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洗濯機を分解して掃除する──コデラ総研 家庭部(66)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第66回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「洗濯機を分解して掃除する」。
文・写真:小寺 信良
給水エラーが出てすすぎができなくなった洗濯乾燥機(前回の本コラムを参照)。パナソニックの「NA-VD110L」というモデルである。延長保証会社倒産により、故障は有償修理ということになった。メーカーの有償修理というのもひとつの手だが、その間洗濯ができなくなるのが面倒である。
多少のことなら自分で何とかできないか、ということで、自分でできる範囲で中身を調べてみることにした。ドラム型洗濯乾燥機は振動防止のため、ドラムユニットが宙づりにされた状態になっており、そこに給水と排水のパイプが繋がっている構造になっている。
ユニットの中身は、素人では重すぎてどうにもならない。回転の偏芯を防止するために、重りがたくさん付いているのだ。これは滑車で吊らない限り、外すのは危険である。だが周辺のパイプの洗浄なら、一人でもできる。
中身のパイプは、天板、背面板、底部の3カ所からアクセスできる。この洗濯機の場合、天板は主に乾燥時の温風循環機構、背面からは給水機構、底面は排水機構にアクセスできる。
以前乾燥不良になった際は、温風循環パイプの詰まりだった。まずはここから見ていく。今年1月に掃除してもらったばかりだが、それなりにホコリがこびりついている(写真1)。パイプがゴム製なので、ホコリがくっつきやすいのだろう。ここのホコリは、ウエットティッシュで拭き取れば比較的簡単に取れる。
続いて背面だ。黒くて太いパイプは、水ではなく乾燥時の温風循環機構だ。給水系統は透明なパイプで接続されている(写真2)。ここも一通り調べてみたが、特に詰まりなどは見つからなかった。給水エラーではあるが、洗剤を入れて撹拌する最初の洗濯時にはちゃんと給水できているので、そこの問題ではないだろう。
意外なところに意外なものが……
ここまでの作業は洗濯機を前方に引っ張り出せばできる。一方底部へのアクセスは、洗濯機を倒さないといけないので、それなりの作業スペースが必要だ。幸い洗濯機が置いてある脱衣所は洗濯機用のトレイがなく平置きで、広さもそこそこある。その場で倒すことができたが、普通はなかなか苦労するところだ。さらに内部の水がこぼれ出す可能性もあるので、排水パイプ周りを外す際には、雑巾やタオルなど吸水できるものを大量に用意しておいたほうがいいだろう。
洗濯機の底部は特にパネルなどはなく、機構がむき出しだ(写真3)。したがって倒すだけで内部にアクセスできる。ここでは主に排水パイプの汚れを洗浄してみたが、特に詰まりなどはなかった。ただ底部にあるポンプの分岐になっているパーツを外してみたところ、内部に紙が詰まっていた。ヨーグルトのフタのような、コーティングされている固い紙である。指が届く範囲で取り出したところ、なんとそれが2枚も出てきた。
元通り組み立て直してテスト運用してみると、問題なく動作するようだ。筆者もこれまで家電はいろいろ自分で修理してきたが、ここまで大きなものは初めてである。同時にドラム型洗濯乾燥機の弱点も分かった。ひとつのドラム内で洗濯から乾燥まで行なうので、ドラムユニットに大量のパイプが繋がることになる(写真4)。
それらのパイプは、ドラムユニットの振動を吸収するために、すべて蛇腹型になっている。この蛇腹のヒダにホコリやゴミが引っかかり、本来ならば排水まで行くべきところが途中で詰まるわけだ。またパイプの接続は、T字型やL字型で繋がっているところが多く、その曲がり角でもモノが引っかかる。
本機はプチドラムという省スペース型の製品のため、設計上あちこちを折り畳まないと規定サイズに入らないという部分はあるのだろう。その代わり、詰まりによる故障も多くなることが考えられる。
そうなると延長保証の必要性はますます高くなる。筆者もまたエラーになったら、さすがにもう一回分解掃除するのは面倒だ。次は有償修理か、買い直しを検討したい。(了)
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