現場の葛藤も制作プロセスも、全社に「状況共有」──サイボウズのサウンドロゴを開発しました

サイボウズは、企業ロゴに音と動きをつけた「サウンドロゴ」を新たに制作。このサウンドロゴは、2022年2月7日から公開中のテレビCMで使用されています。
わずか1.5秒の間で、いかにサイボウズらしい「新しいチームワーク」を表現するか。全社に意見を募りながら、さまざまな議論や試行錯誤が行われました。
答えがないからこそ、多様な知見を持ち寄りながらつくった、本サウンドロゴ。
そこに込めた想いや制作する上での葛藤、チームワークを発揮するためのオープンな「状況共有」について、制作担当のサイボウズ式編集部に聞きました。
多様な個性を活かし合う「新しいチームワーク」を表現




出来上がったサウンドロゴを見たときに、チームワークに対して「新しい!」「楽しそう!」「体験してみたい!」という気持ちを感じてもらえたら、と考えました。


一方サイボウズでは、また違ったとらえ方をしていて。それぞれのメンバーが多様でありながら、自立して1つの目的や理想に向かっていく。「チームワーク」に対しては、そんなイメージをもっています。


1人ではできないことでも、誰かとともに個性を活かし合い、解決していく。そんなチームワークは心強く、前向きに感じられます。



サイボウズ 採用サイトより引用。サイボウズのパーパスを実現するための4つの文化

このすべてが揃っていると、チームワークがあふれていて、いい状態ですよね、と感じることができます。


表現に落とし込んでいく過程でも、常に「チームワークの新しさを感じてもらえるかどうか?」に立ち返り、4つの文化と照らし合わせながら音と動きの要素を決めていきました。
■多様な個性
・ナレーション ・多様な方向の動きから収束する動き ・サークル(チーム、コミュニティ、個人) ・軌跡(速度の違い、多様な関わり方)■公明正大
・サークル(どの方向から見ても同じ形の円)■理想への共感
・多様な方向の動きから、収束する動き■自立と議論
・多様な方向の動きから、収束する動き
具体的には、音を聞いたときに「楽しさ」だけでなく、「安心感・信頼感」を感じてもらいたかったので、温かみが感じられる、ポジティブなトーンで収録しています。
また、多様な個性を重視する意味でも、男女両方の声がバランスよく聞こえるようにしています。


とくにこだわったのは、「収束感」です。さまざまな軌跡を描きつつ、最後はキュッと同じところにまとまります。

モーションロゴをつくるにあたっての、ロゴマークの解釈。チーム・コミュニティ・個人が多種多様な価値観を保持したまま、チームワークあふれる社会を目指し、取り組んでいる様子を表現(提供=MIMIGURI)

全社に意見を募りながら直面した、表現のジレンマ


だからこそ、全社を巻き込みながら、ていねいにつくる過程を大切にしたいと思ったんです。


もちろん、制作の過程で寄せられた全社メンバーの意見も取り入れていきました。

グループウェア上に公開している、全社員向けの掲示スペース。本プロジェクトの制作開始から、完成までの間のプロセスや、完成ロゴのお披露目などを逐一おしらせ


まずはMIMIGURIさん企画・設計のもと、ワークショップを実施。そこで、「サイボウズらしさ」やそれを象徴するエピソードや擬音語などを全社で募集しました。

集まったエピソードを音・動きに変換する様子。オンラインホワイトボードのMiroを使い、チームで共同作業をした(企画・設計・運用=MIMIGURI)

その結果をMIMIGURIさんに伝え、クリエイティブ案に落とし込んでもらいました。


たとえば、サイボウズではよく、みんなが理想に集まっていく様子を「キャンプファイヤー」で表現しています。



なので、そこからターゲットとバリューをより鮮明にするため、あらためてコンセプトを整理しました。


そんな人たちに、サイボウズが新しいチームワークを大切にしていることが伝わってほしいし、「自分も参加したい!」と思ってもらえたらうれしいなあと。


そこで自分たちが伝えたい想いが固まったのですが、1.5秒にそのすべてを盛り込もうとすると、当然カオスになって(笑)。
その後も、全体のバランスを調整していきましたね。

コンセプト再整理後のモーション要素。当初は多様性をより強調するため、ロゴマークを分解したり、速度を変えたりしていた(提供=MIMIGURI)
全社公開で取り組むからこそ、担当者のささいな悩みまで「状況共有」




答えがないからこそ、チームで多様な知見を持ち寄りながら解決していくことを大切にしているんです。


なぜなら、多方面の意見を聞いてしまうと、クリエイティブが収束していかないからです。


だからこそ、1つの理想に向かって建設的な議論ができたのかなと思います。


それは1人のリーダーがプロジェクトを引っ張るのではなく、チーム全員で取り組むことを大切にしているからであり、チームの力を信じているからこその判断なのかな、と。
その分、僕らの責任は重大なんですけどね。
企画:神保麻希(サイボウズ)/執筆:園田もなか 編集:野阪拓海(ノオト)
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