これからのマネジャーについて、話そう。
「楽しく働けない諸悪の根源はマネジャーだよね」――いい加減、昭和のマネジメントを抜け出そう

「これからのマネジャー」について話すために集まったサイボウズ副社長・山田理と、現在マネジャーとして活躍する三越伊勢丹に勤める神谷友貴さん、そしてONE JAPAN発起人・代表の濱松誠さん。
前編では「成功したらメンバーのおかげ、失敗したらマネジャーの責任だと考える」「オープンな場に情報を出しておくべき」「無理やり人を動かそうとすると、強制力が働いて一方通行のコミュニケーションになってしまう」といった話題が広がりました。
そして鼎談が中盤に差し掛かったとき、山田の口からは「楽しく働けない諸悪の根源はマネジャーだよね」という言葉が飛び出しました。
経営陣と違って、与えられた状況のなかでやりくりするしかないマネジャーという立場。これからのマネジャーにはどんな心構えが必要なのでしょう。
マネジャーは「うちの会社ではこれが正しい価値観だ」と押し付ける存在



それなら、結局はどうやって楽しく仕事をするかが大事だと思い直して。


でも、会社に残るんだったら、悪口を言っていてもしょうがない。仕事で面白いことをやって、楽しく働こうよっていう提案をしています。






マネジャーは結局、マネジメントや教育という言葉で「うちの会社ではこれが正しい価値観だ」と押し付けているだけだな、と。
「これってマネジメントとして正しいことなのか?」と疑問に思うようになったんだよね。


これからの時代に個人がいきいき働くためには、価値観が昭和のままのマネジメントはダメだよね。




「上手くいかないのはマネジャーの能力不足?」決断できなければ「質問責任」を全うすることが大事


神谷友貴(かみたに・ゆき)。株式会社三越伊勢丹に新卒入社。2年間婦人服の販売に従事したのち、婦人服のアシスタントバイヤーを3年経験し、百貨店事業本部MD戦略部MD政策ディビジョンに異動。現在はデジタル事業部新規事業ディビジョンカリテにてマネジャーの職務についている。濱松さんが代表を務めるONE JAPANにて富士通担当者と出会ったのをきっかけに、ドレスレンタルサービス「CARITE(カリテ)」のトライアル検証を2018年8月に銀座三越でスタート。


経営陣と私の間に複数の上司がいるので、どうすればうまくやりとりや進行ができるのかを悩んでいました。


でも、「上の人にうまく動いてもらう」という考えが足りなかったんだな、と本を読んで実感しました。
何かわからないこと、決断できないことがあれば、「判断で困っていることはありますか?」のように質問する「質問責任」を全うすることが大事なんだ、と。


山田さんの考えを知れば、世の中のマネジャーが、効率よく仕事を進めるための割り切りができるようになるだろうなと感じました。

部下は上司に、上司は部下に歩み寄らなきゃダメ

そうすることで、その仕事が得意な人が「できる」と名乗り出てくるかもしれないし。

個人的には、部下からもマネジャーの状況を理解して、双方が歩み寄らなきゃダメなのかなと。

濱松誠(はままつ・まこと)。1982年京都府生まれ。大学卒業後、2006年パナソニックに入社。海外営業、インド事業企画を経て、本社人材戦略部に異動。グループ採用戦略や人材開発を担当。2012年、若手主体の有志団体「One Panasonic」を立ち上げ、組織の活性化やタテ・ヨコ・ナナメ・社外の交流に取り組む。2016年には同社初となるベンチャー企業(パス株式会社)への派遣人材に抜擢。同社家電部門にて、IoT家電事業の事業開発に従事。現在、ONE JAPAN共同発起人・共同代表。



両者に読んでもらって初めて「上司って結構大変なんやな」「部下はこういう風に思ってるのか」と気づけるんだよね。

鎖をつけて塀を高くしてメンバーを出にくくすることは、マネジャーの仕事じゃない


マネジャーは、真ん中で、火を焚いて、歌い踊り続けることが大事。


それでみんなが去っていくなら、所詮その火はその程度の火だし、それが良いものであればあるほど人は集まってくると思う。


さらにいえば、役割を終えたら、火は消えてもいい。




「この人がこうだったらいいのに」「成長させよう」なんて考えるのは、おこがましい。これは、自分がやってきての大反省でもある。

山田 理(やまだ・おさむ)。サイボウズ 取締役副社長 兼 サイボウズUSA(Kintone Corporation)社長。1992年日本興業銀行入行。2000年にサイボウズへ転職し、責任者として財務、人事および法務部門を担当し、同社の人事制度・教育研修制度の構築を手がける。2014年からグローバルへの事業拡大を企図し、米国現地法人立ち上げのためサンフランシスコに赴任し、現在に至る

うまくいかなかったら、「ごめん、会社!」でいい。


どう楽しく生きるかっていうのは、ゲームと一緒だと思っていて。そのゲームをみんなが楽しめればそれでいいかなって。
うまくいかなかったら、それでいいじゃない。「ごめん、会社!」って。それくらい僕はサイボウズのために働いていない。



でも、いま火を燃やしているのがめっちゃ面白いし、その火をもっと大きくしようと思っているからサイボウズにいるっていうだけで。

信者のような受け身スタイルではなく、能動的に参加してもらうためにはどうしたらいいんでしょう?

あとはルールをつくったり、メンバーの意見にイエスやノーを言ったりしない。言うと神格化されてしまうからね。


自分で動いたほうが、組織の統制が取れて効率よく早く会社は大きくなるけれど、それはその人のエゴ。
みんながそのエゴに付いていって幸せだったらいいけど、いまそうじゃない人もたくさんいるじゃない。
だからこそパラダイムシフトというか、もう一回マネジメントや経営のあり方が問われる時代になっているのかな。

文:中森りほ 編集:松尾奈々絵(ノオト) 撮影:小野奈那子 企画:明石悠佳
SNSシェア
執筆

撮影・イラスト

編集
