ブロガーズ・コラム
読まれないブロガーズ・コラムに意味はない
2014年4月に始まったサイボウズ式「ブロガーズ・コラム」。ブロガーの日野瑛太郎さん、はせおやさいさん、ファーレンハイトさんを招き、毎週1回のコラムを連載。時にはB&Bやブロガーズフェスティバルといったイベントに登壇など、Webを超えた取り組みに発展しました。そんな今年をわいわいと振り返ってみたところ、いつしか話題は読まれるタイトルの考え方や企画の作り方に。多様なトピックとともに、ブロガーズ・コラムチームの横顔をお楽しみください。
まずはブロガーズ・コラム トップ10記事から
9位:職場でキレる技術
ブロガーズ・コラムの年間トップ10の記事はこちらでした。いずれも1万PV以上を獲得しており、サイボウズ式では「殿堂入り」の記事となっております。
あーぜんぜんランクインしてなくて超悔しい。くそー、来年もっとがんばります。
あらためて見ると、トップ10はどれもタイトルだけで「バズりそう」って思わせる力があるように思えますね。
タイトルを見て瞬間的に読むか読まないかを判断するので、タイトルは重要ですね。付け方、考え方のコツってあるんですかね?
いやー、自分でもよくわからないんですが、経験上時間をかけてアレコレ考えるより、一番最初にピンと来たタイトルがバズることが多い気がします。
意外です。てっきり時間を掛けて緻密に考えていらっしゃるのかと。
僕の場合は逆に、ねりにねると結果はイマイチな場合が多いです。最初にパパっと浮かんで「いいじゃん!」と思った状態のほうが、記事を見る人の精神状態に近いからなのかもしれません。
俺もです。長く考えてると、頭のなかでタイトルが腐るんでしょうねw
読者は一瞬で判断しますもんね。読み手に近い状況を意識して考えるのがよい。
ブログ始める前にキャッチコピーの本は何冊か読みましたけどね。一番参考になったのは『キャッチコピー力の基本(川上徹也)』です。そのままブログのタイトルづけに生かせる内容でしたよ。
読まれるタイトルとは
タイトルについては、ブロガーズ・コラムを初めた時から、どこまで踏み込んでいいかみたいなので悩んでいる。
「釣りか、そうでないか」の境界線ってあるんですかね。
僕が考えているのは「タイトルで言ってることが書いてない」っていうのはアウト。
そういう基準だと、少なくともトップ10に入った記事は全然釣ってないと言えそうですね。「釣り」ではないけど「煽る」ことはあるかもなー、と。
「煽る」と「釣る」は違いますもんね。
たとえば「自分でやったほうが早い」でチームは滅ぶっての書きましたが、「ホントに滅ぶの?」とか言われると「それはとらえ方次第」と弱腰にならざるをえない。
タイトルを見た時点でのミスリードを利用するのは、釣りではないのかなぁって思います。内容できっちり納得・満足してもらうことが大事。
うん、僕はあんまりやらないですけど、タイトルで「おや?」と思わせて本文でフォローするってのは、僕の中でも合法ってことになってます。
サイボウズ式で学んだのは、「タイトルは本文の正確なサマリーでなくてもよい」「タイトルだけ見てコメントする人がかなりの数いる」という2つです。もちろん内容で言ってないことをタイトルにしちゃダメなんですけど、「読んでもらうための魅力的な味付け」をするイメージ。
読者と記事の最初の接点であるタイトルが大事。
ブロガーズ・コラムのメンバーからフィードバックもらいつつ練り上げていく過程で、タイトルも1つのメッセージというか作品なんだなと思うようになりました。自分でタイトルをつけるのは苦手だけど、他者から「ここわかりにくいからこうしたら?」って言われるのはすごく参考になったなー。本文と同様にひとりよがりなタイトルになってたし、なんかこう、ひねったタイトルをつけることに照れみたいな? ものがあった気がする……
タイトルしか読まない人もいる
まあ、タイトルしか読まない人いるからヘンなコメントがつくことも……。
それも自由だっていう気はする。中身に対してコメントしなきゃいけないってことじゃないですからねー。タイトルだけ読んでくれたコメントをきっかけに、ほかの人が読んでくれることにつながるのを知っているし、それはそれでありがたかったりw もちろん、書いた人としては読みもしないで! って思うだろうけども。
僕は「全員から賛同される意見」を書くのは、意見を発信している以上不可能だと思っています。ですので、批判的なコメントがつくこと自体をものすごく気にしてしまってもしょうがないのかなぁ、と。
その割り切り、日野さんらしい。
いいコメントしか集まらない記事って、読まれている絶対数が少ない(お友達界隈しか読んでない)ってことが往々にしてあると思うので。
はせさんは「コメント見ない! わたし傷つくから見ない! はせさんそーいうとこある」って言ってた。
そういうとこある。
