インターン大学生の疑問
ゲイ、学生ママ、エリート──肩書きで判断されやすい私たちが、ラベリングについて話してみた

人はみんな、それぞれの生い立ちの中で作られた唯一無二の個性を持った存在のはずです。
けれど、肩書きだけで人を判断し、その人の個性を見ようとしない人たちがいることもまた事実。そのように人を判断する「ラベリング」は、人の魅力や輝きを、大きな箱で覆い隠してしまいます。
「こうあるべき」「どうせ○○でしょう?」、という圧力で押さえつけようとするのはとても窮屈ですし、幸せも生まれづらいはず。それなのに、なぜ人はラベリングをしてしまうのでしょう? ゲイ、学生ママ、エリートという、ラベリングされやすい3人が語り合いました。
「ゲイ」「学生ママ」「エリート」とか分かりやすい肩書きじゃなくても、ラベリングはいたるところに存在する






太田尚樹(おおた なおき)さん。従来のLGBTサイトとは一線を画す、アートやエンタメ性を重視したWebサイト「やる気あり美」の代表。「世の中とLGBTのグッとくる接点をもっと」をミッションに掲げ、ユニークなコンテンツの発信や料理イベント、農家のプロデュースなど幅広い活動を行っている。


男は仕事ができて、何人かデートできる女の子がいて一人前。そんな雰囲気があって、先輩からは「尚樹、最近遊んでんの?」といつも言われてました。
これも一種の「男はこうあるべき」というラベリングですよね。


キラキラ地獄エリートさん。 都内某大学卒業後、日系の大手企業に入社。エリートでありながら、その滑稽さや疑問をTwitter(@teihenelite)やブログで発信している。写真の顔を隠しているのはTwitterのアイコン画像。


僕の会社の中で、先輩の言うことに後輩が従うのは絶対。事業を成功させるより、上に気に入られることが大事なんです。
「年下はこうあるべき」というラベリングがあるなと感じます。


柳下桃子(やぎした ももこ)。慶應義塾大学文学部在学中。2歳の娘と夫と暮らす。サイボウズ式編集部インターン生。

発注側・受注側の力関係の中で、無理にエリート感を出すから、自分の方が偉い、正しいと思えてしまう。すると、間違ったことも指摘できない構図が生まれる。
それで会社が回っていることに違和感を覚えますよね。日本の生産性が低いのはもしかしたらそこが原因なんじゃないかな。


ラベリングされやすい「肩書き」と「コンプレックス」の複雑な関係

なんでエリートの道を歩もうと思ったんですか?



だから就活では、親父を超えたい、認められたい、というコンプレックスを解消するために、「エリート」という肩書きを手に入れようとして会社を受けていましたね。




でも僕はそんな道に興味はなかったし、むしろ途中で自分がゲイだっていうことにも気づいてしまった。どんどん自分がいわゆる「普通の道」から外れていくのを感じていたんです。


なんで自分はうまくレールに乗れへんのやろう? そのことに対してものすごく自分に対するコンプレックスがあって、「僕だって普通の道を歩めるんやぞ!」っていうことを証明するためだけに、大学に行って、大手企業に就職しました。






一方で、私は一度大学4年まで行って、就職の内定も決まっていたんですね。けれど、自分のしたい研究テーマをしている先生が大学にいることを知って。内定を辞退してでも学びたい! と思い、学士入学したんです。
みんなから「いいな」って言われましたし、誇りと自信を持って自分の道を歩めた感があります。


コメント欄にはもちろんネガティブなことがたくさん書いてあって。


けど、やっぱり意思を持ってこの道を選んだってことを訴えたいから、就活したり、大学に入りなおしたり、ってことをブログで発信しています。


ラベリングをどう強みにするか

「学生ママ」という肩書きを前面に押し出して、興味を持っていただいてから自分の詳細な話をする。「ああ、学生ママの子ね!」と印象に持っていただくことが多かったので、その点に関してはよかったなと思います。
キラキラさんはどうですか?





興味を持ってもらうことで、関係構築を早められることがありますよね。そこは、ラベリングの良さかなあと思います。
肩書きは「ジャム」みたいなもの。ちゃんと中身を食べようとしているか?

学生ママも浮かんだんですけど、一番に押し出したくない。それよりも絶対に自分を表すいい言葉があるはずなので、そこには肩書きの部分じゃなく、性格とか内面を置きたいです。



慣れきったことではありながら、切なさも実は感じています。僕の持っている「ゲイ」という表面上の箱が、その人にとっては僕の一番の価値なのかって。
「こいつはいいヤツやねん」とか、「イケてる連載書いてるねん」とか言われて紹介された方が、断然にうれしいです。




けど、食べてみないと本当の味はわからない。肩書きで人を判断してラベリングする人は、ジャムを瓶だけで判断して、決して食べようとはしないんですよね。



人には肩書き以外のいろんな面があるって気づいてからの方が、人生が楽しい


僕も頭の中で、エリートだとかゲイだとかカテゴライズはしてますけど、その奥に何かあるんだろうと思ってると、差別にはつながらない。


けれど、人にはいろんな面があるって気づいてからの方が、人生が楽しくて。周りの人たちがカラフルになったイメージです。

「独身」「既婚」というのも一つのラベリングだし、気づくターニングポイントになる人は多いのかも。


前に、アフリカから移住してきて日本で働いてる女性に取材したら、「日本人はみんな一緒というけど、私はそう思ったことは一回もない。みんな全然違う」と言ってたんです。
普通に考えてそれもそうだなと。だからそういう考えを持ったし、持ち続けたいと思っています。

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執筆
撮影・イラスト

橋本 美花
主に人物写真を撮らせていただいているカメラマンです。お仕事以外では海外へ行ってスナップ写真を撮ることが大好きです。自転車に乗りながら歌うことも好きです。
編集

柳下 桃子
サイボウズ式編集部のインターン大学生。 大学卒業後、さらに学士入学をしたため、すこし長めの学生生活を送る。学生中に家庭を持ち、多様性や家族についての関心を広げる。