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この季節の強力な味方、「防水スプレー」──コデラ総研 家庭部(18)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(隔週木曜日)の第18回目(これまでの連載一覧)。今回のお題は「この季節の強力な味方、『防水スプレー』」。
文・写真:小寺 信良
関東地方はこのところ、降ったりやんだりの不安定な天気が続いているが、同時にあじさいの美しい季節でもある。ただ外出する場合には、雨が降るのか降らないのかでは荷物や準備が変わってくるので、どっちかにして欲しいと思うわけである。
この季節、便利なことはわかっているのに案外活用されていないと思われるのが、防水スプレーだ。スキーなどウインタースポーツのときには、手袋やウエアにスプレーしたりするが、案外日常的に使えるというのを忘れがちである。
雨の日の防水スプレーと言えば、まず靴である。突然の雨で靴の中グッチャグチャ、という経験はしたくない。特にスニーカー類はすぐ水がしみこんでくるので、事前に防水スプレーをかけておくべきだ。
防水スプレーには大きく分けて、シリコン系とフッ素系がある。シリコン系は、スプレーによって全体にシリコンの皮膜を作るため、防水効果が高いのが特徴だ。その反面、通気性がなくなるので、蒸れやすくなる。元々通気性を期待していないビニールのレインコートといった雨具に使用するべきだ。
一方フッ素系のほうは、繊維をコーティングするというタイプなので、防水というよりは撥水効果を期待するタイプのスプレーだ。皮膜を張って水の侵入を防ぐ防水とは違い、撥水は文字通り水をはじく。細かい水滴ははじかれた結果、どこにも行き場がなくなり、集まって大きくなる。だから内部に入れない、というわけである。一般的に売られている防水スプレーは、ほとんどがフッ素系である。
ただ、革靴にスプレーする場合は、注意が必要だ。フッ素系のほうが皮には優しいが、ものによってはシミになったりするので、購入時に皮にも使えるタイプかどうか確認したほうがいい。
普段の仕込みが大切
防水スプレーは、さっと表面にかけただけでは、大した効果はない。むらなく、かつ十分しっとりするぐらい、意外に大量にかける必要がある。使用する際は、屋外の風通しのいい場所で、自分が吸い込まないような風向きで使用する。
さらに効果を発揮するまで、30分以上乾燥させる必要がある。だから雨が降ってるからといって、出かける直前に使ってもあまり意味がない。さらに湿度が高いとなかなか乾かないので、むしろ晴れた日にこそ、まとめてスプレーしておくといいだろう。
防水スプレーは防汚効果も期待できる。うちでは新しい靴を買ってくると、下ろす前に防水スプレーでコーティングする。特に子供の運動靴などには効果絶大で、グラウンドの砂埃などもパンパンと叩くだけで綺麗に落ちる。もちろん、擦らずサッと水をかけて流すというのも効果的だ。
防水スプレーの持続性は、時間にはあまり関係ない。むしろ摩擦や生地の伸縮によってコーティングが剥離することのほうが、影響が大きい。したがって活発な子供の靴は、効果が落ちるのは早い。一方たまにしか履かないオシャレ靴は、それほど頻繁にスプレーは必要ないわけである。
特にこの季節、防水スプレーをかけておいたほうがいいものが、折り畳み傘だ。元々濡れる前提のものを防水するのは無駄なんじゃないかと思われるかもしれないが、想像してみて欲しい。駅まで傘をさしていき、構内でたたむ。その傘をどうしようか、困った経験があるだろう。たたんでもしっとり濡れて水が垂れてくるようでは、鞄にも入れられない。
そうなる前に、傘の表面に防水スプレーをかけておく。そうすると、たたむときに2、3回水を切るだけで水分が綺麗に吹き飛び、たたんでもパリッとしている。傘には元々防水加工がされているので、買ったばかりのときにはそんな調子だが、ずっと使っていると加工が剥がれて、水分を吸い込むようになるのである。お気に入りの傘を長く快適に使いたいなら、シーズン前に防水スプレー。これである。
僕はいつも靴にスプレーするときに、その向こう側に傘を広げて置いておく。そこでスプレーすると、靴にかからなかったスプレー成分を傘が受け止めることになるので、無駄なく一石二鳥というわけである。
梅雨の晴れ間、ちょっと天気のいい日は、絶好の防水スプレー日和だ。ホームセンターにでも出かけて、いろんなタイプを研究してみてはいかがだろうか。(了)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、とりあげてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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