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Apple Watchを料理に活用する──コデラ総研 家庭部(41)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(隔週木曜日)の第41回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「Apple Watchを料理に活用する」。
文・写真:小寺 信良
4月24日にApple Watchが発売されて以降、多くのメディアによって、その機能やファッション、あるいはビジネスモデルが語られてきた。筆者も勉強のためにApple WatchとAndroid系スマートウォッチを購入し、比べながらいろいろ使ってみているところだ。
一方でこういったスマートデバイスが家事に役立つという論調は、あまり見当たらないように見える。実際1カ月ほど使ってみると、実は料理のときに結構使えるということが分かってきた。今回はそんなお話である。
筆者が購入したのはApple Watchのスポーツモデルで、42mm型のもの。IPX7の耐水性能を持っており、水仕事の際に多少濡れても問題ない。またベルトもシリコンなので、食材の細かい汚れがメッシュメタルに入り込むという心配もない。汚れたら外して、食器のついでにスポンジで洗えば綺麗になるところも、料理に向いている点だ。
調理中には、よくキッチンタイマーを使うことだろう。筆者も1つ使っている。主に火を止めるのを忘れないようにするためだ。ただ、食材で汚れた手でタイマーをセットしたりするので、タイマー自体が不衛生な状態になっているのではないだろうか。タイマーを押すためにわざわざいったん手を洗っているという人は少ないだろう。汚れたキッチンタイマーは、使っていて気持ちの良いものではない。
これをApple Watchで代用できた。自分のほうに画面を向けると時計画面が起動するので、「Hey Siri、15分後にアラームをセット」と言うだけで、アラームがセットされる。どこにも手を触れないので、手が汚れたままでもセットできるのがポイントだ。
また長時間の煮物の場合、タイマーをセットしてキッチンから離れることもある。あまり場所が離れてしまうと、アラームが鳴っているのが聞こえないことがあり、焦がしてしまった経験がある。しかしApple Watchは常に腕に付けているので、アラームが聞こえないということはない。なおアラームは、iPhoneと通信できなくてもWatch単体で動作しているので、iPhoneから離れても大丈夫である。
Appleのアラームの難点は、こういったテンポラリ的に使ったアラームの履歴が全部残るところだ。新しいアラームは大量の履歴の一番下に追加されるので、途中で止めたいといったときに、該当アラームを探すのが大変である。またアラームの停止は、画面上の「了解」ボタンをタッチしなければならない。そこは指で触ることになる。
Apple Watch版クックパッドアプリの威力
料理のレパートリーが少ない筆者のようなにわか料理人にとって、クックパッドは最強のパートナーである。もちろん月額利用料も払い、お気に入りレシピを大量に保存、分類しているのは言うまでもない。ちょくちょく作る料理でも、レシピを暗記するキャパシティがないのだ。
これまではキッチンの壁にiPhoneを立てかけて、それを見ながら料理していたが、どうしても画面スクロールする必要があり、汚れた手で画面を触ることに抵抗があった。Apple Watchにもクックパッドアプリがあるというので、さっそく使ってみた。
レシピの検索は、Apple WatchのSiriを呼び出して聞くこともできるが、結果的にはiPhone側の検索に飛ばされることになる(写真1)。音声入力するなら別にiPhone本体でやっても一緒なので、レシピを探すのは最初からiPhone側でやればいい。
一方Apple Watch側のクックパッドでは、iPhoneで最後に見たレシピが自動的に表示される。この辺しっかりリンクしているので、使いやすい。なおリンクしているのはあくまでもクックパッドアプリで表示したもので、ブラウザでクックパッドサイトを見てもリンクしない。
Watch側アプリでは、写真を始め、材料、レシピ手順などがそれぞれ1枚の画面で表示される(写真2)。
手順を横にスクロールしながら進んでいくというイメージだ。秀逸なのは、その手順で必要なタイマー時間があらかじめセットされており、そこをタップするだけで時間計測がスタートするところだ。これなら個別にタイマーをセットする手間がない(写真3)。
ここは画面を触る必要はあるのだが、iPhoneと違ってApple Watchは洗えるので、衛生上も非常に優れている。なお利き手側にApple Watchをしていると、ネギを刻んだだけですっごい運動してることになったりするのだが、その辺はまあご愛敬である。(了)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、とりあげて欲しいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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