「サイボウズの株価が上がらないのは、市場に嫌われているからですよ」と言う株主に、解決策も聞いてみた

「サイボウズはマーケットから嫌われているから株価が上がらない」
「60代以上の人に認知されていない」
2月5日に開催した「サイボウズ株主Meetup Vol.1」で、参加者の株主のみなさんから出てきた一言です。
「株主vs経営陣」の構図を抜けて、株主と経営陣で会社のビジョンを考えるためのMeetup。そもそも株主のみなさんはどんなことを考えているか。株主としてサイボウズにできることは? みんなで語り合いました。
「株主vs経営陣」の構図をイメージしがちじゃないですか。それがイヤ

僕がサイボウズの社長に就任したのは、14年前の2005年。なんとか生き残りながら、今日に至りました。
「株主のみなさま」と一口に言っても、サイボウズの株を昨日買って今日売る人もいれば、株を長期に渡って持っている人もいらっしゃいますよね。
株主のみなさま一人ひとりが、いろいろな意見をお持ちだと思います。今日はぜひその声を聞かせていただき、ディスカッションしながら、僕たちとチームをつくり、会社を盛り上げていきましょう。

青野慶久(あおの・よしひさ)。1971年生まれ。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立した。2005年4月には代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を行い、2011年からは、事業のクラウド化を推進。著書に、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない』(PHP研究所)など。

僕が入社したのは2000年。管理部門や人事部門を統括したあと、2014年からはアメリカで事業本部を新設するために、サンフランシスコに移住しています。
実は僕、株主総会が大嫌いなんです。

山田 理(やまだ・おさむ)。サイボウズ 取締役副社長 兼 サイボウズUSA(Kintone Corporation)社長。1992年日本興業銀行入行。2000年にサイボウズへ転職し、責任者として財務、人事および法務部門を担当し、同社の人事制度・教育研修制度の構築を手がける。2014年からグローバルへの事業拡大を企図し、米国現地法人立ち上げのためサンフランシスコに赴任し、現在に至る。

サイボウズでは、「株主のみなさんとチームになって、サイボウズのビジョンを考えるにはどうしたらいいのか?」を、2年前から模索しています。
今年は、株主のみなさんとMeetupを開催することにしました。ちなみに、重大発表はありませんからね(笑)。お互いに交流して、楽しい1日にしましょう。
「サイボウズはマーケットから嫌われているから、株価が上がらないんですよ」

それでは、参加者のうちの5名の方に前に来ていただいて始めましょう。


「株主に聞かれても知らんがな」って話かもしれませんが、どう思いますか?










そこを否定されると、「じゃあ、どうしてマーケットにいるの?」となるんです。

そのあと、M&A(企業の合併買収)に手を出したら、時価総額で1000億円以上になりました。株価が今よりも何倍も高くなって、もう意味がわからない数字なわけです。


そのとき、「僕は何をしているんだろう、時間がもったいないな」と思ったんです。



それを否定してしまうと、そもそも「資本主義」と「株式会社」自体を否定することになりますよね。





「Cybozu Days」にも子どもといっしょに行って、青野社長と写真を撮りました。


株主総会がおもしろくて株を買った。60代以上にもっと知ってもらいたい





そこでサイボウズの名前を出しても、「知っている」と言われたことがほとんどなくて。50代くらいの方だと「あ、キントーンの会社だ」と言う方が多いんですけどね。

「株主vs経営陣」と対峙して戦う理由はない。お金だけで完結せずに、もう一歩踏み込んでほしい

サイボウズのチームワークあふれる社会をつくるために、業務が拡大していくために、株主としてできることは何でしょう?




だけど僕は、「株主vs経営陣」と対峙して戦う理由はないと思うんですよ。むしろ、株主のみなさんの力をお借りしたいんです。


だけど、お金だけで完結せずに、さらにもう一歩踏み込んでほしい。そして僕らとチームになって、いい社会を作るための何かができれば、おもしろいと思うんです。

働き盛りのサイボウズの社員さんのなかには、親御さんの介護や病院へのお見舞いなどが必要な人がいますよね。
近くに住んでいる株主が、その親御さんの話し相手になれると思うんです。



そうやって楽しく過ごして、「じゃあ、また来ますね」とすれば、遠くに住む社員さんは2カ月に1回くらいの頻度で帰省すればいい。そのかわり、週に1回くらいは株主が話し相手になれます。




次は「サイボウズの素晴らしさとは?」。僕らが言われるとうれしいので、ちょこっと聞いてみたいです(笑)。






「企業理念を石碑に刻むな」。環境やチームの考え方が変われば、ビジョンを変えてもいい







企業理念を作ったときと環境は変わっているのに、ですよ。創業者の思いだけが残れば、結局は変わらない会社になってしまいます。





Googleは検索エンジンが中心なんですが、僕たちは検索エンジンで勝とうとは思っていません。
チームがあって、その人たちが効率良く、楽しくチームワークを発揮するツールでは、絶対にGoogleに勝ちたい。そのために、海外にも拠点をつくっているので。




わたしはあまりITには強くないんですが、「こんなものがほしいけど、世の中にはない」というサービスがたくさんあるんです。


Cybozu Daysに株主だけしか入れない「株主専用ブース」を設けてみませんか?

「から騒ぎ」後は、チームに分かれて、「株主としてやりたいこと」を話しあい、発表してもらいました


青野と山田もテーブルをまわり、各グループの様子をうかがいます

実際に体験して「こんな操作性なんだ」って知りたいです。

今回のような意見交換会を開催してもらったり、Cybozu Daysの株主版や、サイボウズ社内に「株主と交流できるスペース」を設けてもらったりしてもいいかもしれません。





できることといえば、みなさんが話しているように、株主の身の回りで、サイボウズの製品を伝えることでしょうか。












世界の競合に負ける気はしない。僕たちのチームには、一緒にチャレンジする1万人の株主がいるから

ここから、乾杯のごあいさつを

こんなにサイボウズを知ってくれて、こんなに意見を言ってくれて。「会社を経営していて、よかった」と改めて思いました。
「Googleを抜いて、世界一のIT企業に」というお話がありました。正直、Googleはとんでもなく強い会社なんです。
世界の時価総額ランキングには、Googleをはじめ、マイクロソフトやアリババなど、僕らと同じグループウェアを提供している会社が入っています。
でも正直、負ける気がまったくしていなくて、ですね。


サイボウズはいま、社員数800人くらいの会社です。ただ、株主は1万人近くいます。つまり、その人たちとチームを組めば、メンバーは10倍に増える。
そのチームでチャレンジすれば、Googleにも追いつけるはずです。
株主のみなさまは、一人ひとり考え方も違えば、普段の取り組みもノウハウも人脈も違います。これをぜひシェアして、チームワークしていく必要があるんだなと強く思いました。
Googleを上回るようなソフトウェア企業にしていきますので、引き続き力を貸していただければと思います。
それでは、乾杯!






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執筆

流石 香織
1987年生まれ、東京都在住。2014年からフリーライターとして活動。ビジネスやコミュニケーション、美容などのあらゆるテーマで、Web記事や書籍の執筆に携わる。
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編集
