サイボウズ社長の青野慶久が官僚を一喝した本当の理由
「本気でやるつもりがあるんでしょうか?」
総務省内のワークスタイル変革プロジェクトに、外部アドバイザーとして参加するサイボウズの青野慶久。3月6日に開催された第1回ミーティングで総務省の担当者とのやりとりがあり、そこでの青野の発言です。顛末は「サイボウズ青野慶久社長、官僚を一喝 駒崎弘樹氏が理由を語る」にありますが、このような発言をした裏側にあった青野の考え方を聞きました。
「本気でやるつもりがあるんでしょうか?」発言の意図
このやりとりではどんなことがあったのですか?
フローレンスの駒崎さんがこのプロジェクトのKPIを聞いたところ、残業時間の削減として目標数値が挙げられました。私が想定していた数値とは異なり、「理想が低いなあ」と。
まずは「理想」について考えたと。
次に、古市憲寿さんが残業時間に対する具体的な認識を質問した時も回答があいまいで、私は「現実を見ようとしていないなあ」と感じたのです。
次に「現実」に着目されたのですね。
そこで私は「本気でやるつもりがあるんでしょうか? 本気じゃないなら、忙しいので私はもう出席しません。本気かどうかを確認したいです」という発言をしました。
その裏側にあった考え方とは?
「本気でやるつもりがあるんでしょうか?」という発言の裏には「本当にワークスタイル変革の理想に共感していますか?」「本気じゃないなら、忙しいので私はもう出席しません」の意図は「低い理想に共感していない私は、このプロジェクトのメンバーから外れなければなりません」「本気かどうかを確認したいです」と発言した意図は「高い理想を持ち、共感してからプロジェクトを始めましょう」というメッセージを込めました。これにより、政務官からは「本気です。必ずやるつもりです」という言葉をいただき、私も「わかりました。必ずやりましょう」と話したのでした。これが議論において私が考えていたこと、そして行動したことです。この後、具体的な活動方針として「総務省5000人全体で進めるのではなく、スモールスタートで部門や期間を区切って変革の実績を出し、広報活動をして横展開する」ということで合意しました。
今回のプロジェクトにおいて、青野はリーダーではなく一人の外部アドバイザーです。しかし、権限がなくとも質問責任を発揮することで、リーダーシップを発揮できるのです。
チームが効果的なチームワークを発揮するために必要なこととは?
この思考と行動の裏側にあったのは「チームが効果的にチームワークを発揮するためには、理想(コンセプト)を決め、共有・共感する必要がある」ということです。
私がサイボウズを経営する上で、強くこだわりを持っているのが「議論」です。議論をするスキルが低ければ、多様性のある組織で生まれる多様な意見はかえって混乱を招きます。建設的に議論するには、共通言語が必要です。サイボウズでは「問題解決メソッド」という共通のフレームワークを定めました。「理想」「現実」「原因」「課題」「事実」「解釈」。これらの言葉を共通言語とした議論を促しています。
議論の初期段階で、確認しないといけないのが「理想」です。
例えば、「日本の消費税率がどうあるべきか」を議論するときには、「どのような日本にしたいのか」という理想を先に決めなければ、議論を進められません。理想を確認することなく意見交換を始めても、建設的な議論ができず、無駄なコストを増やします。
「理想」の表現の1つが「コンセプト」であり、達成するための手段が「課題」です。
すべての活動には必ずコンセプトがあります。コンセプトを決めて、共有・共感するプロセスを踏むことで、チームワークをよりスムーズに進められるようになります。この点を強く意識して日々の活動に取り組んでいます。
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