ネガコメが一定割合つくことは、いろんな人に届いた証左になるのかなと前向きに考えています。
賛否両論が出てくるのは、より多くの人に届いたからこそだと感じます。
その通りだと思います。俺はAmazonレビューと一緒だと考えていて、レビューが多くなってくると批判されたり、本を読まずにレビューする人が出てきたり。Amazonレビューの数は発行部数に順比例するといわれていますし、それは届いた母数が増えたからこその現象ですよね。
(90%以上ネガコメ、とかはたぶん燃えていると言ってよいのだろうけど)
3人が選ぶ「思い入れのある記事」
個人的に思い入れある記事は、やっぱり「初めてできた後輩を潰した話」。自分の中でもターニングポイントでした。書いたことで過去から自由になれたという、ある意味トラウマから解放された文章だったので、思い入れがありますね……。って連載初回で自分の全部出し切った感ある。
新しいトラウマが必要だとでも?w
もういらないです!!笑 ただ、ああいうエモーショナルな記事を書けるような体験はもうないと思うので、これから先、何をどう書いていこうかと考えることはあります。
エモーショナルで読ませる女性視点の記事でした。ただタイトルは過激で賛否両論があったのですが、そのおかげでブロガーズ・コラムの編集方針が固まっていったところもあります。
最初はそれ苦労しましたねー。さっきの煽りとの兼ね合いもあるけれど、読者の方のコメントをみても、確かに誤解してる(=サイボウズの中の人が体験談を書いている)方がいるなーと思いつつ、それはごく一部。多くの読者には楽しんでもらえてるんだよなって思っていました。
多くの人に読んでもらう攻めのタイトルがあったからこそ、多くの反響があったのだと思います。
「横暴なリーダーは5つの習慣で愛される」ですね。いまも尊敬している先輩のことを文章で表現できた記事です。記事では複数の先輩がいるように書いていますが、実はほぼ一人の先輩のことを書いています。
実話をもとに描いたコラムは本当に響く。良い上司やリーダーと出会うって大切や。。
実体験がいちばん強いんだけど、その色を出しすぎると「お前の話じゃねーか」になっちゃうんで、書くときは工夫が必要ですけどね。客観的で一般化された内容に落とし込むようにはしています。
僕はやはり一番バズった「自分でやったほうが早い」でチームは滅ぶ、ですね。これって、タイトルに言いたいこと全部書いてあるわけで、そういう意味では「まあ本文は読まなくてもいい」みたいな記事なんですけど、それでもこれだけ拡散したってのはとてもおもしろいですよね。
これまでのサイボウズ式全体で一番読まれた記事です。みんなの「チームあるある」を代弁してくれたんですよね。
「ブロガーズ・コラム?」「あのイラストかわいいやつね」
「ブロガーズ・コラムのイラスト、いいよねー」って言っていただけることがすごく多いんです。
はせさんの「火力調整」ができない人は人間関係をダメにするのイラストが好きですねー。チームワークとか人間関係の問題があの一枚にいい感じに凝縮されてる、と勝手に思ってますw
挿絵を描く観点から思い入れのあるイラストは、はせさんの「開眼」です。はせさんのキャラを「つかんだ!」って思った記事なんですよー。
お、イラストレーターのマツナガエイコさん登場!
まだこの時はみなさんにお会いしてなかった? 時で、当然キャラクターや記事自体の方向性がわからず……。みなさんの記事を均等に読んで、均等に感想的に挿絵を入れてたんです。が、はせさんの開眼記事を読んだ時に、初めてこう「はせさんキター!」的な感じが生まれて、そこからみなさんのキャラを含めた挿絵を意識するようになりましたー。
最初から、記事の言いたいこととブロガーさんの感じをよくとらえてくれてるなーって感心してたんだけど、後半になってきて実力はそれ以上だった! って驚きましたw
描いて、公開されたのを見て、微調整していってる感じありますw。余談ですが、今年のマイベストイラストは「定時で帰りたいかー!」です。
迫力すごい!
何かいろいろ乗り移ってたんだと思いますw 来年はファーさんの(人格の)傾向をがっちりつかみたいです(目標)。
ただの気分屋ですよw 俺は「定時」と「開眼」がすごいイラストだなと思いました。記事(テキスト)の世界観を見事に拡大していて。
わたしはその2つとあとは「仕事のピンチで急所を押さえられる人材、押さえられない人材」!
イラストって文章ではできない「小ネタ仕込み」ができるのがすごくいいなと思っていて。えこさんは「あっ、気付きました?」みたいディテールをたくさん入れてくれてるのが毎回うれしいです。
えーこさんの小ネタ仕込みは本当にセンスを感じます。文章の内容を押さえた上で気の利いたイラストを書いてくれるので、毎回楽しみです。
その企画、どうやって考えているんですか?
