会員カードをスマホに移してお財布をすっきりさせる──コデラ総研 家庭部(78)

テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第78回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「会員カードをスマホに移してお財布をすっきりさせる」。

文・写真:小寺 信良

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iPhone7/7Plusの登場によって、iPhoneユーザーもいわゆる「おサイフケータイ」機能の恩恵が受けられるようになった。わざわざ日本ローカルのサービスに対応するなんてどうしたApple、と言われたものだが、実際に使ってみると、これはSuicaをヤジリにしたApple Payの矢だということが分かる(画面1)。日本ですでに普及しているサービスを使って、スルリと社会に入ろうとしているわけだ。

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画面1:ついにiPhoneもSuica対応に

一方で最近はコンビニやスーパー、ドラッグストアなど少額決済の場で、クレジットカードで買い物してもサインレスになってきている。小銭を探して時間を取られるよりも全然スマートだし、カードのポイントも貯まる。ここのところ、財布に現金を入れておいても、なかなか減らなくなった。まだ米国並みとは言えないが、キャッシュレスの社会にかなり近づいて来ているのを感じる。

さてそうなると気になるのが、リアルなお財布の整理だ。キャッシュの出入りが少ないお財布の大半を占めるのは、実は各お店のポイントカードだったりするのではないか。同じカードでも、頻繁に出し入れするクレジットカードや保険証、免許証などはまだ許せる。数少ないカードポケットをそれらが占有することは問題ない。だがたまにしか使わない会員証やらポイントカードの厚みのせいで、財布が「デブ化」しているのは納得いかない。

こうしたカードをどうにか1つにまとめられないものか。いろいろ探していくと、会員カードがまとめられるアプリというのがあることを知った。すでに便利に使っている方にしてみれば、オマエ今頃知ったのかと思われるのを承知で、「Stocard」というアプリを皆様にご紹介したい。

Stocardは、会員カードのバーコード部分をカメラで読み取り、その情報をカードとして登録するアプリだ。対応店舗も多く、読み取りたい店舗を選んでカードにカメラを向けるだけで登録できる。レジではアプリの該当カードをタップすると、会員カードに記されたバーコードが画面に表示されるので、それをバーコードリーダーで読み取って貰えば、普通に会員カードを提示したときと同じように使える。

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画面2:会員カードのバーコードを読み取るStocard

一方でバーコードが記されていないカードや、ICチップが埋め込まれているカードは登録できない。またカードそのものをレジに差し込むような決済スタイルのものは、登録できても使えない。例えばAEONのセルフレジにおけるWAONカードのようなものだ。大型店では、カード代わりになる独自のアプリを提供しているものもある。例えばヨドバシのゴールドポイントのようなものだ。こういうものは、公式アプリのほうを使うべきだろう。

それ以外のカードはStocardで済ませられるようになり、お財布の厚みが半分ぐらいになった。近所のドラッグストアにはよく小銭入れだけ持って出かけてしまい、ポイントカードを忘れることも多かったのだが、そういう小さな問題も解決である。

お薬手帳の謎

そのほかアプリ化の恩恵を受けているものとしては、病院に行ったときの調剤薬局で使用する「お薬手帳」がある。お薬手帳は、薬の服用履歴を記録しておくための手帳で、複数の薬を使用する際に、組み合わせによる副作用を防止する目的で全国で導入されている。

主旨は理解できるところだが、多くの場合は具合が悪くなって慌てて病院に行くことが多いので、たいていお薬手帳のことなど忘れている。毎回薬局の受付でお薬手帳はお持ちですかと聞かれるのも面倒であり、さらには2016年4月の診療報酬改定に伴って、お薬手帳を持参すると薬局で支払う金額が少し安くなることになった。薬局がお薬手帳に記録するのは、実際には管理指導料という形で有料であり、手帳のありなしでその金額が変わるのである。

平成28年度調剤報酬改定及び薬剤関連の診療報酬改定の概要
(プレゼン資料の25ページ)

それならば手帳そのものを電子化すれば良いということで、お薬手帳の電子版を導入してみた。現在多数のアプリが出ているが、実際に使ってみてその世界観がようやく見えてきた。

お薬手帳アプリを開発しているのは、製薬会社か大手薬局グループである。したがってお薬手帳アプリは、その電子システムを採用している薬局でしか使えない。例えばアイセイ薬局グループが提供する「お薬PASS」は、当然アイセイ薬局でしか使えない。他の薬局のシステムとは、互換性がないのだ。

したがって、複数の病院にかかって薬局がバラバラだと、それぞれ別のお薬手帳アプリが3つも4つも必要になる。1つのアプリでまとめて服用履歴が閲覧できないのでは、お薬手帳本来の意味がない。

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画面3:薬局ごとに採用アプリがバラバラ

アプリシステム自体は、有用だ。例えば「ホッペクラブ」というアプリでは、薬局で薬をもらった時点ですでにサーバからアプリへ薬の情報が送られ、自分でQRコードを使って薬を登録する必要すらない。また病院でもらった処方箋を写真に撮って送ると、薬局で先に薬を用意して待っていてくれるなど、薬局を差別化するための仕組みも組み込まれている。

システムの競争が起こって然るべきなのだが、現時点では薬局の採用システムはほぼ1つに固定されているため、互いに比較もできないし改良もされないという状況になっている。さらには、それぞれのデータをエクスポート、インポートするといった機能を実装していないアプリもあり、また薬データベースの共通フォーマットもないという有様だ。

自分だけでなく、子供の分まで物理的な手帳を管理するのが面倒と言う点でもアプリ化は有用なのだが、場合によっては急を要する医療分野なだけに、ゴリゴリの利権をユーザーに押しつけられても困る。業界の努力で近々にどうにかできないのであれば、国の介入待ったなしだろう。(了)


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