PTA広報紙を電子化したった(3)──コデラ総研 家庭部(99)

テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第99回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「PTA広報紙を電子化したった(3)」。

文:小寺 信良
写真:風穴 江(tech@サイボウズ式)

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経費削減のための広報紙の電子化に当たっては、当然PTA本部の了解が必要となる。自分が会長なら、エイヤッと決めてしまえば終わりだが、広報部長として一部門を預かっているだけの身に、そこまでの権限はない。そこで本部と具体的な方法論について、ディスカッションした。

PTA本部としても、これまで固定費として計上されてきた広報経費が削減できるのであれば、そのお金でやりたいことはたくさんあった。まず今のPTAには、PTA本部専用のパソコンもプリンタもなく、すべて本部役員の自前であった。特に会計、書記といった仕事には、引き継ぎも含めて共用のパソコンは不可欠である。この経費を捻出するため、広報紙を電子化することに関してはコンセンサスが取れた。

残る問題は、先週挙げたような方法論のうち、どれを選択するかである。本部からのリクエストは、

  • 人的リソースとして、学校側の負担にならない方法であること
  • 閲覧はスマートフォンを基準にして、保護者に負担がかからない方法であること
  • が挙げられた。一方、我々広報部の狙いとしては、

  • なるべくパソコンを使わずに制作ができること
  • 保護者に電子化のメリットがあること
  • を挙げた。我々の狙いについて、少し説明が必要だろう。パソコン使用については、すでに昨年、パソコンによる広報紙制作を導入しようとしたことがある。これまで紙の原稿とプリントした写真を切り貼りして原稿を作っていたものを、ExcelやWordでやろうとしたのだ。

    だがパソコンによる制作が可能だったのは3班のうち2班だけで、残り1班は対応できなかった。家庭内に自由に使えるパソコンがないということ、加えてパソコンで理想とするレイアウトに仕上げるだけのスキルがないということで、断念せざるを得なかった。

    若者のパソコン離れが取り沙汰される昨今ではあるが、体感的には家庭内のほうが、よりパソコン離れが進んでいるのではないかと思う。小学校の保護者のほうがもう少しパソコンが使えたので、世代的な条件もあるのかもしれないが、今後パソコンを中心とした制作体制では、全員が制作に関われなくなる可能性が高い。

    学校と家庭にITスキルは期待できるのか

    2020年から、デジタル教科書が全面導入されることになっている。全国一斉にスタートすると大混乱になることから、おそらく2018年度ぐらいから、早期導入される学校も出てくることだろう。

    筆者はインターネットユーザー協会の代表理事として、全国の小中高校に出向いてネットリテラシーの授業を行なっているが、すでに校内に無線LAN設備がある学校も珍しくなくなってきている。

    その一方で、筆者が住む埼玉県の状況はどうか。少なくとも近隣の小中学校で無線LAN設備が導入された学校は、見たことがない。以下は文部科学省「『デジタル教科書』の位置付けに関する検討会議」にて、「学校における ICT環境整備に関連する資料」として配付された資料である。

    学校における ICT環境整備に関連する資料

    ここに「都道府県別の主なICT環境の整備状況」というグラフがある。これによれば、教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数では、埼玉県は神奈川県と並んで全国最下位。普通教室の校内LAN整備率においても、青森県に次いで最低となっている。

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    都道府県別の主なICT環境の整備状況(文科省「学校におけるICT環境整備に関連する資料」より抜粋)

    要するに、全国でもっともICT導入が遅れている県であり、今後2年で全国平均に追いつくには、かなり頑張らないといけないレベルである。そういう状況の中、PTAでできることは限られているが、少なくとも保護者側では、子供を指導できるITスキルを身につけておき、スムーズにICT化に対応できるよう、待ち構えておく必要はあるだろう。

    こうした条件を考え合わせていった結果、最初に取りかかる実験としては、LINE@がいいのではないか、ということになった。保護者の中には、頑なにLINEを使いたがらない人というのは一定数いるものだ。だがどのみち高校生になれば、98%ぐらいはスマートフォンを持つことになる。そうなれば、今のコミュニケーションの主流はLINEだ。少なくとも保護者がLINEの何たるかを把握しておいて、損はない。

    こうしてPTA広報紙の電子化は、LINE@を使うという方向で動くこととなった。(つづく)


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