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トイレ消臭の革命、シャープのプラズマクラスターイオン発生機──コデラ総研 家庭部(68)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第68回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「トイレ消臭の革命、シャープのプラズマクラスターイオン発生機」。
文・写真:小寺 信良
先日ある仕事で、空気清浄機の取材をした。現在国内の空気清浄機市場においてシェア1位は、シャープだそうである。実は筆者宅にも1台あるが、シャープの製品にはプラズマクラスターイオン発生機能がある。
実は買ったときにはそれが何だかよく分からなかったのだが、プラズマクラスターイオンが空中に放出されて、それが匂いの原因菌を除菌するのだそうである。つまり空気を綺麗にするだけでなく、カーテンやカーペットに染みついた匂いも消臭できるということであった。
ただしプラズマクラスターイオンによる除菌は、結構時間がかかるので、人がいないときでもつけっぱなしにしておくのが正しいのだそうだ。これまでは人がいないときには切っていたので、消臭にはあまり効果がなかった。試しにダイニングでつけっぱなしにしてみたが、1週間ほどで確かに様々な調理による匂いがなくなった。簡単そうに見えるシロモノ家電でも、取扱説明書はよく読まないとダメである。
さてそんなことを知ってからというもの、子供部屋や居間など定期的に空気清浄機を持っていってはつけっぱなしにする毎日なのだが、トイレには専用のプラズマクラスターイオン発生機があるということを知った。
うちのトイレは結構まめに掃除しているので、糞尿臭いわけではないのだが、先日猫がトイレマットの上で間違ってオシッコしてしまって以来、いくらマットを洗っても床を拭いても、なかなか匂いが取れなくて困っていた。トイレ内をまんべんなく掃除したのだが、今度はなんだかトイレ中が雑巾臭くなってしまった。もう踏んだり蹴ったりである。
そこでついカッとなって、このトイレ用プラズマクラスターイオン発生機を発注した。「IG-HTA20」という製品で、実売価格1万3000円程度である。
トイレの匂いが劇的に改善
これはボックス型の空気清浄機ではなく、トイレの照明をこれに取り替えるという製品で、厳密には空気清浄機ではない。消臭効果のあるプラズマクラスターイオンを発生する装置だ。
一般的な電球ソケットであるE26というタイプなので、大抵のトイレには付けられるだろう。本体は細身に作られてはいるが、凝ったデザインの傘やカバーが付いている場合は、それごと外さないと取り付けられないかもしれない(写真1)。
電球の代わりに取り付けるので、この製品には照明としてLEDライトが付いている。加えて常時プラズマクラスターイオンを発生させるために、トイレの電気はずっと切らないことになる。LED照明には人感センサーが付いており、人がいなくなれば自動的に消灯する。消灯すれば、イオンの発生が「強」になる仕組みだ(写真2)。
実際に取り付けて2日ほど経ったら、トイレ内の生臭い匂いが完全に消えていた。ついでに言えば、トイレを流すときに使っている洗浄剤の匂いもほとんどしない。プラズマクラスターイオンは、匂いが消える仕組みには若干理解できない部分もあるが、効果は確かにあると感じた。
ずっとつけっぱなしなので電気代が気になるところだが、メーカー資料によれば1日当たりおよそ2.3円だという。年間でもおよそ840円。それぐらいで快適なトイレ生活が送れるのなら、安いものだ。
これまでうちのトイレには、照明と連動する換気扇が付いていたが、そちらはコンセントを抜いておくことにした。常時通電状態だと、ずっと回り続けるからだ。それにせっかくのプラズマクラスターイオンを外に排出してしまうのでは、意味がない。
匂いを外に出すのではなく、その場で匂いの元を除菌して消臭するというのは、抜本的な匂い対策だと言える。ただ、トイレを出るときに無意識のうちに電気を消すというのが長年の癖になってしまっており、消さなくてもいいのに気がつくと何度も消してしまっていた。
たぶん家族で同じ間違いをしているはずなので、トイレの電灯スイッチはテープで固定し、消せないようにした。実は設置してからもう1カ月近く経つが、それでもいつの間にかトイレの電気を消そうとスイッチに手を伸ばしている自分がいる。長年の習慣とは恐ろしいものである。
匂いの気になる部屋にはその都度空気清浄機を持っていってもいいが、常時なんらかの匂いが発生するトイレ専用の消臭器具というのは、使ってみると意外なほど快適だ。特にヒット商品となったという話は聞いていないが、製品自体の知名度がないのか、広告宣伝が足りないのか、実にもったいない商品である。(了)
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