編集長交代のお知らせ
2015年の幕開けとともに行われたのが、サイボウズ式の編集長交代だ。初代編集長を務めた大槻が卒業し、2代目を藤村が引き継ぐ。「新編集長として大きくぶちあげてくれるんでしょ?」という大槻の無茶ぶりを受け流さず、最大限のパフォーマンスを発揮するのが年始の最大級の仕事である。ノープランで対談を持ちかけてみたところ……。
燃え尽きた私は、もうお役御免だ
初代編集長を卒業されるんですね。率直な心境は?
やりきったな、と。もう疲れました……。
何言っているんですか(笑)
マジメに話すと……。今年はサイボウズ式やベストチーム・オブ・ザ・イヤーに加えて、ワークスタイルテーマでのさまざまな取り組みを予定しています。公開したムービー「大丈夫」「パパにしかできないこと」は反響も大きく、ここに注力したいのと、新オフィスへの移転など全社的な取り組みも増えてきます。だから私は全体統括に専念しようかと。
ふむふむ。
そこで、サイボウズ式は開設以来一緒にがんばってくれた藤村さんに託して、引っ張っていって欲しいと思っています。
なるほどです。
「編集長やってね」と言われた時はどう思った?
半分はうれしくてやってみたいと、もう半分は「ちょまっ、ちょ待てよ」と。
まだ早いとw
無茶ぶり来たー、と。でもやりがいありますよ。サイボウズ式は企業メディアとして伸びていく可能性にあふれていますからね。
藤村さんのキャラが立ってくるといいよねー。リクエストとしては眼鏡の色を変えてみてください。
迷ったらやる、つまり攻めまくる
改めて、新編集長としての意気込みは?
自分たちの影響範囲を超えて多くの人とコミュニケーションができる企業メディアに、もっと大きく育てていきたいですね。それこそ5年、10年と運営していきたいですね。
長く、というところですね。
後はもっと攻めていきたいですね。
編集長が代わっても関係なく、どんどんと新しいことに挑戦してほしい。2015年は「迷ったらやる」のスタンスで。
出た! そのチャレンジの集合体がいまのサイボウズ式ですからね。
もう迷って、もがいて、もがき苦しんで、やっと今の感じになりましたからね(笑)
後はオウンドメディアというくくりで語られてきたんですけど、その枠を越えていきたいなと。
「企業が運営するオウンドメディア」から脱皮すると。予告ホームラン出たね。
一緒にやってくれる外部の人、いろんな企業やメディアとも連携して、より影響力のあるメディアになっていければ、というのが思いですね。
やっぱり眼鏡の色を変えるべきじゃないですかね。
「正直、こんなに大きなメディアになるとは思っていなかった」
ここからは、ちょっとサイボウズ式の歴史を振り返ってみようと思います。興味がある方に読んでいただけるとうれしいです。「サイボウズが自社メディアを始める理由」から始まり、2年半以上が経ちましたね。
想像以上の成果ですね。正直なところ、こんなにメディアが大きくなるとは思わなかった。2008年に企業ブログにチャレンジして断念し、そのリベンジとなるのがサイボウズ式。ソーシャルメディアを通じて広がりが作れるかなと思いつつも、3年後にはどうなるか? という不安もあったり。
今年の5月でまる3年の運営ですね。あっという間です。最初の記事が多くの人に読まれて「これは行けるかも」という雰囲気がありつつ、最初の1年は体制作りに苦労しました……。
僕はいいだしっぺだからもちろんやるんだけど、ほかの編集部員は「これで成果がでるのか?」と思っていたかも。「この仕事でキャリアは作れるのか?」といった迷いもあり……。
イノベーションは辺境から生まれるというか、あーみんみたいな個性を社内が認めていたからこそというか。最初はやってほしいことをあーみんに伝えていたんですけど、「わたしはこれがおもしろいと思う、やらせてほしい」と意見を出してくれて。じゃあやってみて、となって出した記事が大ヒット。
大変申し訳ございませんでした。うれしさで涙目ですね。記事を出してみるまで、本当の反響は誰にも分からない。これがメディアですよね。
