から揚げは「男のロマン」。――イクメン社長、はじめて料理を習う
2014年に青野社長のイメチェン企画を断行したサイボウズ式。今年も何か社長にチャレンジしてもらおうと思案していたところ、サイボウズの人事部感動課から「最近、青野さんがFacebookに手料理写真アップしとる(※)んやけど、全体的に茶色いなぁと思うんですよね……」というさりげない企画提案が!
(※)青野社長の手料理画像。茶色くなってしまう気持ち、よくわかる。
青野社長は、巷では「イクメン社長」ともてはやされているが、料理ができてこそ真のイクメン社長なのではないか――そんな勝手な思い込みとともに、料理ならクックパッドさんに相談すれば間違いない! ということで急きょ、恵比寿ガーデンプレイスにあるオフィスに伺い、企画について相談しご快諾いただきました。
今回は、クックパッド料理教室千駄ヶ谷教室の天池先生にご協力いただきます。
本当に“食”に対して興味がなかったです。いま「毎週木曜日のパパ料理デー」など、少しずつ料理をし始めているのは、やはり作る相手がいることが大きいですね。
お子さんやご家族の存在ですよね。目的があると料理は続けられると思います。今回は「何度でも作りたくなるような家庭料理」ですから、ぜひ覚えて帰っていただきたいなと思います。
今回のイクメン社長育成企画では、「何度でも作りたくなるような基本の家庭料理」を学んでいただきます。めざせ、真のイクメン社長!
天池先生には、和食の基本「鰹と昆布のお出汁づくり」からはじまり、そのお出汁を活用して「鶏肉の唐揚げ・擬製豆腐・酢の物・枝豆ご飯・お味噌汁」の5品を作るメニューをご用意していただきました。これで、青野社長の手料理も色鮮やかでバランスのいいものになるはずです。
すでに出だしから及び腰の青野社長。そんな自らを奮い立たせるためにも、クックパッドさんが準備してくださったエプロンをお借りして、まずは形から入ることに。
ひとしきりエプロン姿を楽しんだところで、ついに料理スタートです!
さっそくお出汁づくりから
まず、和食の基本となる鰹と昆布の出汁を取ります。和食をおいしく・健康的に作るためには出汁をうまく使いこなすことが近道ですので、まずは出汁の取り方を覚えましょう。
ていねいに取った出汁にしか出せない旨みや風味は、料理の味に深みを加えてくれますよ。一度味わってしまったら、もう戻れません。
味わいたいですね~。
ポイントである煮込み方とか素材の量などを押さえていただければ、誰でもつくれますよ。
出汁を取るところからするかって料理できる人とできない人の差ですよね。
出汁を取るのに慣れてくると、料理の流れのなかで取れるようになるのであまり神経質にならなくても大丈夫ですよ。あと、お出汁と野菜は相性がとてもよく、野菜のうまみが引き立つので、お子さんも喜ぶと思います。
あくが出てきていますが、これは気にしなくていいんですよ。一番気にしていただきたいのは“煮込まない”ってところです。沸騰してきたら必ず取り出す。でないと、素材のえぐみが出てしまいます。
そうなんですね。煮込めば煮込むだけいいエキスみたいなものが出るものだとばかり(苦笑)。
これで昆布の出汁が取れたので、つぎは鰹節を加えます。入れたら5,6分待ってくださいね。
思っていたよりも素材をたっぷり使うんだなって驚きです。鰹節なんか覆い尽くすというか、層ができてるじゃないですか!
そうですね。誰が飲んでも「ちゃんと出汁取ってるな~」と感じられる量を入れています。では、この後しばらく待ちなので、その間に酢の物の用意をしたいと思います。
お出汁の香りに包まれながら酢の物の準備
今回は、まろやかで食べやすい“いっぱい食べられる”酢の物をつくりたいと思います。酸味がきついと量を食べてもらえない、だから酸味の柔らかい、やさしいお酢で作っていきたいと思います。ポイントは、「お酢を出汁でうすめたもの」を使用するところです。サラダのようにパッパと食べてもらえるものを作りましょう。もうひとつのポイントは、「きゅうりの種を取り除く」ことです。まず、ヘタを切ります。きゅうりの種は食感もぶよぶよで味もないので、スプーンで取り除いてスライスしてあげるとおいしく食べることができますよ。
へえ~!
料理の心理的なハードルの一つって刃物なんですよね。こわい。
そうですね~特にスライサーは切りやすいので気をつけないといけませんね。そう、いま話しながらやっていたら切りそうになりました。気を付けましょう。
では、スライスしたきゅうりを塩でもみたいと思います。柔らかくして食べやすくするのと、余分な水分を出すことで味を凝縮させます。
塩でもむ? これまた聞いたことない世界に……。すみません、ちょっともう一度説明していただいてもいいですか? これは何がどうなるんですか? 水が抜けるんですか?
ある程度混ざった状態で置いておくと、浸透圧の変化の影響で水分が勝手に出てくるんですよ。
へえ。ほんまかって……あ、ほんと! びしょびしょになりますねこれ! 不思議、不思議。化学変化起きてる! さっきまで乾いてたのに。
これはキャベツ等でやっても同じなんですよ。だいたい半分くらいのかさになるので、生野菜をたくさん食べてもらえます。では、きゅうりを待つ間、出汁取りを仕上げましょう。
化学実験の結果を待ちながらお出汁の仕上げ
見ていただくとわかるんですが、鰹節が鍋の底の方にぐーっと下がっていますよね。これが抽出できたしるしです。
なるほどー!
