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すべて手元に引き寄せて、洗濯フィニッシュ──コデラ総研 家庭部(9)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(隔週木曜日)の第9回目。今回のお題は「すべて手元に引き寄せて、洗濯フィニッシュ」。
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、とりあげてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
文・写真:小寺 信良
前回は洗濯機の変更によって、洗濯後の広げて干す部分の省力化をご紹介した。今回はその後の作業、たたむ、しまうの効率化である。
乾燥まで完了した洗濯物を引き出す作業は、天日に干して取り込む作業と同じなので、合理化の余地がないように見える。だが天日干しの場合はベランダなどの外にあるものを室内に持ち込み、その後たたむ、そしてそれぞれの収納場所にしまう、という、場所移動がある。ここには合理化の余地がある。
つまり、収納場所を全部洗濯機周辺に集めてしまうのだ。洗濯物で一番数が多いのは、肌着類である。パンツにシャツ、靴下などは、毎日人数分が発生する。一方上に着るものは、毎日洗濯が発生しない場合もある。子供の服は毎日何してきてるのか不明なので洗うにしても、大人のものは大して汚れてないとか、3時間しか着てないとかいった理由で、洗わないこともあるだろう。そもそもおしゃれ着などは、頻繁に洗濯するものではない。
つまり洗濯物は、種類によってサイクルが全然違うわけである。この回転率の高い洗濯物の収納場所を、全部洗濯機のある脱衣所に集めてしまうことにした。全員の下着と靴下類である。こうすることで、洗濯機の前に折り畳みの椅子を置き、そこに座りながら洗濯物を引き出し、たたみ、収納までを、座ったままですべて完了できるようにした。
この移動ゼロ方式だと、毎日の繰り返し作業であっても疲れないし、なにしろ行為そのものがイヤにならない。従来方式では10分から15分かかっていた作業が、5分程度で済むようになる。
たたみ方に革命を
移動が減っただけで、単純に作業時間が1/3になるわけではない。たたみ方にもやりようがある。パンツなどの小物は大して時間はかからないが、Tシャツを含めた下着類のたたみ方は、俗に言う「伊東家方式」を導入した。
これは、過去日本テレビ系列で放送されていた教養バラエティ番組「伊東家の食卓」で紹介され、全国に拡がった方式である。ご存じの方もあるかとは思うが、やり方を紹介した動画のリンクを貼って説明の代わりとさせて頂く。
最初は床に広げないとうまくできないと思うが、慣れてくれば膝の上でできるようになる。広げてからたたみ終わるまで、およそ3秒ぐらいである。この方法でたたまれたTシャツは、下の方から丸めて、積み上げておく。薪を積んでるのと同じ状態である。
丸めて収納するにはメリットがある。まずどの色のシャツがどこにあるか、すぐに把握できる。さらに下のほうにあるシャツを引き出すときも、薪を抜くようにスポンと抜ける。
これが平積みしていると、下のシャツを引き出したときに摩擦で上下のシャツまでくっついてきて、ベロンとはみ出したりする。これを元に戻すのに、またたたみ直して積み直しなどしている行為が、無駄である。
うちではタオル類もみなこのように巻いて収納している。こうすると、ホテルの部屋に置いてあるタオルのようで、清潔感もあるし、見た目もよい。
靴下のたたみ方も、いろいろな方法を各ご家庭でやっていることだろう。うちでは左右を束ねて、履き口のゴムを裏返してまとめる方法をとっていたが、どうもこの方法だとゴムが伸びるのが早いような気がして、気に入らなかった。
そこでこれもTシャツと同じように、左右を束ねたら足先のほうからクルクル巻き取るようにした。この円筒状になったものを、縦にして引き出しに並べる。ある程度量が詰まっている必要はあるが、これだけで結構左右がバラけないものである。
洗濯はとにかくルーチンワーク化して、作業をならしてしまう事だと思う。まだ少ししかないから明日でいいか、とほっておくと、翌日大変な量の洗濯物が発生して、洗濯が苦痛になったりする。面倒は一度にまとめたほうがいいという考え方の人もあると思うが、僕は毎日少しずつの手間に分散したほうが、辛さが軽減されるタイプだ。ああ今日もこんなにパパッと片づいた、という満足感が得られる。逆に辛い作業が長く続くと、色々よくないことを考えたり思い出したりして、憂うつになったりする。これは明るく人生を過ごすことにとってマイナスだ。
特に収納場所を集めてからは、洗濯物の取り出しと収納、そして次の洗濯の開始がすべて一箇所で、一度に済むようになった。一つの家事が一日中薄く仕掛かっている状態から解放されることで、家事のことを頭から追い出して仕事に集中できる。これは自宅で仕事をしている人には、重要なポイントだろうと思う。(了)
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