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この夏、グリーンカーテンに挑戦──コデラ総研 家庭部(90)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第90回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「この夏、グリーンカーテンに挑戦」。
文・写真:小寺 信良
筆者の仕事部屋は1階にあるが、窓が東南向きで小さな四つ角に面しているため、めちゃくちゃに日当たりが良い。夏ともなれば障子紙がパリパリに乾燥して糊が剥がれてしまい、毎回貼り直しになるほどである。
本当に暑ければエアコンの出番なのだが、障子を閉めっぱなしではちょっと暗い。せっかくなのだから外光は取り入れたいところだ。
これまでは窓の外に葦簀を吊るして凌いでいた。見た目は涼しいのだが、実際には枯れた葦を束ねたものなので、かなり熱を持つ。そこで今年はご近所のまねをして、グリーンカーテンを導入してみることにした。
グリーンカーテンとは、ツル状の植物をネットに這わせることで、日陰を得ようとするものだ。生きた植物なので、温度が上がると根から水を吸い上げ、自らを冷やそうとする。従ってその間から吹き込む風も、それほど熱くならないというのがミソである。自然観察と夏の日よけの一石二鳥だということで、学校でもさかんに取り組みが行なわれているところだ。
グリーンカーテンに向いた植物としては、朝顔やゴーヤなどがある。数年前にテレビで取り上げられたのがきっかけとなり、ゴーヤによるグリーンカーテンが大流行したこともある。近所のお宅でもゴーヤを育てる人は多いのだが、町内で大量に収穫されたゴーヤが回ってくるのが難点である。筆者はゴーヤが嫌いなのだが、イヤな顔をするわけにもいかず、毎年ハニワみたいな笑顔で受け取っている。
そこでうちでは、キュウリを試してみることにした。キュウリもゴーヤと似たようなものなので、グリーンカーテンには向いているとされている。しかも実がなれば、サラダにして毎日食べられる。さっそくいろいろ買い込んで、設置してみた。
びっくりする成長速度
今回は種からではなく、15cmほどに成長した苗を植えることにした。品種はサントリーの「強健豊作」、野菜用プランターに2株である。ツルが絡まって上に伸びるように、周囲に支柱を立てておいた。
キュウリを育てるのは初めてだが、驚くほどの成長速度だ。150cmの支柱を用意しておいたのだが、2週間程度で支柱に届くほどの伸び具合である。下葉はキュウリなどの天敵とも言える「ベと病」の症状が見られて心配したが、それを上回る成長スピードでぐんぐん伸びる。慌ててネットを配置し、窓へ向けて這わせるように仕向けた(写真1)。
写真1はネットを張って4日目ぐらいである。ツルは順調にネットに絡み、小規模ながらグリーンカーテンらしき状態になっている。花が付いたら下葉は取っていいということだったので、ベと病にやられたところは早々に切り取った。実のほうもまだ小さいが、育ち始めている(写真2)。キュウリには雄花と雌花があり、実がなるのは雌花のほうだけだが、特に受粉などは必要ないそうである。
ネットの頂点まで達したら、主要な茎はそこで切ってしまう。これを芯止めというそうだ。キュウリは元々地べたを這って生育する植物だが、育てやすさと収穫量を上げるために、品種改良の結果、縦に生育するようになった。
ただあまり上に長くなっても栄養が届かないため、ある程度の高さでメインの茎はそこで切ってしまい、あとは脇枝を使って横方向に成長させるのだという。グリーンカーテンとしても、横方向に広がったほうが役に立つ。まだ現在は横方向にはほとんど広がっていないが、このペースなら7月上旬にはかなりのカーテン効果が期待できそうである。
最近の関東地方は梅雨入りのせいか肌寒い日が続いており、まだ夏のことを考える気になれないとは思うが、グリーンカーテンをやるなら今から着手しておかないと夏に間に合わない。皆さんも挑戦するなら、そろそろ準備されてはいかがだろうか。(了)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、取り上げてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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