そしたら、食べ物用のさらしやキッチンペーパーを使ってこしていきます。乾いているとお出汁を吸ってしまうので水で濡らしてから、ザルに置きます。
じゃあ、ちょっと塩をつまみいれて一度味見をしてもらいましょうか。
ぼくね、味見がヘタなんですよ。味見をしないまま突っ切っちゃうことが多いんです。
では、今日はたくさん味見をしていきましょう!
……やさしいね、やさしい味がするね(恍惚)。いいね、今のところ順調!
そうですね! さて、きゅうりの様子を見てみましょうか。
恍惚とした気分を引きずりながら酢の物
きゅうりからだいぶ水分が出ていますね、OKです。逆に時間を置きすぎると、きゅうりに塩が入って、しょっぱくなってしまうので注意してくださいね。では、水で三回ほど洗いましょう。
なるほどね、理屈がわかるとおもしろい。しっかりとした順序・流れがあって、建築をやっているみたいですね。
酸味の決まり方は、お酢とお出汁の割合です。今日は、お出汁が2に対してお酢を1にすることで口当たりをまろやかにしています。
ええと、ほかの塩・砂糖・醤油の配分にもセオリーはあるんですか?
そうですね。醤油に関しては、香りづけなのでほんの少し入れるだけです。醤油を入れると食べやすく、砂糖を入れるとコクが出ます。
香りづけ! 塩と醤油が両方入っていることに違和感があったんですが、そういうことなんですね~。
そうなんです。では、味見をしてみましょうか。浸かっているところを食べて大丈夫そうだったら、これは冷蔵庫で冷やしておきましょう。
イクメン社長と油と鶏肉と
つぎはから揚げですね。今回は、手羽先を使ってから揚げを作っていきたいと思います。食べにくさを改善するため、チューリップの形に加工してから揚げるところがポイントです。
まず、油そのものに苦手意識をもたれる方も多いと思うんですが、青野さんはいかがですか?
そうなんですよ。なんか飛び散ってるイメージしかない。
そうですよね。沸騰するなど見てわかりやすい基準がないので、最適な温度の見極め方も難しいところです。見極めのポイントもお伝えしたいと思います。
それは嬉しいですね。油への苦手意識がなくなったら、作れるものの幅が広がりますよね。それに……から揚げは男のロマンだと思ってるので。
ぼくの子どもが鶏肉料理好きなんですけど、仕込みが面倒でなかなか作れないんです。「鶏肉食べたいな」と思って、クックパッドさんで調べてみると3,4時間も仕込みの時間が必要だったりするじゃないですか。1時間ならまだしも、そこまで長時間だと思い付きでできないから手が出にくくて。
今日は15分くらいで十分ですよ(笑)。ほかの料理をしながら漬ければ時間の節約になりますよね。では、さっそく手羽先をチューリップの形にしていきましょう。
こ、こうやって作っていたんですか!!! まさか44歳で初めて知ることになるとは。元々こういう形をしてるもんだと思っていました。こういう形にすると子どもは確実に喜びますよね。
これでひとつ学んだんですけど、素材を理解すると成功できますね。肉が骨からはがれる瞬間がある。コツを掴むってよく言いますけど、それってつまり“その素材を理解する”ことなんだな思いました。理解すれば、「こうすればいいんだ」という対処法がわかるというか。
そう、やってみるとわかるんです。食材に触れないとわからないこともあります。
それでは、下味をつけていきましょう。ビニール袋を使うと味が均等についてオススメです。今回は和風ですが、乾燥ハーブミックスをプラスすると洋風も楽しめます。
ハ、ハードミックス?
ハーブ、ハーブミックスです(笑)。すべて入れたら、もみこんでください。
もみこむ……もみこむのイメージがわかないんですよ、レシピにも書いてあるけど「なんじゃそりゃ」って感じで。
ちなみに、下味をつけることには味付けだけでなく、煮崩れを防ぐ役割もあるんですよ。味をつけることで身がしまるんです。ただ、つけすぎるとそれだけ固くなってしまうのでバランスが大切です。では、つけている間に擬製豆腐をつくりましょう。
お待ちかねの擬製豆腐
つぎの擬製豆腐は、元々精進料理です。ポイントとしては、厚みがあるのでじっくりと焼かなければいけないというところですね。野菜がたっぷり入っているので栄養があって、とても懐かしい味のするものになっています。
これなら子どもも苦手なしいたけやにんじんとか食べてくれそうですね。
そうですね、形が見えないと食べてくれますよね。では、豆腐を崩していきます。豆腐は、絹だと水分が多すぎるので木綿を使います。
では、野菜、豆腐の順で炒めていきましょう。
野菜はわかりますが、豆腐を炒めるって……自分のなかでは未知の世界です。
では、調味料をいれましょう。
これ、全部いれるんですか? 砂糖も?! うわー、こわい。この量の砂糖を入れたときの味のイメージがないから、こわくて自分だったら入れられない。
大丈夫ですよ(笑)。では、ひと煮立ちしたら一度火を止めて、冷ましてあげます。冷ましている間に枝豆ごはんを作りましょう。あ、ちなみに、このあと“ぶあつい擬製豆腐を裏返す”という一大イベントがありますので、お楽しみに!
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