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「ちはやと覚える百人一首 『ちはやふる』公式和歌ガイドブック」──techな人にお勧めする「意外」な一冊(14)
tech@サイボウズ式のアドベントカレンダー企画、techな人にお勧めする「意外」な一冊の14日目。サイボウズ・ラボの 光成 滋生さんのお勧めは「ちはやと覚える百人一首──『ちはやふる』公式和歌ガイドブック」(著:あんの秀子、絵:末次 由紀、講談社)です。(編集部)
文:光成 滋生
「ちはやふる」というコミックがあります。「ちはや」はそのコミックのヒロインです。ちはやは小学生だったとき競技かるたの上手な友達と初めて対戦し、その面白さに目覚めてクイーンを目指します。
テレビで始まったアニメをなにげなく見ていたら、ストーリーが面白く、競技中のアニメーションも見事で引き込まれてしまいました。
この本ではそのコミックやアニメに出てくるキャラクターたちが小倉百人一首の各歌について掛け合いをしたり、意訳をしたりしながら解説してくれます。
私は本屋で表紙を見かけて、ジャケ買いをしてしまいました。ぶっちゃけキャラクター本なのですがかなり成功していると思います。
普通、百人一首の解説は「秋の田の~」から始まるのが定番です。しかし、この本では従来の順序ではなく恋の歌、特に「忍ぶ恋」から始めています。順序に強いこだわりが見られます。それだけでも他の本とは雰囲気が違います。いつも聞いているCDをランダム再生すると新鮮な感じを受けるようなものです。順序に著者の意図が入っているのでベストアルバムの方が適切でしょうか。って、私だけかもしれませんが。
それぞれのキャラクターによる意訳もその性格やストーリーに合うようになされています。素朴な疑問に対する回答や、蘊蓄のコーナーも素人の私にはなるほどなあと感心しながら楽しめました。
たとえば本来の歌の並びが、いろはでもないし、何か規則があるのかと思っていたのですが、実は時代順だったというのも、この本で初めて知りました。
私自身の経験を言うと、小学生のときは坊主めくりぐらいしかしたことがなく、高校の冬休みに丸暗記せよという宿題が出て、そのとき律儀にも百首、丸暗記したぐらいです(実は丸暗記は嫌いではなかったりして、国語の教科書に出てくる奥の細道や枕草子や漢詩などは片っ端から覚えてました)。
さすがに、今ではせいぜい数十首ぐらいしか覚えていないと思いますが、いくつかお気に入りの歌はあります。それらがどう訳されているのかを見るのは楽しいものです。
もうすぐお正月ですし、百人一首か「ちはやふる」に興味がある方も、またそうではない方も、ネットから離れてぜひ一度ごらんになってはいかがでしょうか。(了)
光成 滋生さんのプロフィール:
サイボウズ・ラボでインフラ、検索、暗号系の研究開発に携わる。自作アセンブラ「Xbyak」によるペアリング暗号の高速な実装研究が趣味。「数論アルゴリズムとその応用」研究部会(JANT)スタッフ。C++WG小委員会エキスパート。
この記事(書籍の表紙画像を除く)を、以下のライセンスで提供します:CC-BY-SA
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