「自分に合った会社を選びたい。でも、自分に合った働き方や会社がまだピンとこない……」
就職活動をするうえで、多くの学生がこのように考え、悩みます。サイボウズ式の記事を作るインターン生も、同じような悩みにぶつかる人がほとんど。
リモートワークや時短勤務、複業など、一人ひとりが自分に合った働き方を選択するサイボウズ。そんな環境にいるインターン生はこんなことを思いました。
「サイボウズ社員全員の働き方を調べてみて、その働き方を選択した理由を聞いてみたい。そうしたら、自分に合った働き方を見つけるヒントが得られるのでは?」
サイボウズには、社員が働き方を自由に決められる「働き方宣言制度」があります。今回はインターン生が、サイボウズの社員約500人の働き方宣言をリサーチし、仕事への向き合い方のヒントを探りました。
サイボウズ社員約500人の働き方を調べてみた!
山口
サイボウズには、「働き方宣言制度」という制度があるじゃないですか。一人ひとり、自分で働き方の詳細を自由に決めて宣言できるっていう。
柳下
ありますね。
山口
これ、本当に自由に宣言できているんですかね。みなさんが実際にどんな働き方を選択しているか、気になりませんか?
鈴木
たしかに気になる……。
佐藤
kintone(キントーン)上の各社員さんのプロフィールページに飛べば、その方の働き方宣言が見られるようになっているって聞きました。
津川
え、そうなんですか! 全員分知りたい!
津川
せっかくなので全員調べましょうよ!
山口
うーーん。大変だけどたしかに調べてみる価値はありそう……。やりますか!
……ということで、インターン生チームは1週間ほどかけて、全社員約500人分の働き方宣言を徹底リサーチすることに。
週3勤務、早朝出勤、リモートワークはしない、見えてきた多様な働き方
山口
や、やっと終わった……。
佐藤
思ったより大変でしたね……。みなさん、本当に働き方がバラバラなんですね。せっかくなので、ユニークな働き方をしている方をシェアしていきませんか?
柳下
そうしましょう!
佐藤
私が気になった方はこちらです。とても細かく時間を宣言されているのが印象的でした。
経営企画部の島口さん。月曜日の午前7時半-8時半は在宅、金曜日は17時〜17時半の間に中抜けなど、かなり細かく働き方を宣言している
津川
たしかに細かいですね。「習い事の送迎で中抜けする」など、日によっての事情も考慮したうえで柔軟に決めている。
柳下
7時半から8時半は自宅で働くなど、時間だけでなく場所も自由に選ばれているのも印象的です。
鈴木
では次は、ぼくが気になった方を。
開発本部の赤井さん。残業や土日出勤など、緊急性を重視
鈴木
とても緊急性にこだわっている。
山口
いや、なんか思っていた報告と違う……(笑)。
鈴木
こんな人もいましたよ。
開発本部の山口さん。残業、土日出勤など「必要があれば」と、必要性を重視
鈴木
とても必要性にこだわっている。
佐藤
そのシリーズは何なんですか(笑)。
鈴木
あとはこの方ですかね。
開発本部の青田さん。リモートワークをする気はないと宣言
鈴木
サイボウズではリモートワークができる環境が整っているけど、その気がまったくない人もいるのだなと。
山口
リモートワークをする自由があれば、逆にしない自由もあるわけですよね。
津川
いろんな方がいておもしろいですね。私はこの方が気になりました。
運用本部の本橋さん。7時出勤の16時退社。顔出しNGのためいらすとやで対応
津川
来るのも、帰るのも早い。
柳下
自分が効率よく働ける時間は人によって違いますもんね。
津川
あとは、週3出勤の方もいました。
アジャイルコーチの天野さん。週3勤務で月曜と金曜は複業
山口
「週5で働くのが当たり前」と思っていたけど、それも個人の希望次第で変えられるんですね。
柳下
みなさんが挙げてくれた方は「いつ働くか」という部分を宣言されていましたが、「どこで働くか」を宣言されている方もいましたよ。
こちらの方は、完全に在宅で勤務されてるそうです。
グローバル事業本部の高野さん。完全在宅勤務を宣言している
佐藤
これはすごい……! サイボウズの中でも珍しいのでは。
山口
最後は自分が報告しますね。こちらの方です!テレビリポーターの複業をしているようで、めずらしいなと思いました。
カスタマー本部の伊藤さん。毎週水曜の午後、複業でテレビリポーターをしている。月に1,2回は有給を使ってロケに行っているらしい
佐藤
働き方は自由だとわかっていましたけど、本当にいろんな方がいるんですね。みなさん、どうして今の働き方を選択しているのか気になる……。
鈴木
年齢や部署、職種などもバラバラですし、いろんな理由がありそうですね。
佐藤
せっかくなので、手分けして何人かに詳しく話を聞いてみましょう!
