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そこに音楽はあるのかい? 「実用音楽のススメ」──コデラ総研 家庭部(82)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第82回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「そこに音楽はあるのかい? 「実用音楽のススメ」」。
文・写真:小寺 信良
小学生のころからRock野郎であった筆者は、これまでの人生の少なくとも半分ぐらいの時間は、ずっと音楽を鳴らし続けているんじゃないかと思う。寝ている間も鳴りっぱなしなので、実質聴いてない時間も入れての話だが。
その日によって聴きたいジャンル、聴きたいアーティストが変わってくるのだが、基本的には自分が知っている曲の中から、好きな曲を聴いている。だが最近、1日の中でもどんどん再生する音楽ジャンルを切り替えるようになってきた。
例えば夕方には、仕事がまだ途中でも、いったん中断して夕食の準備をせざるを得ない。こういうときに、気持ちをガラッと切り替えるために、音楽も切り替えている。
きっかけは2つある。1つは、ダイニングにも音楽用スピーカーを配置して、スマートフォンから音楽が聴けるようにしたことだ。アンプ内蔵のアクティブスピーカーに、「Chromecast Audio」を接続することで、ワイヤレスで音楽を流すことができる(写真1)。Chromecast Audioとは、スマホでコントロールする音楽再生デバイスである。詳しくはこちらを参考にしていただきたい。
スピーカーはテレビ用と兼用なので、テレビの両脇に置いているのだが、以前はキッチンのほうに置いていた。キッチンに置くと油が跳ねたりして汚れるのだが、小さいアクティブスピーカーならスピーカー全体を薄手のポリ袋に入れてしまえば良い。これでも問題なく聴けるし、汚れたら外側のポリ袋を変えればいい。
Chromecast Audioがいいのは、Wi-Fiの5GHz帯に対応しているところだ。ワイヤレススピーカーで広く使用されるWi-FiおよびBluetoothは2.4GHz帯だが、ここは電波を出す民生機で自由に使っていい周波数帯域なので、古くから電子レンジでも使用されている。従って電子レンジを使い出すと、2.4GHz帯は盛大にノイズまみれの状態となるので、とたんに音楽が途切れたりするわけである。この点Chromecast Audioは、キッチンやダイニングで使いやすいわけだ。
そのときその雰囲気で
もう1つのきっかけは、「Google Play Music」が昨年アップデートして、プレイリストの提案方式が変わったことだ。
プレイリストの充実度という点では、世界最大手の「Spotify」に軍配が上がる。だがSpotifyの場合、聴きたいプレイリストを自分で探すか、今聴いているプレイリストの関連として探すというのが基本スタイルである。
一方アップデートしたGoogle Play Musicでは、時間帯、曜日、現在地、1日のスケジュールに合わせたプレイリストを提案してくるようになった。朝は朝食向きの音楽、昼間は仕事向けの音楽、夕方にはリラックスできる音楽といった具合だ(画面1)。
一説によれば、Googleはメールやカレンダーの内容からも類推し、プレイリストを提案してくるという。とはいえ筆者はほとんど家で原稿書いているだけなので、位置情報はほとんどデータが取れないようだ。それでも最近は、家で仕事する人間だとバレてきている。午前中にアプリを立ち上げると、「自分スタイルで家から仕事」というプレイリストが提案される(画面2)。
午後3時ごろには「カフェ・タイム」が、夕方には「マイホームでリラックス」が、夜中には「家飲みでほろ酔い気分」が提案されてくる。正直知らない曲、あるいはどこかで聞いたが詳しくは知らない曲だらけなのだが、気分を変える際にはちょうどいい(画面3)。
これまで朝食のときには何かとバタバタするので、音楽をかける余裕もなかったのだが、お勧めのプレイリストをかけてみたら、何だか喫茶店でモーニングを食べてるような気分になった。食事の用意は全面的に自分なわけだが、心地良いことは間違いない。
夕食もムードのあるクールジャズをバックに、子供から学校の話を聞くと、リラックスできる。バラエティ番組を見ながらガチャガチャした雰囲気で、子供との会話もなく夕食を終えていたころから考えると、ずいぶん学校の様子も分かるようになってきた。テレビというのは習慣なので、しばらく見ない日が続くと、何となく子供ももうそれでいいような気がしてくるようだ。
親ともなれば、毎日の生活を順調に回すだけで手一杯になりがちだが、音楽の力で気分を変えたり、新しい習慣を始めたりということで、生活に新鮮みが出てくる。好奇心旺盛な子供にとっても、いい刺激となるだろう。
皆さんも「ダイニングに音楽」でステキな生活を始めてみてはいかがだろうか。(つづく)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、取り上げてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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