自立は、自分の力だけでは実現しない──「周囲に依存OK、他人の力を借りてでも理想を達成すること」
自立とは、自分で選択して、自分で責任を取る覚悟──。
社員に自立を求めるサイボウズ 代表の青野慶久ですが、最近 FC今治オーナーの岡田武史さんと話を聞いたことで、自立に対する認識を新たにしました。なんと「周囲に依存してもOK」とのこと。あれ、自分で責任を果たすことと、ちょっと意味が異なるのでは……? その意図を聞いてみました。
先日の岡田武史さん(FC今治のオーナー)との対談、ありがとうございました。その中で「自立」に話が及びましたね。
おもしろかったですね。「チームのことだけ、考えた。」で書いた言葉の1つが「自立」で、その考え方が変わりました。 自立は、多様性のあるチームにおいて、最重要レベルの風土の1つだと定義していますが、この「自立」というのが実はまだよくわかっていません。本では「自分が思ったことを発信し、議論していくこと」という感じで書きましたが、「そんな大変なことやらねーよ」と言われると返答に困ります。確かに、批判を覚悟して意見を表明するのは大変です。
そうですね。
その時は、人材登用について「どうして岡田さんは、カズを外したり、実戦経験のない野人(岡野)を投入したり、チャレンジングなことができたんですか?」と聞いてみたんです。 すると、岡田さんは「いやー、監督を首になっても、なんとか食っていけると思ったから」という答えでした。
つまり、自立というのは後ろ盾が必要だということです。そういわれてみると、わたしが総務省を一喝したとき、「みなさんに嫌われたとしても、何も困らない」と心の中で思っていました。そんなことを考えていたら、私のFacebookタイムラインにこんな記事が。これには、目からうろこでした。
「実は膨大なものに依存しているのに、「わたしは何にも依存していない」と感じられる状態こそが、“自立”といわれる状態なのだろうと思います。だから、自立を目指すなら、むしろ依存先を増やさないといけない。」
自立するためには、依存する先を増やさないといけないと。
そうです。サイボウズのメンバーが「サイボウズを辞めさせられても、なんも困らねーよ」と言えるように、さまざまな外部に依存している状態が、「自立」につながるのだと理解したんです。
他人の力を借りてでも理想を達成すること。依存OK
この考えを、kintoneで社内に共有してみたところ、社員の間で盛り上がりました。
それを受けて、少々整理したいと思います。議論に出てくる「自立」には、言葉の意味がいくつかあるようです。自立とはこんな感じでしょうか。
- 自立心。自分で選択し、自分で責任を取る覚悟。サイボウズ的な定義。
- 自分の力で理想を達成すること。
- 他人の力を借りてでも理想を達成すること。依存OK。
(2)が一般的な定義ですよね。
はい。ですが、実際に自分の力だけで自立するのは困難です。 例えば、「経済的に自立する」と言っても、実際には、同僚や顧客やさまざまな社会基盤に支えてもらう必要があります。 サイボウズでは、(1)の定義を採用しています。自立というより自立心。自立マインドの大切さに気付いたので、これを理念にしています。
ここまではサイボウズの定義ですね。
そうです。で、今回の気付きは、(3)の大切さ。 誰かを支え、誰かに支えてもらっているという安心感が、自分の自立心を高めることにつながったり、自分の力だけではできない大きな理想を実現したりできる、というものです。味わい深い言葉ですね。 サイボウズの基本戦略はエコシステム。周囲を支え、周囲に支えてもらいながら、チームワークあふれる社会を実現していきたいと思っています。
愛媛の地域発信サイト「海賊つうしん。」専属フォトグラファー
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