3人で1週間ごとに記事を執筆いただいていて、合計40本近くになりました。毎回違う切り口で記事を書いてもらっていますが、ぶっちゃけどうやっているんですか?
企画を生み「続ける」っていう観点だと、これはあたりまえなんですが、ある程度時間をかけて考えるのが大事かなぁと思ってます。
ふむふむ。企画を形にする「考えるプロセス」ってあったりするんですか?
僕の場合は「考えよう!」という感じよりも、突然ネタが降ってくる場合が多いですね。たとえば電車乗ってる時とか、ご飯食べてる時とかに突然頭にネタが浮かぶ時があって、そういう瞬間を逃さないように心がけてます。
特に移動中は降りてくることが多い(笑)。ネタ的にも気持ち的にも、興に乗ったときに書けるとベストですが、そういうシーンばっかりではないので、メモってます。人間、忘れる生き物ですからね!
「組織やチームにおける実体験」が切り口になっているのも面白いんですよね。
「感情を消費したい読者」に一番刺さるのが実体験かもしれません。ぼんやりと思っていたことを明確に文章化することは、読み手にとって爽快感があるみたいですよね。書き手が思っている以上に。もちろん怒りだけじゃなく、ポジティブな内容をすくい上げたいと思ってます。
わたしは正直そろそろネタ切れですね!
たしかに、ネタ切れっぽくなってきて苦しい感じは僕もあります。そういうときは、他のメンバーが書いた記事が役に立ったりしますね。「自分ならどう考えるか?」とか「ほかの側面から見たらどうなるか?」を考えると、1記事ぐらい作れて切り抜けられる場合が多いw
わたしも最近、ネタに詰まったら過去記事をバーッと読みなおしてます。日野さんとファー様(編注:ファーレンハイトさんの愛称)のメッセージを自分なりに咀嚼して、「じゃあまり言及されてないし、このへん行こうかな〜」みたいなモヤモヤが溜まってきたら、まずお風呂に入ります。お風呂で考えをまとめて、小見出しができたら飛び出てすぐ書くので、大半は全裸で書いてます。
あるあるw(全裸の方ではない)
もともとは……。理論から持ってきた学びをコアにしてそこにエピソードつける感じにしようと思ってたんですけどね。うまくいかなかったw
その件については、最初それでわたしがうまくいかなかったから、と自覚しております……。「こういうの書いてね」って言われると「え? え? なにそれ? こうやるの? これじゃないの? え? わかんない!!!!!」ってなって、筆が鈍ってしまったというか。言われたことをゴールにして書こうとすると、うまくいかなくて。
書くのも描くのも理屈じゃないですもんね。
で、結局はぜんぜん違う主旨の、自分の体験談をベースにした「後輩を潰した〜」になった、っていう記憶がありますね。そこからは「もうわたし自分が経験したことしか書けません!!!」という逆ギレで今のスタイルに…。
実体験とかその時の感情が書かれているからこそ、読みたくなる。
理屈じゃないのもそうだし、わたしの書くものってそういう教科書的な「学び」を求められてるんだっけ? という迷いもありました。もちろん仕事は好きだし努力や工夫をしている自負はあるので、何か「いいこと」を渡せるだろうとは思ってるんですけど、いかにもな「教科書的な学び」はそれこそグロービスとか行ったほうが、もっと高いレベルで学べると思うんですよね。
あとやっぱり「学び」が先でそこにエピソードつけようとすると、ウソっぽくなる。わたしはまず「自分がどうだったか」があるので、うまく書けない。日野さんとファー様に比べるとそこはわたしのコンプレックスで、悩みでもあります。
書く人ごとにスタイルがあって、しかもきちんとキャラクターとか色が出ているから、ブロガーズ・コラムはこのスタイルで良いと思うんですよね。
このチームは書く側だけじゃなく全員で「ブロガーズコラムのチーム」っていう感じなんですが、チームの仲間として申し上げると、藤村さんは、まじめですよね!!! すごく、まじめ!!!
これが素なんですよねー。
マジメか! でもその真面目さのおかげでブロガーズ・コラムのチームがここまで来れた感じありますね。「年末年始だからなんか一本やりましょーよ」って言い出して乗っかってきてくれるあたり、みんなマジメだなと思いますよ。めんどくさいじゃないですか! ふつうは! でしょう!
これぞチームや!
きれいにまとまった。チームワークや〜!
ブロガーズコラムの著者別記事のまとめは、はせおやさいさんのエントリーにて展開中。
・サイボウズ式ブロガーズコラムの話
・会社の嫌いなところをどう攻略するか/サイボウズ式ブロガーズコラムの話、その2
・正論で殴って目を覚まさせる/サイボウズ式ブロガーズコラムの話、その3
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撮影・イラスト
松永 映子
イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。