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無煙でバーベキュー? 「ロータスグリル」を試す──コデラ総研 家庭部(63)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第63回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「無煙でバーベキュー? 『ロータスグリル』を試す」。
文:小寺 信良
写真:風穴 江(tech@サイボウズ式)
子供を連れて屋外でご飯を食べるにはいい季節になってきた。こないだの連休は、近所の友人家族を招いてうちの庭でバーベキューを楽しんだ。庭と言えば聞こえがいいのだが、実際には家の前の駐車場スペースである。
以前からここで七輪を使って焼き鳥などしていたのだが、昔は目の前が空き地だったので、いくら煙が出ようと誰も気にしなかった。だが最近その空き地に家が建ったので、さすがに盛大に煙を出すのもはばかられる。
そこで決心して、以前から目をつけていた「ロータスグリル」を購入してみることにした(写真1)。無煙バーベキューグリルと宣伝されている製品である。公式サイトでは2万円程度だが、近所のホームセンターでは1万4000円程度で売られていた。購入したときはたまたまキャンペーンをやっており、2000円分の商品券をもらったので、実質1万2000円ということになる。
これはいわゆる電気コンロみたいなものではなく、ちゃんと炭を使うグリルだ。普通のバーベキューグリルは炭の直火で焼くので、肉の脂が燃えている炭に落ちる。この脂が燃える際に、盛大に煙を出すわけだ。ロータスグリルの場合、網目の下にはアルミのボウル状の受け皿があり、脂が直接炭にかからないようになっている(写真2)。だから煙が出ない、というわけだ。
専用の炭は、ブナの木炭を細かく砕いたものがパックになって売られている。これも2パック付属していたので、今回はこれを使うことにした。始めにジェル状の着火剤を着火プレートの上に塗り、ライターで点火する。その上に炭を入れたコンテナを置く。横にあるノブを回すと、下部のファンが回り出し、炭に着火するという仕組みだ。
まったく無煙というわけではない
というわけで実際にやってみた。専用の炭は細かく砕いてあるので、すぐに着火する。時間的には3分ぐらいで、肉が焼けるぐらいまで温度が上がる。
最初に鶏肉を焼いてみたが、まったく無煙というわけではない。やはりものが燃えれば多少の煙は出るわけだが、それでも直火で焼くよりは断然煙が少ないのは確かだ。ファンの強弱で火力調整もできるが、完全にOFFでは肉が焼けるまでには至らない。やはりファンを回して熱気を送らないと、網の上は肉が焼ける温度にはならないようである。
直火ではないので、すぐに焦げるようなことは少ない。バーベキュー初心者でも安心して使えるはずだ。ただし焼き時間は、直火よりも3割程度長くかかる。また網目が細長いので、玉ねぎやナスなど薄くスライスしたものは、下に落ちやすい。目の細かい網を上に重ねて置くといいだろう。
驚いたのは、燃焼時間の短さである。コンテナいっぱいの炭は、わずか15分足らずで燃え尽きてしまう。続いて焼きたい場合は、一旦網をどけて、火傷に気をつけつつコンテナを開け、炭を補充しなければならない。
今回は専用の炭2パックを使って、なんとか人数分を焼きあげた。他にも料理がいろいろあったので、それほどグリルにこだわる必要はなかったが、ダラダラ時間をかけて飲みながらバーベキューしたいという用途には、あまり向いていないだろう。
グリル本体は二重構造になっているので、表面はそれほど熱くならない。火がついた状態でも、ちょっと場所をずらすという程度のことは素手でもできるレベルだ。その点は、子供連れのバーベキューでも安心できる。
ただし、使用後の掃除はかなり大変だ。特に内側の油受けのボウルの汚れ方は凄まじいので、使い終わったらすぐに洗いたい。ところが炭を入れるコンテナも含め、全体が冷めるまで、熱くて触れない。その点七輪だったら、汚れも何もかも燃えて灰になってしまうので、使用後の油汚れはほとんどないし、もともと水洗いなどできないので、そのままほっとけばいいという気楽さはある。
小規模でさっとバーベキューができるという点ではすごく便利な道具だが、弱点は燃焼時間の短さと、片付けの面倒さだろう。今度やるときは専用炭ではなく、一般的なオガ炭を使ってやれるのか、実験しようと思っている。(了)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、取り上げてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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