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PTA広報紙を電子化したった(7)──コデラ総研 家庭部(103)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第103回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「PTA広報紙を電子化したった(7)」。
文・写真:小寺 信良
1月末、かねてから予告してきたとおり、LINEによる広報紙に関するアンケート調査を実施した。ペーパーでの回答以外にも、Googleフォームを使って、スマートフォンからも回答できるように設定した。
本校の家庭数は700弱であるが、やはり紙による回答は面倒なのか、回答は12件しかなかった。一方ネットでの回答は105件あった。全体としてみれば回答率は低いが、それでもネットでの回答が紙の9倍近い数字となったことは、今後のPTA活動でも見逃せないポイントだろう。
アンケートの詳しい結果は広く公開はできないが、概要としては、LINE広報紙を見たという人の満足度は、記事の量や内容、発行頻度なども含め、非常に高いことが分かった。特に通勤時に手軽に見られるのが良いとする意見が多く寄せられた。
LINE広報紙の存続については、続けたほうが良いという意見が8割を超えた。一方で、LINEをやってない人へどう対応するのかを気にする声も多かった。実際に広報紙を見ていないと回答した方のうち、LINEをやっていないことを理由に挙げた方はおよそ4割で、理由としては最多である。ただ、実数としては8名でしかないので、割合だけでこれが主たる理由とするのは早計であろう。
LINE非利用者への対応
アンケートをとれば、電子化について賛否両論が出てくることは最初から分かっていたことである。主な反対意見としては、
「LINEをやらないとPTA活動がスムーズにいかないというのではいかがなものか」
「何でも電子化されると、手作りの温かみがなくなる」
「紙でも不自由はなく、広報担当者の自己満足」
といったものがあった。これらの意見は多分に感情的であり、電子化に反対する意見としては具体性を持たない。よくある「オマエらのすることはすべて気に入らない」というタイプである。そもそも紙の広報紙だって、パソコンで作って業者に丸投げなので、手作りなどしていないのである。
その一方で、LINEを利用していない保護者への対応は必要だろう。最初はLINE広報紙の内容をプリントアウトで対応することを考えていたが、LINEのホームの投稿を印刷するのは、意外に大変だ。スマートフォンだけで完結できないか試行錯誤してみたが、そこにこだわるとスクリーンショットをプリントするしかなくなる。
加えて、紙で広報紙が欲しいという人のために個別対応していたら、結構なコストがかかる。仮に100家庭に対応しようと思ったら、A3用紙4枚綴りのカラーコピーを100部用意しなければならない。現在コンビニのA3カラーコピーは80円程度なので、3万2000円。年間で6万4000円だ。100部で済めばいいが、うちもうちもと言い出せば、あっという間に節約できた分を食い潰す可能性がある。
ここで見失ってはいけないのは、PTA広報紙というものの立ち位置だ。一体何のために存在するのか。広報紙を会員一人一人に個別に届けることは、PTA組織の義務なのか。PTA会員は、広報紙を受け取る権利を有するのか。
これは各PTAの考え方次第ではあるとは思うのだが、これまで小学校、中学校の広報紙に関わって4年になる筆者が考えるに、PTA広報紙とはPTA活動を周知するための「会員向けのサービス」である。つまり、オプションなのだ。この活動がなくても、PTA活動の根幹が崩壊するようなものではない。従ってそこには、義務も権利も存在し得ないものと考える。
従って、広報紙を見れば、プラスアルファとしてのメリットは享受できるが、広報紙を見なくてもデメリットはない。加えて、個別に広報紙を届ける義務もない。
こうしたことをふまえつつ、広報三役と相談した結果、写真をプリントアウトして、壁新聞的なものを作って学校の掲示板に掲示すればどうかということになった。写真は印刷するだけだし、文章はもうできているので、あとはレイアウトするだけである。加えて手作り感も出る。LINE広報紙が見られない人は、学校公開日などの折に、掲示板を見れば良い。
最先端と原点が同居するようなことになってしまうが、合理化に乗りきれない人までもフォローするとすれば、最低限のラインはここまでだろう。(つづく)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、取り上げてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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