どうする? 在宅勤務
ゲームばかりさせて罪悪感……。子どもとの在宅勤務のコツは「完璧ではなくご機嫌」に過ごすことだった
余裕があれば子どもに読み聞かせをしていっしょに寝る。わたしが仕事や家事をしている間、子どもたちは、基本的にゲームや動画視聴に没頭している。朝ご飯は起きてから別々に、昼食と夕食はいっしょに食べる。
迷ったときの判断軸は「子どもの笑顔が消えていないか」
子どもと在宅勤務をしていると、多くの「判断」に迫られる。例えば「授業」、「食事」の時間や、「学校ではゲーム禁止」といったあらゆるルールがある学校が今まで担ってくれていた、さまざまな行動の善し悪しは、親が判断しなくてはいけない。 これが割と難しい。そんなとき、わたしが判断軸にするのは、子どもが「楽しんでいるかどうか」。試行錯誤して結論づけた指針は、子どもの「笑顔」だった。 なぜなら、子どもが生き生きと笑っているのは、新しいことを吸収したり、自分で工夫をしたり、好奇心が刺激されているときだからだ。勉強以外のことをして一見サボっているように見えても、子どもが笑顔なら、きっと何かを吸収している。こう考えるようにしている(私も、毎回うまくできるわけではないが……)。 子どもを笑顔にしようと思うと、わたし自身に余裕がなくてはならない。子どもが笑わない原因の大半は、親がガミガミ言っていることにある。 結果的に、自分自身の態度を改めることになり、余裕を作らざるをえなくなる。子どもが笑顔であるうちは「きっと間違っていない」と考える。それがわたしにとって原点だし、一番大事なバロメーターだ。 自分の中でこのような「軸」を用意しておくと、「子どもと在宅勤務」で判断に迷った時に便利だ。毎日の定点観測で知る、子どもの新しい一面
子どもと在宅勤務をしていると、週末だけではなく平日も毎日、ゲームや動画コンテンツに没頭している姿を見ることになる。そんな子どもを毎日定点観測するようになってから、性格や好みをより把握できるようになった。 普段は、わたしが仕事をしているデスクの隣で、子どもがゲームをしたりYouTubeをみたりしている。 集中力をそれほど要しない仕事なら大丈夫だが、集中したい時にはイヤフォンをして音楽を聴く。オンライン会議をするときには、別の部屋に行ってもらう。 最初は、子どもたちが長時間、ゲームやYouTubeに没頭していることに親としての罪悪感があった。だが、時間がたつにつれて発見があった。 ゲームをしている姿から彼らの性格や好み、友達との関係などが分かってきたのだ。悪影響のあるものは見ていなさそうだという確認にもなる。これらは、学校に行っていたらなかなか知りえないことだ。 子どもたちのコミュニケーションも垣間見ることができる。最近の子どもは、友だちとオンラインでおしゃべりをしながらゲームをしている。その内容を後で話してくれるので、会話のきっかけも増えた。 ゲームの世界で友だちを助けたり、裏切られたりというコミュニケーションが見られるのは、大きなメリットだ。大人のおしゃべりとは異なる世界といえる。 一般的に、男の子は学校であったことをあまり親に話さないと言われる。わが家も例外ではなかったが、学校に行かなくなり、かつ毎日在宅勤務を子どもと続ける中で、彼らのことも友だちのことも、ずいぶんわかるようになってきた。 毎日接していると、相手の今まで知らなかった一面に出会える。親子でなくても、お互いの理解が深まるよい影響があるのではないだろうか。対等に話すことで得た、忖度なしの良き相談相手
子どもといっしょに過ごす時間が増えると、嬉しいことに会話が増えた。案外伝わっていない「ママはあなたが好き」
特に四六時中いっしょにいると、自分勝手な子どもにガミガミ言ってしまうこともある。お互いに険悪になってうまくいかないときには、「本当は大好きなんだよ」という思いが伝わっていないのかもしれない。 わが子の場合、それをストレートに伝えたことで、大きな変化があらわれた。 次男が登園拒否をし始めたころ、わたしは自分に対して、「子どもにガミガミ言う」ことを許していた。すると、平気そうにしていた次男が、あるときから急に反抗的になった。 わたしは、怒った次男に何度も叩かれた。キッチンの隅で誰にも気づかれずうずくまって泣きながら、北風と太陽の「太陽」になるしかないと考えたことを覚えている。 起きている間、ずっと怒っているような次男が落ち着いている隙を見て、少し切り出した。大人同様、ルールを守れないのは当たり前。怒鳴るのではなく自己判断を促す
