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今年最後の大掃除特集──コデラ総研 家庭部(31)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(隔週木曜日)の第31回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「今年最後の大掃除特集」。
文・写真:小寺 信良
昨年10月から始まった本連載も、気がつけば1年が経過していた。そして今年もまた、年に一度の大掃除の季節である。普段はやらないハードな掃除も、技術を使って効率良くやれば、それほど労力を使わなくてすむ。ここでは本連載ですでにご紹介したテクニックを振り返りながら、大掃除に役立つ情報をまとめてみた。
お風呂掃除
普段からお風呂の掃除はしていると思うが、タイルの目地についた黒ずみは、年に1度ぐらい綺麗に落としておこう。カビ取り用クリーナーとブラシでゴシゴシ擦るのも手だが、手間をかけたくないという場合は、スプレー式の塩素系漂白剤が使える。目地に沿ってさっとスプレーし、数時間ほうっておけば驚くほど綺麗になる。
ただしこの方法は、化学的な注意点がある。酸性の洗剤などと混ざってしまうと、人体に有害な塩素ガスが発生するので、十分に注意が必要だ。細かいことは昨年のこのコラムをよく読んで、実行していただきたい。
漂白と発泡を使いこなす
http://cybozushiki.cybozu.co.jp/?p=13892
ガスレンジまわりの掃除
ガスレンジまわりも普段から小まめに吹きこぼれなどを拭き取っていればどうということもないのだが、一度汚れ始めるとつい面倒になり、あとでまとめて掃除すればいいか、と妥協してしまう。そして最終的に年末の大掃除で泣くはめになるわけである。
油汚れを落とすには、高温蒸気洗浄機が便利だ。以前はドイツ製の「ドラゴンジェット」がよく宣伝されていたが、最近は国産メーカーの類似品も廉価に出回っており、入手性がよくなっている。まずはこれでレンジのこびりついた油を溶かしながら、拭き取っていく。あらかじめ重曹を溶かした水をスプレーしておくのもいいだろう。このあたりのノウハウはこの記事を参考にして欲しい。
触りたくもない場所を掃除する
http://cybozushiki.cybozu.co.jp/?p=15539
どうしても擦らないと取れそうにない焦げ付きは、電動ドライバーとナイロンブラシを組み合わせる。タワシがゴシゴシ擦るなど、原始人のすることである。まあ原始時代にタワシはないと思うが。現代はテクノロジーとエレクトロニクスの時代なのだ。電動ドライバーもナイロンブラシも、ホームセンターに行けば手に入る。そのとき、安全のための手袋も忘れずに買っておくといいいだろう。焦げ付いた鍋もこの方法であっという間に綺麗になる。このあたりのノウハウは、このあたりを参考に。
技術の力で“力ずく”、キッチンクリーニング
http://cybozushiki.cybozu.co.jp/?p=13580
鍋洗いに一工夫
さてそうは言っても毎日使う鍋釜の類は、年に一度の掃除では当然間に合わない。日頃から焦げ付きなど残らないようにするのがいいわけだ。ところで皆さんは、鍋を洗うタイミングというのはいつなのだろうか。調理が終わったら水に浸けておいて、食事後に洗うという人も案外多いのではないかと思う。汚れがふやけて洗いやすくなるというメリットはあるものの、焦げ付き対策としては意外に効果がないんじゃないかと思う。
僕の場合は、使ったら即洗うようにしている。まだ鍋やフライパンがアツアツのうちに冷水を入れて、一気に冷やす。そうすると膨張した金属が縮んで、こびりつき汚れが剥がれ落ちやすくなるのだ。餃子を綺麗に剥がす方法の応用である。
ただそうは言っても、鍋の縁や底の角部分はなかなかきちんと擦ることもままならず、焦げ付きが固まりがちだ。そういうときは、重曹ペーストパックが有用である。
まず粉末状の重曹に少しずつ水を加えて行き、ペースト状にする。それを鍋の焦げ付いた部分に塗りつける。さらにペーストが乾燥してしまわないよう、ラップを密着させて貼り付けておく。あとはそれで一晩ぐらいおいておけばいい。
焦げ付き汚れは酸性だが、重曹は弱アルカリ性なので、これを貼り付けてパックすることで汚れが中和され、水溶性になるという理屈である。翌日使う前にスポンジやタワシで擦れば、焦げ付き汚れが剥がれやすくなっているはずだ。
大掃除というと、どうしてもその日のうちに力づくでゴリゴリとやってしまいがちだが、前日に仕込みをしてから取りかかれば、当日の作業はほとんど力作業がいらなくなる。実は今年、年末までずっと原稿がいそがしくて大掃除もままならないので、こんな方法を色々調べて楽しようとしているところである。
皆さんも理系にふさわしく、大掃除は化学とテクノロジーの力で美しく乗り切っていただきたい。(了)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、とりあげて欲しいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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