「子育てがあっても、仕事を諦めたくない」──完全在宅、高野さんの場合
津川
働き方宣言を見て、ぜひお話を伺いたいなと思いました。現在の働き方について教えていただきたいです。
高野さんの働き方宣言。月曜日から金曜日まで8時~17時半勤務。お昼休憩を1.5時間取得することなどが記載されている
高野
朝の8時から夕方の5時半まで、ほぼ完全に在宅勤務という形で働いています。
ただ、上司と相談して、月に1回以上は会社に顔を出すようにしていますね。
高野寛子(たかの・ひろこ)。
サイボウズ株式会社 グローバル事業本部 グローバル営業支援部 月1出社、完全在宅勤務で働き方を選択している。海外の営業グループのアシスト担当。時差があるため基本的に午前中はビデオ会議の参加、午後は手持ちのタスクを中心にデスクワークを行う
津川
完全在宅も気になったんですが、お昼休憩を1.5時間取っている理由もなんでだろうと思っていました。
高野
お昼休憩でいろいろとやりたいことがあったからです。私は子どもが2人いるのですが、夕飯を作ったりママ友とランチに行ったりしていると、1時間ではなかなか収まらなくて。
津川
家庭との両立が理由だったんですね。在宅勤務も、そうした家庭のことを考えたからなのでしょうか。
高野
そうですね。私は子どもが生まれるまでは、仕事をバリバリやりたいタイプだったんです。けど、生まれてからは考え方が変わり、仕事と子育てのバランスを大事にしたいと思うようになって。
1人目を出産した時は、通勤に往復3時間をかけて、毎日会社に通っていたんですけど……。
津川
それは大変……!
高野
かなり体力的な負担が大きかったですね。そのため、2人目を出産する時に、「完全在宅で働く選択肢」を考えるようになったんです。
津川
働き方を見直すタイミングだったんですね。
高野
そうですね。育休中にじっくり考える時間がありましたし、会社の制度や風土がどんどん良くなっていたので、もしかしたらそういう選択肢もあるのかなあって。
周りの育休中の社員の人にも相談したら「いけるんじゃない?」っていう後押しをもらって、勇気を出して上司に言ったんです。そしたら、「是非チャレンジしてみよう!」と快く受け入れてくれました。
津川
働き方を考える上で、子育てとキャリアの両立に不安を感じる人は多いと思います。完全在宅という働き方を実践してみて、今はどう思いますか?
高野
仕事に自分の働き方を決められるのではなく、自分の人生の変化に合わせてどう働き方を変えていくかを考えられる環境が非常に大事だなと感じています。
本当に柔軟に仕事をさせてもらっていて、子どもが1人で習いごとに通えるようになるまでは仕事を途中で抜けさせてもらうなど、変わりゆくライフステージに合わせて柔軟に働き方を変更させてもらっています。
そして決してキャリアを諦めるわけではなく、昔からの夢だった海外の仕事に携わることも、海外の営業チームのサポートという形で実現できています。
「みんなとは違う、自分の強みを磨きたい。」──複業でテレビリポーター、伊藤さんの場合
山口
テレビリポーターというめずらしい複業をしているということで、伊藤さんにぜひお話を聞きたいなと思いました。
テレビリポーターの複業を始めたきっかけはなんだったんですか?
