言いたいことを言えないチームでも、まずは大丈夫──「スーパーマリオ」みたいに、何度でもステージをやり直せばいい
「チームのリーダーは、誰よりも優秀で、どんなときもメンバーを引っ張っていくものだ」というイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、リーダーに悩みはつきもの。「自分はリーダーの器ではない」「何でも言い合えるチームの作り方がわからない」と日々、頭を抱えていませんか?
そんな悩みを抱えたリーダーに向けて、サイボウズ式編集長の藤村能光が、自著『「未来のチーム」の作り方』と同じタイミングでチームビルディングの書籍『宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話』を上梓された長尾彰さんと一緒にトークイベントを開催しました。
モデレーターに、経営コンサルタントの経験を生かして今治で活躍する中島啓太さんを迎え、参加者と、これからのリーダー像について語り合いました。
「お世話になります」をメールで書く必要ある?
会場は表参道にある「subaCO」。40人以上の参加者が集まりました

▲開催は「サイボウズ式第2編集部(*)」の青山さんのツイートが長尾さんの目に止まったのがきっかけ。「この企画を実施したい」という思いからSNS上でのやりとりが続き、実現しました
(*)「サイボウズ式をもっとおもしろくしたい」という思いを持った読者とサイボウズ式編集部が集まったチーム。「新しい価値を生み出すチームと働き方を考え、実践する場」を活動指針として、多様なメンバーが、それぞれの考えをアウトプットし、形にしていくことを大事にしています。
今日のイベントでは、新しいチームの可能性や楽しさを感じていただければと思います。


なので「お世話になります」はメールなどのテキストベースでは、ほぼ使いません。
長尾彰(ながお・あきら)さん。組織開発ファシリテーター。日本福祉大学卒業後、東京学芸大学にて野外教育学を研究。企業や団体、教育、スポーツの現場など、約20年にわたって3千回を超えるチームビルディングを実施。現在は、複数の法人で「エア社員」の肩書のもと、組織開発や事業開発をファシリテーションする。株式会社ナガオ考務店 代表取締役、一般社団法人プロジェクト結コンソーシアム理事長、NPO法人エデュケーショナル・フューチャーセンター代表理事、学校法人茂来学園大日向小学校の理事を兼任する。著書に『宇宙兄弟「完璧なリーダー」は、もういらない。』(学研プラス)

テキストベースで「ごめんね」「嫌だよ」を伝えたとき、相手は誤解してしまったり、歪曲して捉えてしまったりするかもしれない。
でもそれを対面で伝えられれば、あとに長引くことはないでしょう。とくに、たまにしか会えない相手には、対面で気持ちをきちんと伝えるようにしています。
そのとき、書き方によっては、自分の意図しない形で伝わってしまうことがある。相手に「怒ってる?」と誤解されやすくなったり。

中島啓太(なかじま・けいた)さん。FC今治 経営企画室長。英国の大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に就職。その後、岡田武史と夢を追いかけるために、東京から今治に移住を決意。四国初となるJリーグ基準を満たすサッカー専用スタジアムの建設や、社会変革者を生み出すためのワークショップ「Bari Challenge University」の統括などを務め、現在は教育事業の展開にも携わる
その事実を見る人によって、解釈は違いますよね。だから、解釈だけを見てはいけないなと。
解釈をしっかりとすくいあげたり、寄り添ったりして受け止める。その大切さを実感できるオンラインツールも使ったやり取りは、意見をきちんと伝え合うトレーニングになっているのかな、と感じますね。
藤村能光(ふじむら・よしみつ)。サイボウズ式編集長。1982年生まれ、大阪府出身。神戸大学を卒業後、ウェブメディアの編集記者などを務め、サイボウズ株式会社に入社。製品マーケティング担当とともにオウンドメディア「サイボウズ式」の立ち上げにかかわり、2015年から編集長を務める。メディア運営や編集部のチームビルディングに関する講演、勉強会への登壇も多数。複業としてタオルブランド「IKEUCHI ORGANIC」のオウンドメディア運営支援にも携わる。著書に『「未来のチーム」の作り方』(扶桑社)
言いたいことを言えない雰囲気、どうすれば?
当日、参加者には「青・黄・赤」の用紙を配布。話が長かったら「レッドカード」を出すなど、参加者からのフィードバックを受けながらイベントが進んでいきました
そのときに、メンバーに「個人的に不安に思っていること」をポストイットに書き出してもらいました。

なので、1週間ごとに「チームとして解決したい課題」をみんなで1つ決めました。そして、その解決策を話し合いながら、実行していったんです。

「言いたいことが言えない関係」は決して悪いことじゃない
お互いのことがだんだんわかってくると、チーム内に「心理的安全性」が生まれる。言いたいことを言い合える雰囲気になっていく。

この発達段階は、「スーパーマリオ」をイメージすれば、わかりやすいと思います。
ある程度レベルが上がった状態の「1-4」でクッパを倒して、ステージ2に上がっていくのが当然ですよね。

これをチームづくりに置き換えてみると、ステージをクリアするほど、コミュニケーションの習熟度が上がっていきます。

「自分たちで決めたこと」ならチームのモチベーションは上がる
たとえば、経営者や管理職が「今期の売上目標」の決裁権を持つ会社がほとんどだと思います。ただ、そうやって上が決めた目標を、メンバーが仕方なく実行しても、チーム化は進みません。


オジサンになると「できない人は何ができないのか」がわからない
ただ、最近になって「それを覚えている?」と聞いたら、みんな忘れていました。つまり、そのビジョンを達成したいのは僕だけだった。

でも、メンバーの困りごとって、リーダーからすれば「その最初の段階で悩んでいたんだ」と思うことがよくあります。
経験値がある分、仕事の習熟度が高くなっているからです。
部下から見れば、上司は“何でもできる人”。だから「これを聞いたら叱られるんじゃないか?」と思って、言いたいことが言えなくなりがちです。
その人に合わせながら、チームとしてベストなパフォーマンスを発揮できるのが、よいチームなのだと思います。
リーダーは正解がわからなくても、決断しなくちゃいけない


リーダーには、理念を細かく分けて、「どうすれば、目的にたどり着けるのか?」を考える役割があるんです。
サイボウズのメンバーは、その理念を達成するために各部署に分かれ、自分にできることをする。
そもそも理念がブレていて、経営ビジョンがつくれないと、チームとして連携できません。

そう考えると、“正解がない理念”を決めるとき、全員の意見を聞いて中間を取るのは違うのかなと。リーダーは正解がわからなくても、孤独のなかで、「僕たちはこれで行くんだ」と理念を決断する役割があるんです。
まずはチーム内に「相棒」をつくろう

個人的な感覚でいうと、戦術と計画はボトムアップで決めるのが、僕は好きです。






なので「お世話になります」はメールなどのテキストベースでは絶対に使いません(訂正前)
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なので「お世話になります」はメールなどのテキストベースでは、ほぼ使いません(訂正後) (2019/10/01 10:30)
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執筆
流石 香織
1987年生まれ、東京都在住。2014年からフリーライターとして活動。ビジネスやコミュニケーション、美容などのあらゆるテーマで、Web記事や書籍の執筆に携わる。
撮影・イラスト
二條 七海
写真家→ホームレス→LIG.inc→フリーランスフォトグラファー。 現在は著名人や芸能人の人物撮影を中心に行っている。 多様な作風が持ち味。好きな食べ物はハンバーグ。
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