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冷凍庫の賢い整理方法──コデラ総研 家庭部(36)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(隔週木曜日)の第36回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「冷凍庫の賢い整理方法」。
文・写真:小寺 信良
思い返せば今から40年ほど前、筆者がまだ子供の頃は、夕方になると母が今日は何にしようかしらんと言いながら近所のスーパーに、毎日買い物に行っていた。何も毎日食材を買い出しに行くことはないだろうと思うのだが、今のように生肉や生魚を冷凍して保存するという考え方がなかったように思う。いや40年前でも冷凍冷蔵庫はあったので、凍らせるだけなら凍るのだが、今の電子レンジのように短時間で上手に解凍する方法がなかったのだろう。
冷蔵庫も長年眺めているとトレンドがいろいろ移り変わっており、野菜室が充実したり、チルドルームが真空になったりといった変化が見られる。ここ数年のトレンドは大型化と省エネで、特に昨年夏は猛暑だったこともあり、冷蔵庫の買い換えが進んだ。
昔の冷蔵庫は、冷凍庫が一番上にあるものと相場が決まっていたが、最近は逆に一番下だったり、真ん中だったりするものも増えた。食材保存の主力が冷凍庫に移り変わってきたということだろう。
うちの冷蔵庫は冷凍庫が一番下にあるので、中の食材を探すときはいつも屈んで覗き込むことになる。デタラメに食材を入れておくと、探すのに時間もかかるしだんだん腰も痛くなるしで、変なところで苦労していた。
多くの方は、冷凍食品や生肉、生魚もパックのままで平積みするのではないだろうか。買ってきてしまうときは面倒がなくて結構だが、食材が折り重なっていると、必要なものを探すのに時間がかかる。ないと思ってわざわざ買ってきたのに、あとから底のほうで古いのがガリガリになって見つかるといったこともある。あれは空しい。
それをどうにかしたいといろいろ考えて編み出した方法が、「レコードジャケット方式」である。聞けばなーんだと思われるかもしれないが、食材を平積みするのはやめて、全部表を前に向けて、縦に並べるのだ。
こうすれば、昔レコード店でLPレコードを探したように、全体を少し後ろに倒して、前から順にめくっていくことですべての食材の「顔」が見える。食材の顔とは、パックなら食材の中身が見える透明のほう、冷凍食品なら表側である。冷凍うどんのような四角いものは奥の角に置いておく。
以前は病気のときに使う氷枕や、いつ使うのか分からない保冷剤が山のように入っていて冷凍庫を占領していたのだが、いざというときでも氷枕なんて2個ぐらいありゃいいだろということで、それ以外のものは全部捨てた。おかげで庫内が広々使えるようになった。
小分け技が明暗を分ける
冷凍した生ものは解凍して使うことになるわけだが、ここでも事前の仕込みが生きてくる。例えば鳥もも肉などは2つ3つ入ったパックを買うことは珍しくないわけだが、これをパックごと凍らせてしまうと、中身が全部貼り付いた状態で冷凍されてしまう。いっぺんに全部使うならまるごと解凍すればいいのだが、これをあとから1つだけ剥がすのは大変だ。
ベテラン主婦の中には、「おりゃあああ」という気合いもろとも凍ったまま包丁で分断する剛の者もいらっしゃるようだが、まあ普通は全部を緩めに解凍して1つだけ分離し、他はまた冷凍することになる。ただ冷凍と解凍を繰り返すと、鮮度は落ちる。だから多少面倒ではあるが、小分けで使う予定がある場合は、買ってきてすぐラップなどで小分けしてから冷凍する。
冷凍庫の中も、仕切りを使って小分けするという几帳面な方もいる。おそらく食べ盛りのお子さんが2人3人いらっしゃる家庭は、食材をいっぺんにそれなりの量使うので、仕切りも効率がいいのだろう。だがうちのように家庭の人数が少ない場合、食材を1/4だけ使ったりと、中身の変動が小さい。従って仕切りが固定されていると少しずつ無駄なスペースができてしまい、収納効率が悪くなる。
そこで考えたのが、使ってないタッパーウェアやなんかを箱代わりにして、少しだけ残った冷凍食品はまとめてしまうというスタイルだ。お弁当のときしか使わないものなんかはみんなここに集めておくと、庫内がスッキリする。
まだ残っている冷凍食品は、開け口が分かりやすいように洗濯バサミで止めている。ここを上にして取り出せば、逆さまに持ち上げて中身をばらまいてしまうようなことがない。
仕事しながら家事も担当すると、いちいち冷凍庫に何があったかなど覚えていないのが普通だろう。特に冷凍食品は日持ちするので、忘れがちだ。さっと開けて一目で状況が把握できると、買い出しの計画も立てやすい。(了)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、とりあげて欲しいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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