時間を掛ければ結果が出るわけでもないのが、難しいところですね。気合を入れて作った企画が意外と伝わらなかったり、逆に15分くらいでサクッと書いた記事が読まれたり。
そういう意味でも、眼鏡の色を変えてみてはどうだろう。
自社メディアを超えて外に出ること
サイボウズ式はチームワークというテーマはぶらさないようにしていました。あとはメディアでありたいということも大事にしていました。僕達が言いたいことを言うのではなく、読み手が面白いと感じることを考えようと。
情報発信をしていると、どうしても自分たちの伝えたいこと発信で考えてしまいますよね。
これまでの企業の情報発信は、私達が伝えたいことを言うのが一般的でした。そのマインドでメディアを運営すると、自分たちにとって都合の良い情報やキラキラした言葉を発したくなる。その発想から抜け出すのが大変でした。
こういうスタンスでメディアを運営してきて、思った以上に反響がありました。
記事ごとに読む人が違うのが大きな気付き。青野さんビフォーアフターの記事はアパレル関係の人に読んでもらえたり、メディア運営のプロの方に「サイボウズ式は良い」と言ってもらったり。こちらとしては意外で「え、そうなの?」みたいな。
BLOGOSさんやハフィントン・ポストさんから「転載してもいいですよ」と言っていただけて。このおかげでコンテンツが広がっていった。
外と組むことは大事だよね。企業のメディアは単にブログとして記事を充実させるだけでなく、メディアとしてのスタンスを出すことが大事かな、と。オウンドメディアの素養が磨いていくことで、自社以外のメディアでも、サイボウズという企業のあり方をコンテンツとして展開できる。
企業でオウンドメディアをやりますというと、自社のブログプラットフォームを拡充することだけにこだわってしまいますよね。
どうしても「社内で記事を書こう、自分たちのメディアだけで展開しよう」と考えたくなる。最初はそれでも良いですが、メディアとして運営していくには社内以外の力も必要ですね。あと眼鏡も。
自分たちがおもしろいと思わなければ徹底的にやらない
開設当初、こういうメディアを作りたいという方向性はあったんですか?
取材もさせていただきましたが、「ほぼ日刊イトイ新聞」のスタンスが素敵だと思っていました。企業としてのPRではなく、このようなスタンスを崩さなければ、インターネット上で評価いただけるメディアになれるんだなと。
スタンスとは「自分たちがおもしろいと思うことをやり続ける」こと?
僕が感じたのはそうですね。ほぼ日のみなさまに聞くと「誰からも面白いと思っていただくこと」など、いろいろお話いただくと思いますが。
メディアって、好きなことをやらないと続かないと思います。義務でメディアを作っても、絶対に面白くはならない。
サイボウズ式の編集会議なんか「おもしろいかそうでないか」を判断する最たるものだね。みんな思いついたアイデアを社内のグループウェアにだーっと書き込んでおいて、会議で振り返る。普通の会議では出てきたアイデアを検討して、タスクに分解して、誰かに割り振って、みたいにやるんですけど、まったくそんなことをしない。面白いと思えば自然とアイデアが企画になるし、やりたい人が形にする。だれも反応しなかったら「はい、次ー」って流されちゃう(笑)
誰の興味にも引っかからないアイデアは容赦なく流します(笑)。やっぱり編集部の誰かがまずは面白い、と思えないと絶対面白くならないので。そういえば、最初から言っていますよね。「私が知りたい」と思った対象を取材するって。
確かに。これは多分ほぼ日の何かからヒントを得て書いているね。
記事だけじゃないですもんね。物販もするし、商品開発の途中もそのまま共有するし、読者とのあらゆる接点があって、その集合体がメディアなんですよね。サイボウズ式もそんな感じで、新しいメディアの形を追求していきたいですね。これからも宜しくお願いします。
眼鏡もね。
変更履歴:初代編集長の要望により、眼鏡の言及を増やしました。(2015/01/13 17:50)
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