ローカルブランディング部、伊藤さんの働き方宣言。毎週水曜の午後、複業でテレビリポーターをしている。月に1,2回は有給を使ってロケにも参加している
伊藤
テレビのローカル番組を見ていたら、募集を見かけたんです。サイボウズは複業オッケーだし、やってみようかなと(笑)。
サイボウズでも、テレビ番組制作の仕事をしたことがあったので、もともと興味は持っていました。
伊藤佑介(いとう・ゆうすけ)。2011年新卒入社。サイボウズ松山オフィス勤務。契約窓口であるインフォメーションセンター、導入相談窓口を担当する。ダイレクトマーケティング部を経たのち、現在は兼務もありながら、地域プロモーションを担当。状況に応じてリモートワーク、ウルトラワークを活用し、昨年10月からはテレビリポーターとしての副業も始めている
山口
そうだったんですね。サイボウズでは、どのようなお仕事をされているんですか?
伊藤
ローカルブランディング部という部署で、サイボウズの地域に対するプロモーション活動を行っています。今までさまざまな認知度向上施策を行いましたが、中でも僕はテレビ番組の制作を中心に担当していました。
山口
なるほど。でも実際に「応募しよう」と決断するにはかなりの勇気がいると思うんですが、そこまでできた理由は何なのでしょう……?
伊藤
「人前で話すスキルをもっと磨きたい」という思いがあったためです。
僕は、大きな舞台で登壇して話すことをいずれはしてみたいと思っています。そこで用いるスキルを身につけるために始めました。
山口
人前で話すスキル。たしかにリポーターの仕事で身につきそうです。
伊藤
今のサイボウズの仕事でも多少は人前で話す機会はありますが、その経験だけではスキルを磨くのは難しいと感じました。そこで、リポーターに挑戦してみようと思ったんです。
スタジオでの伊藤さん(後方真ん中)のトークの様子(あいテレビ(愛媛県)毎週水曜日夜7時スタート 『よるマチ!』より)
山口
もともと人前で話すのは好きだったんですか?
伊藤
はい。数年前まで、お客様からのお問い合わせ対応をしていたのですが、話を聞いて、お客様に合わせて会話をしていくのが好きで。
自分の強み、会社に貢献できる部分ってなんだろうと考えたときに思いついたのが、「話すこと」だったんです。
山口
自身の「好きで得意なこと」をさらに伸ばそうと考えたんですね。
伊藤
はい。僕は、専門スキルがない状態で新卒でサイボウズに入社したのですが、中途入社の方々は、知識や専門的なスキルのレベルが高かったんです。
そうした中で、みんなにはない自分のスキルを磨こうと思うようになり、その手段として選択したのが「複業」でした。
「業務によって環境を変える」──午前在宅・午後出社。黒澤さんの場合
佐藤
現在の働き方についてお聞きしてもよろしいですか?
人事本部、黒澤さんの働き方宣言。午前は在宅で勤務し、午後は出社するという働き方
黒沢
月曜日から金曜日まで、午前中は在宅、午後からは出社という形で働かせてもらっています。
佐藤
なぜ、午前と午後で働き方がきっちり分かれているのでしょうか?
