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触りたくもない場所を掃除する──コデラ総研 家庭部(16)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(隔週木曜日)の第16回目(これまでの連載一覧)。今回のお題は「触りたくもない場所を掃除する」。
文・写真:小寺 信良
キッチンの汚れは、大きく2つに分類される。油汚れと、残飯汚れである。
料理に残飯処理は付き物だが、これはキッチンの構造によって方法が違うだろう。三角コーナーを設置している家もあれば、排水口に大型のゴミ受けが設置されているところもある。うちは排水口型だが、こういうところはこまめに残飯を捨てても、裏側にカビが生えたりする。こういうところを掃除するのは、なかなか嫌なものだ。
症状の軽いうちは、塩素系洗剤をスプレーしてほっとくと、水で流すだけで綺麗になったりもするが、こびりついた汚れは覚悟を決めてこすり洗いしないと、落ちなかったりする。だがそれもまた難儀だ。スポンジでこすったら、もうそのスポンジでは他のところは洗いたくないではないか。最後にそこを掃除して捨てる、というタイミングに丁度はまればいいのだが、なかなかそうもいかない。
なんとかこすらずにこびりついた汚れを落とす方法はないかとうちの中をいろいろ探したところ、いいものがあった。パナソニックがドルツシリーズとして展開している、「ジェットウォッシャー」である。これは本来、歯の掃除に使うものだが、うちでは初代機が汚れてきたので、2代目に買い替えたところだった。廃棄するはずだった初代機をキッチンの掃除に使ってみたら、思いのほか便利であった。
触りたくない汚れは、遠くからのジェット水流でバリバリと剥がしてしまう。それだけではなく、水道周りの細い溝にたまった水垢のような、得体のしれないゴミも綺麗になる。こういうところはスポンジが隙間まで届かないので、綺麗にならなかったのだ。
また食洗機の残滓受けのような、網目状になったトレイなども、細かい穴が詰まってしまってどうしても水洗いだけでは綺麗にならなかったが、さすがに本来は歯の隙間を掃除するものなだけあって、綺麗になる。しかも手が汚れない。ただ洗う場所に注意しないと、跳ね返りが強烈なので、残滓を吹き飛ばした水が顔にビシビシとかかってワチャチャチャということになる。ヒドい目に遭う前に一応ご忠告しておくが、口は閉じておいた方がいい。
ドラゴンジェットは油汚れに有効
以前テレビの通販でさかんに宣伝していた「ドラゴンジェット」。高温の蒸気を噴射して汚れを落とすというもので、以前はそこそこ高かったような記憶もあるのだが、最近はパテントが切れたのか価格も下がり、類似品も国内メーカーから販売されるようになった。
ガスレンジ周りの掃除も、長らくほっといて大変なことになっていたので、洗剤とたわしではいかんともしがたいと思い、数年前に本家ドラゴンジェットを導入した。思えばうちの家電リニューアルで一番最初に買ったものが、これだった。
本家ドラゴンジェットはドイツ仕様なのだが、日本の家電で慣れた身からすれば、作りが荒い。なにせ電源ボタンもないのだ。コンセントをガバっと抜き差しするだけである。
高温の蒸気でどうやって汚れを落とすのかと思っていたのだが、冷えて固まった油汚れに関しては、高温で油をもう一度液体に戻してやることで、拭き取れるようになる。洗剤は不要だが、蒸気だけでは溶けそうにないところは併用するといいだろう。
ノズルの先に取り付けるブラシが付属するが、これを使うと結構早く掃除ができる。ただ、油汚れを掃除したブラシは強烈にベトベトになるので、このブラシを洗うブラシが必要になるレベルである。スペアが3つほど付いているが、ドラゴンジェットはこれらの消耗品が個別に入手しにくいのが難点だ。今から買うなら、消耗品が入手しやすい国内メーカー品のほうがいいだろう。
金属の五徳部分も、油汚れがこびりついて掃除しにくい部分である。ここも蒸気を当てて洗剤で洗うことで、ベタつきがなくなる。もっとも最初から真っ黒なので、綺麗になったかどうかはよく確認できないのだが。
汚れが激しい部分は、重曹を水で溶いたものをスプレーしておき、そこに蒸気をかけるといいだろう。高温の蒸気で重曹が発泡するので、それが汚れをはがしてくれる。
従来キッチンの掃除は「汚いの我慢大会」であったわけだが、いろいろなガジェットの導入で楽しく、楽に掃除できるようになる。手がつけられないほどに汚れたところが簡単に綺麗になるのは、ある種の快感でもある。そして今日もやっつけがいのある汚れた場所を求めて、タソガレのオジサンドラゴンジェッターが家庭内を徘徊するわけである。(了)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、とりあげてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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