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洗濯物はたたまないという選択──コデラ総研 家庭部(10)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(隔週木曜日)の第10回目。今回のお題は「洗濯物はたたまないという選択」。
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、とりあげてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
文・写真:小寺 信良
前回は、下着や靴下など、回転率の高いものの収納場所は全部洗濯機周辺に集めてしまって効率化したところまでお話しした。今回はその続きである。
それ以外の洗濯物、つまり上に着るシャツやズボン、スカート類のようなものまで、なにもかも脱衣所に集めてしまうわけにはいかない。うちの脱衣所はウォークインクローゼット並みに広いわけではないのだ。いやどこの家庭でもそうだろうけど。
ではそういう上に着るものは、どうすれば効率化できるのか。そもそもこういうものは素材や構造がバラバラで、うまくたたもうとするならば、それぞれに個別対応しなければならない。前が開くシャツ類はボタンをいくつか止めないと、たたんだときにバラけるし、綺麗にたたまないと左右非対称の変な折り皺が付いてしまって、着るときにアイロンがけするなど余計な手間がかかってしまう。
そこで何かいい手はないかと考えた結果、うちに大量のハンガーが余っている事に注目した。乾燥機で乾かす方式に変えたので、天日に干す必要がなくなった結果、ハンガーが大量に余ったわけだ。
そこで上物、シャツやズボン、スカート類は、いっそたたまないという方法にした。放置するのではない。たたまずに全部ハンガーにかけ、そのままパイプ状の洋服掛けに吊るしてしまう。下にキャスターの付いた、パイプハンガーである。通販で1,480円とかで売ってるようなやつだ。
よくよく考えれば、子供の服は自由だとは言うものの、所詮学校に行くのに季節に応じて上下5~6種類ぐらいの服を組み合わせでグルグル着回しているだけなので、いちいちどこかに収納するのは時間の無駄である。
しかも服を選ぶときにあれこれ引っ張り出しては、合わない組み合わせのものはまた引き出しに突っ込んでしまうので、引き出しの中身も次第にごちゃごちゃでわけがわからなくなってしまう。時々整理してたたみ直してやらないと、収拾がつかなくなっていたのだ。
うちの子はいつも朝食の後、ダイニングの脇で着替えるのが習慣になっているので、もうそこにパイプハンガーを設置して、コート類も含めそこにシーズンごとの服を全部かけておくことにした。うちは、ダイニングの壁を挟んだ向こう側に洗濯機が置いてある脱衣所という構造なので、洗濯あがりの服を持ってくるのに大した手間でもない。
季節が違うので着ない服はたたんで収納するが、それは衣替えのタイミングで一気に入れ替えれば済むことである。
人の手間を減らす
これまで洗濯に関する効率化をまとめてみる。
- 天日干しの手間を削減するために乾燥機能付き洗濯機に交換
- 小物の収納に関して、移動をゼロに
- 大物をたたむのをやめ、ハンガーに吊るす方式に
これでどれぐらい省力化できたのか、視覚的にワークフローで表わしてみると、次のようになる。
左側が旧来方式、右側が新方式だ。黄色い部分は洗濯機で自動化、もしくはほっといても勝手に終わる部分である。時間的な短縮は干している時間がないので当然にしても、注目すべきは手作業によるステップが半分以下になったことである。これまではそれなりに一仕事であったものが、片手間仕事に削減された。実際にここまで省力化すると、洗濯に関わっている時間は、1回のサイクルでトータル5分とか、少なくとも10分以下である。
旧来方式にも、メリットがないとはいえない。例えば子供がお手伝いする余地があるのは、旧来方式のほうだ。親子で洗濯物をたたみながら色々な話しをするということが、昔ながらの家族のふれあいだったり楽しみだったり、時には教育の一環だったりする点は否定しない。
ただ子供の労働力は本来当てにするようなものではないので、最悪自分で全部の手順の面倒見る覚悟がなければ、なかなかそういうメリットは享受できないものである。夫婦二人揃っていて、どちらかが子供に気長に付き合ってやる時間が取れるご家庭からすれば、ここまで省力化することは滑稽に見えるかもしれない。
だが片親でありながら、仕事は当たり前の量をこなし、夜は子供に付き合って十分な教育の時間を作りたいと思うと、家事を圧縮することは僕にとっては必然の事であったわけだ。同じ境遇でなくても、何か生活のヒントになるところがあれば幸いである。(了)
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