子どもが楽しい遊びにかまけてルールを守れないのは当然だ。私たち大人だって、自分で決めたルールをしょっちゅう破る。そう考えると、怒る回数が減って、気持ちが楽になった。 例えばわが家では、ゲームをやる時間に関して最低限のルールを決めている。 基本的にルールは守れてないが、何度か声をかければ、少し遅れて行動する。毎回許容できるわけではないが、彼らの立場に立てば、ゲームがすぐにやめられないのもわかる。 先日、長男は新しい友だちとのゲームが楽しすぎて、夕飯も食べず、夜中までゲームをしていた。そんなことは初めてだった。何度も口うるさく注意したが、怒鳴ったり強制的にやめさせることはしなかった。 友だちとの時間は、何を差し置いても譲れない。大人でも経験があるはずだ。翌朝の大事な仕事を頭の片隅に置きながら、朝まで飲んでしまうといったことが。 そう思うと「ここで大人が示しを付けなくては、子どもがダメになる」なんてことはない。逆に言うと、ダメであたりまえなのかもしれない。 ただやっぱり、子どもが今後どうなるかの不安はつきまとう。その日の夜、ゲームをやめた後にお互い冷静になって話し合ってみた。驚くことに、翌日はゲームをすんなりやめてくれた。怒鳴りつけていたら、こうはいかなかっただろう。 ルールを守れなかったと怒鳴られるよりも、自分の頭で考えるほうが、長い目で見て成長できる。子どもも大人も同じではないだろうか。仕事が間に合わないときは自分の「恐れ」に目を向ける
子どもは自分の思い通りにならない。その結果、仕事に悪影響が出ることもたくさんある。こんな時は、課題の本質や優先順位を考えるようにしている。 わたしの場合「仕事相手からの評価が下がる」ことを受け入れるようにしたら、冷静に対応できるようになった。 例えば、子どもが小さい時の場合、子どもが寝ている間に仕事を進めておきたい。 早起きして4時から作業をはじめたら、だいたい子どもが起きてくる8時ごろまで時間が確保できると思ったが、子どもが5時に起きてしまった……。なんてことは日常茶飯事。 頭の中がパニックになりそうな時は、自分が何を恐れているのか考えるようにしている。結局、すべてがうまくいくことはないけれど、子どもが側にいる生活は楽しい
子どもとすごす在宅勤務は、ほとんど予定通りにいかない。決して簡単ではないし、「もうしんどい」と思う日もたくさんある。ただ、試行錯誤しながら生活していると、やり方や考え方によってはとても楽しい時間にもなると気づいた。 子どもたちと家で過ごすようになって、わたしと子どもたちの関係は大きく変わった。 険悪なムードになったら、「笑顔を見せてくれているかな?」「大好きだと伝わっているかな?」と立ち返るようになった。彼らから学ぶことは本当に多く、何気ない会話や行動にハッとさせられる毎日だ。 当たり前だが、生活のすべてを完璧にこなせなくて当然。わたしの場合は、不完全を受け入れることで気持ちが楽になったし、考え方も前向きになった。 わたし自身がご機嫌でいることは、子どもと在宅勤務をする上でとても大事だ。だからこそ、これからも無理はせず、試行錯誤しながら、お互いが機嫌よくすごせる環境を作っていきたい。SNSシェア
執筆
栃尾 江美
素材を活かしてシンプルに編む「ストーリーエディター」。経営者やスタートアップ、女性の社会進出やダイバーシティ、働き方などを軸にしたインタビュー&執筆多数。ポッドキャスターとしても活動し、現在、Voicy含む5番組に出演中。ブログやSNSも含めたアウトプットフェチが高じて、フォロワーさん向けに「無料アウトプット相談」を実施中。2人の子どもを育てるシングルマザー。いつもご機嫌でいたい。
撮影・イラスト
株式会社LinkStory
元製薬会社、芸大出身、元マンガ家、ビジュアル系バンド、子持ちパパなどが集まってワイワイやっている会社です。主にデザイン、マンガ、イラストやITなどを使っての制作をしています。最近、子ども向けに「ちいさなお届けプッチローリー」の動画配信をはじめました。