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「ドラマとは何か?―ストーリー工学入門」──techな人にお勧めする「意外」な一冊(3)
こんにちは! サイボウズ・ラボの西尾 泰和です。 今年のサイボウズのアドベントカレンダーは「techな人にお勧めする意外な一冊」だそうですね、じゃあ早速行ってみましょう。今回おすすめするのはこちら:
「ドラマとはなにか -ストーリー工学入門-」
意外でしょ? 意外だと思って下さい! っていうか大部分の読者さんはこれを書いている僕がどういう人間なのか知らないわけだから、「はー、この人は文学とかドラマに興味のある人なんだなー」って思うだけなんじゃないか? あれれ、実は「意外な一冊」って要件定義は酷いんじゃないか?
まあいいや。
さてさて、次はこの本をおすすめしましょう。おすすめです!
えっ、おすすめする理由が必要? 「この本を読むと、こういうことに役立ちます」って書くことが期待されている?
うーん、「役に立つ」かどうかってのは、状況次第、人次第なのです。ある本がすべての人に役に立つなんてことはなくて、ある本に書いてあった内容が、ある人にはある状況で「役に立った」ということ。後から振り返って初めて「ああ、あれは役に立ったな」と気づくものなのです。
プログラマ向けにはこういう説明の仕方をすればよいかな。「毎年一つ、新しいプログラミング言語を学びましょう」とものの本には書いてあるそうですね。そうすると新しい視点を得たり、新しいパターンの思考をできるようになったりする、と。でも「毎年一つ、新しいプログラミング言語を学ぶ」と言っても「毎年プログラミング言語ばっかりやってる」じゃないですか。新しい視点に価値があると思うんだったら、「プログラミング言語」という狭い分野に閉じこもるのは良くないんじゃないですか?
新しい言語を学んで役に立つかどうか、事前にはわからないのと同じで、ストーリー工学を学んで役に立つのかどうかは、事前にはわかりません。役に立つかどうかは、状況次第、人次第なのです。だから、僕は本当は「ストーリー工学」をすすめたくはないんです。これがあなたの役に立つかどうかは僕にはわからないのですから。でも「過去の自分」が意外に思うような、新しい分野へのチャレンジって面白くないですか? 僕は面白かったですよ? (了)
西尾 泰和さんのプロフィール:
24歳で博士(理学)取得。1年間のポスドクを経て、2007年よりサイボウズ・ラボにて、知的生産性を高めるソフトウェアの研究に従事。 プログラミング言語の多様性と進化にも強い関心がある。著書・特集に「Jythonプログラミング」「言語設計の基礎知識」「コーディングを支える技術 ~成り立ちから学ぶプログラミング作法」など。
この記事(書籍の表紙画像を除く)を、以下のライセンスで提供します:CC-BY-SA
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