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PTA広報紙を電子化したった(1)──コデラ総研 家庭部(97)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第97回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「PTA広報紙を電子化したった(1)」。
文・写真:小寺 信良
ここから数回にわたり、PTA広報紙の電子化にトライした話を書いていく。今年度はまだ実証実験段階であり、正式には来年度、電子化で行くか、紙に戻すかを決定することになる。だが仮に紙に戻ったとしたら、せっかくの電子化にトライした経緯が無駄になってしまう。
そこで電子化に至るいきさつや過程、手法などについて、今のうちにまとめておくことにする。どなたかの参考になれば幸いだ。
PTA活動の中には、未だに昭和時代の慣習を引きずっている部分も多い。それを変えようとする人もいるのだが、役員の多くは1、2年の腰掛けなので、何も自分たちのときにそんな苦労して……という思いがあるのだろうか、「今まで通りでいいんじゃないの?」という消極的な意見に押されて、進まないケースが多いように見受けられる。
筆者は娘の小学校、中学校と広報部/広報委員会の長をかれこれ3年経験してきたが、PTA広報紙ほど、一体何のためにやっているのかよく分からない事業もないと思っている。学校は学校で、たくさんのお知らせやお便りで子供たちの様子を知らせてくる。PTAも本部からPTA活動の参加募集があり、各部からはその活動報告のお便りが発行されてくる。そんな中、「PTA広報紙」は一体何を伝えればいいのか、存在が非常に曖昧なのだ。
またせっかくカラー印刷できれいに作った広報紙も、実際に子供のランドセルの底でしわくちゃになったまま地層のように積み重なり、親に届いてない。届いたとしても読んでないのでは、一体何のために高いお金を払って作っているのか。
高いお金、と言ったが、実際どれぐらいの予算を付けて制作しているのかは、PTAによって様々だろう。カラーで数ページにわたる印刷物を数百部オーダーで作るのは、業者に任せないとまず無理だ。従って多くの学校では、地元の印刷業者やローカル出版社などに外注しているはずだ。その外注度合い、つまり制作をどれぐらい外部事業者へ依存しているかで、金額が変わってくる。
小学校の広報予算は10数万円で、それでも外部の事業者を使うのだから、そんなもんだろうと思っていた。しかし中学校の広報予算を聞いて驚いた。刷り数は1.5倍にしかなっていないが、予算は2.5倍付いている。PTAの年間予算のうち実に1/6が、広報紙に消えているのだ。まずこの金額が、問題だと思った。
じり貧化するPTA予算
PTA活動費は、ほとんどが会費である。そのほかにも、地域からの助成金や資源回収による収益もあるが、これらは年々減る一方である。加えて少子化により子供たちも減っているので、当然会費収入も下がる。だがPTA活動は、人数は減ってもやることは変わらないので、必要経費は大して変わらない。多くのPTAでは、広報紙発行予算を固定費として見込んでいることだろう。ここが手つかずなのは、印刷物制作に関してはほとんどの人がよく分からないため、まるで聖域のように扱われているからだ。だがここを削減できれば、親や子供の尻を叩いて資源回収やベルマーク集めをもっとがんばらせるより、楽に予算の余裕が作れるはずだ。
では具体的にどうするのか。いっそ広報紙発行をやめるというのも1つの手だろう。今後10年ぐらいかけて、PTA活動は徐々に縮小を余儀なくされていくだろうことは、想像に難くない。そこでまず大鉈をふるわれるのは、広報紙発行だろうと思う。
だが現時点では、まだそこに着手する段階ではない。予算をかけずに、現在の紙の広報紙出版に変わる方法を探さざるを得ない。
幸いにして筆者はネットのモノカキであり、自分でもePubを作ってメールマガジンを発行している。テキストと写真の電子化に関しては、ビジネスベースできちんとやれているという自負がある。
予算削減の方法論として、PTA広報紙の電子出版化は、ありなんじゃないか。そういうところからこの話はスタートした。(つづく)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、取り上げてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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