働き方改革、楽しくないのはなぜだろう。

時短社員と残業してバリバリ働く社員を、同基準で評価するには?──リクルート社員60名が青野社長に働き方の疑問をぶつけた

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場所にとらわれない働き方への挑戦や、時間当たりの生産性を向上させる施策など、働き方変革に積極的に取り組んでいるリクルートグループ(以下リクルート)の社員60名と、これからの働き方を考えるイベントを開催しました。

働き方の変革を考えた時にぶつかる、「子育てや介護で16時に帰る社員と、残業してもバリバリ働きたいという社員を同じ基準で評価するにはどうしたらいい?」「上司が時短だと困らない?」「夫の働き方が古いけど、どうしたらいい?」などの疑問にサイボウズの青野社長が答えました。

会社を辞めたいと社長に告げた社員が、その年MVPに選ばれたわけ

まず、サイボウズ株式会社(以下サイボウズ)社長の青野が自著『チームのことだけ、考えた。』をもとに特別講演を行いました。


私が社長を引き継いだ2005年に、サイボウズの離職率は28%という衝撃的な数字にまで上がってしまった。社員の採用と教育にはかなりのお金がかかるので、さすがに効率が悪いぞということで、なんとか離職率を下げようと思ったのが、働き方について考えるようになった最初のきっかけでした。

まずやったのは、給与の引き上げや業務の転換といった引き留め工作です。全然、効きませんでした。とにかく離職が止まらない。 毎週どこかしらで送別会が行われているような状態でした。

ある日、また辞めたいという人が出てきたときに、諦めの境地に入っていた僕は、『お前の人生を考えたら、辞めた方がいいんやろな。次が決まってないんやったら、相談にのってやるから考えとけ』と言ったところ、『え、青野さん、僕のことは止めてくれないんですか』と言うわけです。

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青野 慶久(あおの よしひさ)。1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年4月代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を推進し離職率を6分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。2011年から事業のクラウド化を進める。総務省ワークスタイル変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)がある

次の日、彼はPCを持ってきて、『自分の部署ではこんな問題が起きているのに、一向に解決に向かう気配がないから辞めたい』とプレゼンを始めたんですね。それを聞いた僕は『それなら話が違う。そんな問題が起きているのなら、一緒に解決しようやないか』と言いました。その後、彼はサイボウズを辞めるのをやめて、人が変わったように働き始め、その年のMVPに選ばれるまでになりました。

給与も上げてないし、仕事の内容も変えてないのに、モチベーションがどん底からいきなりマックスになった。それを見て僕が理解したのは、“モチベーションはひとりひとり違うんだ”ということです。

そこから考え方を変えて、みんなモチベーションが違うんだったら、それを前提に人事制度を作り直そうと。副社長の山田と生み出したのが『100人いれば、100通りの人事制度があってよい』という、公平性より個性を重んじる考え方です。

これは、あくまでも経済合理性からくる意思決定。効率がいいからやっているだけ。みんなの理想の働き方を言ってもらって、それを実現できるように人事制度を足してきました。

こうやって変えていくと安心感ができたみたいで、出産モードも高まって、ある部署では6人いる女性のうち、5人が同時に妊娠してマネージャーが『人を増やしてください』と泣きついてくるなんていうこともありました(笑)。

改革に必要不可欠な「風土」を作るには、トップが発信することが大切

そんなこんなで離職率が下がり、今は4%くらいになっています。それで、よく『働き方を変えるにはどうすればいいですか?』と聞かれるようになったんですけど、今まで僕が話してきたのは制度の話。

ワークスタイルを変えるためには、『制度』の他にも、『ツール』と『風土』の2つが必要だと思っています。

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例えば、在宅勤務をすると言ったときに、グループウェアのような『ツール』がなかったら、仕事ができる環境ができません。 『風土』つまり“何が良くて何が悪いか”といった会社の価値観が変わらないと、何が起きるかわからず怖くてみんな動けない。大企業の男性の育休制度が典型的な例です。

どうやって『風土』を作るのか?それはコミュニケーションをしていくしかなく、トップが発信することが大切だということで、僕がグループウェアに投稿した一例をご紹介します。

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これは社員のお子さんが骨折をしてしまい、保育園に預けられないので1ヶ月間くらい在宅勤務をしないといけなくなったときに書き込んだものです。

“とにかく周りの人も大変だったと思うけれど、商売より子育ての方が大切だ。子育ては長期の顧客創造業務なのだから、優先されて当然だ”というメッセージを発信しました。

もちろん心の中で『これで仕事が振られた方は大変なんだよ』というのもあるんですけど、だからと言って“子育てで抜けるのが悪い”ではなく、“問題が生まれたなら、それを解決する方策を新たな制度を考えましょう”という方向へ持っていくようにしています。

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16時に帰る社員と、残業してもバリバリ働きたい社員を同じ基準で評価するにはどうしたらいい?

次に、サイボウズのワークスタイルドラマ「声」(ドラマは公開を終了しました)の第1話「先輩」と第2話「悠太」を鑑賞し、多様な価値観や働き方について考えた後、株式会社リクルートホールディングス 広報ブランド推進室室長・働き方変革プロジェクトリーダー(※)の林宏昌氏とサイボウズ社長の青野による対談を行いました。

サイボウズのワークスタイル改革に対する考え方を理解したからこそリクルートの社員の方から湧き上がる、「じゃあ、こんなときはどうするの?!」という疑問に対し、青野はどう答えていくのでしょうか。

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林 宏昌さん。株式会社リクルートホールディングス 働き方変革推進室 室長。2005年リクルートに新卒入社。住宅領域「SUUMO」の新築マンション首都圏営業部に配属。12年より、(株)リクルートホールディングスにて社長秘書業務や経営企画室室長として中長期のグループ戦略立案などを担当。15年より広報ブランド推進室室長および働き方変革プロジェクトのリーダーを務め、16年4月より現職

「この会社には、会社に来ることを評価して欲しい人はいないんだな」と、安心した

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16時退社して判明、「もしかして、足を引っ張っていたのは社長の俺だったのか?! 」現象

ここからは、会場の質問に答えます。

法人というバーチャルなモンスターに縛られないようにしないといけない

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文:野本纏花/写真:佐坂和也/編集:小原弓佳


「サイボウズ式」とリクルートホールディングスの「 Meet Recruit 」のコラボレーションでお届けしています。「これからの働き方は十人十色。サイボウズ株式会社 青野社長に学ぶ」も合わせてどうぞ。


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Cybozu

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