僕らはバッテリに生かされている──コデラ総研 家庭部(94)

テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第94回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「僕らはバッテリに生かされている」。

文・写真:小寺 信良

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8月23日から3日間、中国北京で行なわれている放送機材展「BIRTV」の取材に行ってきた。羽田から北京までは飛行機で3時間半なので、アメリカ取材よりはずいぶんと移動のハードルが低い。

こうしたコンベンションの取材は、日米では経験はあるが、中国では初めてだ。ところ変われば文化も変わるということで、このショーには「プレスルーム」というものがない。

プレスとは報道という意味で、通常このようなコンベンションでは、そこで出展されている商品を取材して報道する人のために、仕事ができる椅子とテーブル、汎用パソコン、電源、飲み物、軽食などが提供される一室があるものなのだ。もちろんそこに誰でもが入れるわけではなく、きちんとメディア関係者専用の登録を行なって、認証された者だけが入れるよう、特別のパスが発行される。

こうした取材で重要になるのが、途中の継ぎ足し充電である。筆者のようにiPhoneで動画を撮影し、パソコンで現場編集してしまうようなスタイルでは、あっという間にバッテリを消費してしまう。フル充電で挑んでも、iPhoneもPCも3時間程度しかもたない。プレスルームでお昼を食べながら充電、そこで1本2本編集してまた取材、というサイクルが理想だ。

だが今回はこうしたことができないので、手持ちのモバイルバッテリで何とか凌ぐことになった。幸いにして持参のMacBook Proは、給電もUSB Type-Cコネクタから可能となった。専用コネクタならACアダプタを持ってこないとどうにもならないが、変換ケーブルさえあれば、モバイルバッテリから充電できる。

今回は取材に歩いている間、iPhoneは薄型バッテリを尻ポケットに入れて、充電しながら写真と動画を撮影した。これだといちいち電源を切ったり入れたりせずに、ずっと電源を入れっぱなしで撮影できる。

鞄の中では、別の大型バッテリでMacBook Proに充電している。モバイルバッテリからの給電では、使用しながらだとほとんど充電されないが、スリープ状態であればそこそこ充電できる。

難しくなるセキュリティチェック

以前はカメラやレコーダ、PCなどそれぞれが別のチャージャーを必要としたため、海外取材には各種バッテリとチャージャーを持ち込まなければならなかった。機材にバッテリが内蔵されているものは預け荷物に入れられるが、予備バッテリや取り外せるバッテリは機内持ち込み手荷物に入れなければならない。

だがそのバッテリも、あまりにも数が多いと制限される場合もある。制限された場合は、そのバッテリは諦めるしかない。

こうした問題も、USB充電可能な機器が増えたことで、事情が変わりつつある。各種予備バッテリではなく、USBのモバイルバッテリを機内に持ち込むことになるが、容量が大きくなるにしたがって、空港のセキュリティチェックに余計な手間がかかる。

パソコンは鞄の中から出すというのはほとんどどの国でもルール化されているが、モバイルバッテリは対象外だった。だが実際にはバッテリが鞄の中に入ったままだと、それを取り出して何度もチェックを受けることになる。

さらにそのバッテリも、容量やアンペア数が表記されているものであれば容認されるが、表記がないものに関しては没収される場合がある。実際に今回同行のカメラマンは、北京国際空港で容量表記がなかったモバイルバッテリが没収された。

良くなった部分もある。最近は飛行機内にもUSB充電用のサービスコネクタが付いていることが多くなった。とはいえコネクタは1席につき1口なので、複数の機器を充電できない。このような場合には、まずモバイルバッテリの充電に充てるのがいい。

今使っているCheeroのモバイルバッテリにはUSB端子が3つあるので、ある意味USB給電の分配器にもなる。電力の「分配 + タイムシフト + プレイスシフト」するための装置として、モバイルバッテリが機能するわけだ。

出張先にPC用のACアダプタを忘れるというのはたまに聞くケースだが、少なくともUSBケーブルをまとめてスーツケースに放り込んでおけば、どうにかなる時代になってきた。我々のような仕事は、ある意味バッテリによって生かされていると言えるだろう。コンセントにケーブルを挿して電器製品を使うという時代が、ゆっくり終わりつつあるのかもしれない。(了)


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