黒沢
私はオフィス環境の改善、イベント運営といった業務をしているのですが、業務内容によってやりやすい環境を選んで仕事をさせてもらっています。
自宅では主に、あまりコミュニケーションを必要としない、一人で黙々とやる作業をしています。何かのデザインや企画を考えるとかですね。
オフィスでは逆に、いろんな人とのやり取りが必要になる仕事をメインで取り組んでいます。社内を走り回る必要のあるものや、会議など。
黒澤久美(くろさわ・くみ)。2010年新卒入社。開発本部デザイングループを経たのち、人事本部アシストグループに異動。オフィス環境の改善やコミュニケーション促進、各種イベント運営などの業務を担当している。午前中に在宅、午後に出社という働き方を実践している
佐藤
そうした働き方を選ばれた理由を教えていただきたいです。
黒沢
私はもともと体調があまりよくなくって。以前は開発本部でデザインの仕事をしていて朝から出社して働いていたんですが、そのときは、体調が悪くても「頑張ればなんとかなるだろう」みたいなスタンスだったんですよね(笑)。
自分の体調が理由で午前中在宅にするとか、働き方を変えることに引け目を感じていました。
でも、今の人事部への異動が決まったタイミングで、「せっかくだから働き方もガラッと変えてみよう」と思い、今の働き方を選んだんです。
佐藤
異動する前は、なんとなく働き方を選びづらかったんですか?
黒沢
部署がどうこうではなく、その頃はテレビ会議やチャットツールも今ほど整備されていなかったので、在宅で働くことにまだハードルがあったんです。制度はあっても、うまく使いこなしている人は少なかったと思います。
今は、テレビ会議の精度もぐんと上がり、スマホから簡単にチャットもできるようになりました。なので、在宅での仕事もどんどん当たり前になりつつある気がしますね。
佐藤
なるほど……! たしかに、在宅勤務をしている社員さんをよく見かけます。
黒沢
やっぱり、環境と会社のメンバーの考え方が揃わないと、しっかりした制度があっても自由には選べないと思います。
佐藤
自分にあった働き方を実現する上で、大事なことはなんだと思いますか?
黒沢
働き出す前から自分にあったやり方がわかる人は、ほとんどいないんじゃないかな。
重要なのは、柔軟に働き方を切り替えることができる会社かどうか。そういう制度が整っている会社に入れば、将来、精神的に楽に働けるんじゃないでしょうか。
「どう働きたいか」を考えると、「やりたい仕事」の選択肢が狭まりすぎてしまう
山口
みなさん、いろんな方にお話を聞いてみて、どうでしたか?
津川
これまで就職を考える時、仕事の内容ばかりを重視していたので、働き方を選択するという考え方はすごく新鮮でした。これからは「仕事で何をやりたいか」だけでなく、「プライベートをどうしたいか」も大切にしながら、いろんな軸で会社を見れそうです。
佐藤
「何を」仕事にしたいかも大事ですが、無理なく働くために「どのように」働くかも大事ですよね。
山口
伊藤さんの「会社のために複業をする」という考え方もおもしろかったです。複業は本業の時間を犠牲にしているというイメージもあったので。
柳下
私も働き方が選べるなら、週5じゃなくて週4で働いてみたい。
ただ、黒澤さんもおっしゃっていたように、「自分に合う働き方」を見つけるのは、実際に社会人になってからじゃないと難しくないですか?
鈴木
だからこそ、就活で会社を選ぶときに、「入社後に働き方を柔軟に変えられるか?」を確認することが大事なのかも。
佐藤
一方で、そんな会社がはたしてどれだけあるのかは疑問です……。
山口
よく、「サイボウズだからできるんでしょ」とも言われますよね。
佐藤
私は4月からサイボウズに入社します。もちろん理念にとても共感、納得して決めたんですが、他の業界も以前は見ていました。
そういう意味では、もっと「やりたいこと」としての選択肢もあったはずだなと。「自分の望む働き方」は大事ですが、そこを求めすぎると「やりたいこと」という選択肢が狭まり過ぎてしまうのが今の現実なのかもしれないですね。
山口
「やりたいこと」と「自分が望む働き方」の両方を実現できる会社がこれから増えてきたら、就活するうえで気持ちよく会社選びができそう。
そんな会社に、今後は学生の人気が集まってくるのかもしれませんね。
執筆・山口遼大/企画編集撮影・サイボウズ式インターンチーム