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新人エンジニアに勧める一冊──エンジニア100人に聞きました(第3回)
恒例コラボ企画「エンジニア100人に聞きました」の第3回です。今回のお題は「新人エンジニアにお勧めする一冊」。この春に入社した新人エンジニアに向けて、「これは読んでおくといいよ」という書籍を紹介してもらう、という趣旨です。
サイボウズ社内でアンケートを募ったところ、今回は18名から回答を得ました。第1回の「チェック柄のシャツは持ってる?」は33人、第2回の「ながら聴き」は35人だったので、回答数は減少してしまいました。人に書籍を勧めるのはそれほど簡単なことではない、ということなのかもしれません。
回答者の年代比率は以下の通りです。
なお男女比率は、今回は男性100%でした。
お勧めは「リーダブルコード」「プログラミング作法」「徳丸本」
18人の現役エンジニアが「お勧めの一冊」として挙げた書籍は、計15タイトル。 このうち、以下の3冊は、それぞれ推薦者が2人ずついました(他のタイトルは、すべて1人ずつ)。
今回のアンケートは、書名(タイトル)を自由記入式にしたので、同じタイトルが挙げられる可能性はそれほど高くないだろうと考えていました。そんな中で、この3タイトルについては、それぞれ複数の人が「お勧め」と挙げたのですから、他のタイトルよりも、より「お勧め度」が高いと言えるかもしれません。
ほかには、
や、
- 「達人プログラマー──システム開発の職人から名匠への道」(Andrew Hunt、David Thomas 著/村上雅章 訳/ピアソンエデュケーション)
- 「入門UNIXシェルプログラミング 改訂第2版」(Bruce Blinn 著/山下哲典 訳/ソフトバンククリエイティブ)
のような、プログラミングに関する書籍が挙げられていました。
プログラミング以外の技術解説書としては、
を勧めている人がいました。「自分が新人のとき、実際に読んでみてためになったから」だそうです。正規表現をそこそこ使えるようになるだけなら、こんな大部な書籍を読む必要はありません。もっと手頃な資料がたくさんあるでしょう。しかし、正規表現の概念や、様々な実装(言語による違い)、効率の良い正規表現の作り方など、「一歩進んだ」理解を得るためには、本書は唯一無二の存在と言っていいでしょう。
中には、洋書を挙げている人もいて、
- 「Structure and Interpretation of Computer Programs」(Gerald Jay Sussman、Julie Sussman、Harold Abelson著/MIT Press)
- 「The SPARC Architecture Manual, Version 9」(SPARC International 著)
がお勧めだそうです。ちなみにこの2冊とも、上記のリンク先にて、全文が公開されています。また、「Structure and Interpretation of Computer Programs」のほうは、「計算機プログラムの構造と解釈」(和田英一 訳/ピアソンエデュケーション)という翻訳が出版されています。
技術解説書ではありませんが、技術者向けの書籍として、以下の2冊が挙げられていました。
「情熱プログラマー」は、プログラマのキャリアについて書かれたユニークな書籍です。お勧めの理由は「今にして思えば、自分が新人のときにこれを読んでおけば良かったと考えているから」だそうです。
また「誰のためのデザイン?」は、認知心理学の視点からデザインについて論じたもの。この書籍を推薦した人は「モノづくりに関わる人なら誰が読んでもためになる本だと思います」というコメントを残しています。
「お勧めの一冊」として挙げられた15タイトルの中には、一般向けの書籍も3冊含まれていました。
- 「理科系の作文技術」(木下是雄 著/中公新書)
「田宮模型の仕事」は、プラモデルメーカー「タミヤ」の物語です。この書籍を推薦してくれた人は、以下のようなコメントを添えてくれました。
ものを作る側に回るなら共感できる内容だと思います。やる気がなくなったときに是非。実用書(特にプログラミング関連)を読む機会は腐るほどあるはずなので、それ以外の何かも積み上げると良いでしょう。
「シンギュラリティは近い」は、人工知能が高度に発達し、人類が生物としての「特異点」(シンギュラリティ)を超えたら──という未来について論じています。こちらも、エンジニアとしては興味がそそられるテーマですね。これは、紙の書籍として発刊された「ポスト・ヒューマン──誕生コンピュータが人類の知性を超えるとき」のKindle版です。
「理科系の作文技術」は、もはや説明不要でしょう。学生時代に誰しも一度ぐらいは勧められたことがあるのでは、というぐらいの古典的名著ですね。
先輩エンジニアから贈る言葉
今回のアンケートでは、「先輩エンジニアとして、新人エンジニアに贈る言葉をお願いします」という項目を設けました。そこに寄せられた言葉を紹介して、この記事を終わりにしたいと思います。
やりたい放題やったらいいと思います。
問題解決方法の提案をすぐ出せるようになるといいと思います。
睡眠時間は重要です。回らない頭で作業をすると品質が著しく低下します。
ぜひ貪欲に学習してください。その上で分からないことは、積極的に先輩に質問してくださいね。その時は 「何が分からないのか」 を自分の中で整理してから聞くと先輩も優しく教えてくれると思います。
かんばりが足りない人は、がんばれ。
がんばりすぎて疲れてしまった人は、もっとのんびりと。
どんなことでも、やるとなったら全力で。手抜きでやったら成功しても失敗しても何も得られない。
(了)
「エンジニア100人に聞きました」は、同じアンケートを複数のIT企業で実施し、それを同時に公開して、それぞれの違いを味わうという、お楽しみ企画です。会社ごとにそれぞれ独特な社風があるように、エンジニアにも、それぞれの企業に特有の「気風」といったものがあるのかも──という素朴な好奇心から始まりました。
今回コラボした企業は以下の通りです。ぜひアクセスして、それぞれを見比べて楽しんでみてください。なお、以下の情報は、リンク先が判明し次第、随時更新していく予定です。
- エンジニア100人に聞きましたプロジェクト」に参加しました!!(株式会社アクシス)
- GREE Engineers’ Blog(グリー株式会社)
- ドリコムのエンジニア100人に聞きました(株式会社ドリコム)
変更履歴:
2014年4月18日:記事末に、コラボ企業の記事へのリンクを記載しました。
書籍の表紙画像は、各社から許諾をいただいて掲載しています。
この記事(書籍の表紙画像を除く)を、以下のライセンスで提供します:CC BY-SA
これ以外のライセンスをご希望の場合は、お問い合わせください。
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