PTAをうまく運営するにはどうすればいいか? 気をつけるべきポイントは? サイボウズ式ではPTAジャーナリストの大塚玲子さんといっしょに、PTAの運営をよくするみなさまを取材させていただきました。PTA運営のヒントが満載です。
コデラ総研でおなじみ、小寺信良さんの「正面突破のPTA改革」
PTAや子ども会って、強制なの? という問題があるんですよ。「くじ引きやジャンケンで当たったら、必ず役員をしなきゃいけない」みたいなのって、やっぱりおかしいですよね。任意加入団体なのに、強制力があるなんて。
PTAは自由に変えていけばいい。山本浩資さんと玉川広志さん
僕が1年目に一番苦労したのは、コミニュケーションの取り方だったんです。PTA活動を長く経験しているお母さんたちの中に飛び込んで「これは何なんですか? おかしくないですか?」とただ言っても、話が進まなかったので。
だから翌年、僕が入ったときは、スタートの段階でチームビルディングをやることに、すごくこだわっていたんですよね。ビジョンに共感してもらうこととか。
PTOをやっていると、「ボランティアって何だろう」ということもよく考えます。「ボランティア」ってよく使う言葉ですけれど、突き詰めて考えたときに、それが何なのかよくわからない。「できる人が、できるときに、できることを」やるのがボランティアなのか? というと、そうじゃないと思うんですね。
漫画家ユニット「うめ」夫婦のPTAのスリム化
子供のときから「なんで、そういうのやるの?」というのは思ってました。親がPTAの役員決めとかで揉めてるのを見て、「やんなきゃいいじゃん」って言ったことがあります。 そういうのが自分にもふりかかってきたんですよ。子供が保育園に入って学年が上がるにしたがって、役員決めとか、行事の係分担とかが出てくる。「あー、これが小学校のときに、親が揉めてたやつか!」と。
「絶対にやりたくない人に何かやらせる」と、かえって手間になるじゃないですか。「誰々さんがやってない!」って言う人も、本当はやりたくない人だから、そういう人もやらせるとあとで大変になる。
そういう無駄なことは、全部「いっせーの、せ!」で、やらないようにできるといいですよね。なんでそんな、泥沼で足をひっぱりあうようなことをしなくちゃいけないのか。そのためにたぶん、みんなすごく時間を割かれるじゃないですか。それを避けたい。
PTAでもしドラを実践?
以前は6つ委員会があったんですけれど、そのうち3つは廃止にして、続けたほうがいいと判断した3つの活動については、「部活」として残すことにしました。「部活」なら入部や退部はもちろん、兼部もできるし、気に入ったら何年でも続けられるじゃないですか。そのほうが、やりたい人がやりやすくなると思ったんです。
ぼくは初めて「このボランティア制のやり方で、全部できる」って確信したんです。PTAの仕事も、やるべきことがはっきり伝わりさえすれば、強制しなくてもみんな自分から参加してくれるだろうって。
MBAよりPTA? ビジネスの経験をPTAで生かした川島高之さん、川上慎市郎さん
組織の長の役割っていろいろありますけど、いちばんでかいのは、「最後、おれが責任とるからやろうぜ」って言えるかどうかなんですよ。PTAは、とくにそこが重要だと思います。
お母さんたちがPTA活動で疲れている最大の要因のひとつが、「誰も決めてくれない」ってことだと思うんですよね。それで会議が増えるわけです。だから会長が「おれが最後にボールとるから、パスしろ」と言い切ると、お母さんたちがラクになる。 会社でも、上司がこれを言えれば、部下がラクになります。
明確に役割分担しない、仕事を兼務だらけにしてPTAを成功させた川上慎市郎さん
ひとつひとつの仕事の範囲をあいまいにしたんです。仕事の範囲を複数の人で重複させるようにして、誰かができないときはほかの人がカバーする形にした。「お互いに助け合ってください」って言って、仕事を兼務だらけにしました。
そもそもPTAの委員の人たちに「何が負担か」って聞くとね、「都合が悪いときに、助けてもらえないことだ」って言うんですよ。だからこういうふうに助け合える形にしたほうが、負担を感じなくて済むんですよね。最初はちょっと混乱したけど、あとは落ち着きました。
狂言師の和泉元彌氏が語るいまどきのPTAと父子の絆
「PTAという器があるから誰かが絶対やらなくちゃいけない」という考え方では苦役になってしまいます。理由がわからずにやっていると、自主性も生まれづらいです。「今年もやるべきことなのか、改善点があるのか」も「子どものために」という点で考えています。
PTAに男性がいることで、お母さん方の“緩衝材”の役割を果たせる部分もあると言われました。男性だからということで、女性同士では言いにくいことも言ってもらえたりしますから。男性の参加は大賛成ですよ。
父親はどんな形でPTAに参加すればよいのか?
男性は「副会長から本部に入って、会長をやりました」という人が多いですよね。僕はこれを「キャリア組」と呼んでいます(会場笑)。キャリア組は、お母さんたちがやるような“ふつうの委員”を経験していないので、現場をわかっていません。これからは「ノンキャリ」の男性が増えていかないと。だから僕は今年度、敢えて、ヒラの学年委員と運営委員をやっています。
「踊る阿呆に見る阿呆」ですから、踊ったほうがいい。それを踊って示してあげる。公園で遊んでいると、子どもたちが「遊んで~!」と集まってきますよね。そんなふうに地域で楽しんでいる人がいると、「自分の殻から出てみようかな」という人も増えてくるんじゃないですかね。