンツの第一弾が、ついに8月27日にお目見えします。
どのようなテーマになりますか?
大槻
連載のテーマは「こんな働き方があってもいいじゃないか」。未来の働き方を、常識にとらわれない自由な心で追って行きます。執筆は経済ジャーナリストの國貞文隆さん、撮影は今祥雄さんが担当、そのクオリティーは折り紙付きです。ブランドコンテンツのページは、デザインにも徹底して凝りました。編集記事のようにページを細かく分割をしていないため、読みやすさは抜群です。
読みやすさはこだわりポイントでしたね。ネットメディアでこんなシンプルなデザインは、私は初めて見ました。東洋経済オンラインの本気を感じます。これから12月までの4ヶ月間のシリーズになります。
大槻
はい。これから4カ月間、サイボウズ式と東洋経済オンラインのタッグによる連載を存分にお楽しみ頂ければと思います!
ありがとうございました。
大槻
ちなみに、先ほど佐々木さんの本の中で登場していたミシュランの事例については、東海大学政治経済学部の三宅秀道先生の著書「新しい市場のつくりかた」に詳しく書かれています。佐々木さんが書かれているような「認知度を高める」目的というよりは、まだ自動車がどういった使い方をすればわからない世の中に対して、
「あちこちの地方の美味しいレストランを格付けして紹介することで、そのレストラン(当時は多くがホテルも兼ねていたそうです)に行ってみたくなる人を増やそうとした」
という狙いの手法だったそうです。
つまり、新たな技術革新の側面だけを追求するのではなく、商品やライフスタイルを新たに創造するという、いわば「新しい文化を開発する」ための秀逸な取り組みであったと言えます。
サイボウズ式としても、東洋経済オンラインの視点で取材し伝えて頂く事を通して、いろいろな働き方を考えるきっかけをご提供できればと思っています。
さらに予告になりますが、佐々木編集長はどうやって、東洋経済オンラインを競争激しいのビジネス系ネットメディアの中で著しい成長を生み出したのか?
その裏側についてベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会が取材しました。こちらの記事『「マネジメントしない」チームで勝ち取った日本一 東洋経済オンライン、ぼろ負けからの大逆転【前編】』も併せてお楽しみください。
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