サイボウズのつくりかた
サイボウズなのに早く帰れないー激務の営業チームが自分たちで働き方改革をしてみた
経営層は働き方改革と言っているけれど、どうせ現場の働き方は変わらないー。各企業が働き方改革に取り組む中、現場からは不満や諦めの声が出ているという企業も多いのではないでしょうか。
特にお客様の要望に応えなければいけない営業であればなおさら、働き方を変えるのは難易度が高いのかもしれません。
「100人100通りの働き方」を掲げ、ホワイト企業と言われているサイボウズ株式会社の営業部でも、柔軟な働き方ができない状況が続いていました。
「なんでホワイトと言われているサイボウズで、こんなに働いているんだろう。」サイボウズで最も過酷な働き方をしていた営業チームがとった行動とは?チームリーダーの酒本さんにお話を伺いました。
4名体制が3名体制に。22時まで帰れなかったブラック時代
全社の売り上げの15%を占める代理店をたった4人で担当し、予算も毎年、昨対伸長率2桁と上がっていく中で、柔軟な働き方をするなんて無理だと諦めていたんです。
夜中に電話を取るのも普通でしたし、終電まで残業をしたり、土日も普通に仕事をするのが当たり前でした。自分自身も「ワーカホリックかっこいい」「若い時は買ってでも仕事をするべきだ」という感覚があったと思います。
一方で、私は時間管理をしない裁量労働を選択して働いているので、長く働いたからといって残業代がもらえるというわけではありませんし、チーム営業なので個人のインセンティブもありません。目の前の仕事を必死でこなしつつも、「残業代が出るわけじゃないのに自分たちだけこんなに働いていておかしくない?」という思いは心の底にありました。
これまで4人で営業をしていたのですが、メンバーが2人抜け、新しくママ社員の才田さんがメンバーに加わりました。
ハイパフォーマーな才田さんがチームに来てくれたのは助かりましたが、それでも人数が4人から3人に減ってしまったことには変わりないので、かなり激務になりましたね。
働き方改革に取り組む前は、商談から帰って来た後は夜中までメール返信をして、資料作成や企画立案などの業務は週末にやらないと間に合わない状態でした。終電帰りも多くあったと思います。
きっかけになったのは、メールの時間ですね。ある日代理店の方に向けて「サイボウズが働き方改革の講演をするので来てください」と案内メールを送っていたのですが、その時間が深夜だったことに気づいて。
社外に向けて発信している情報と、自分たちの働き方が合致していないことに後ろめたさを感じました。
「社長の青野さんが講演で働き方改革について話すときに、“自分のチームもイケてる働き方ができている”と胸を張って言えるようになりたい」と強く思ったんです。
チーム飲みの場で業務改善の作戦会議を実行
「18時に帰りたい」「有給を消化したい」というものから、「家事の手間をなくしたい」などのプライベートな意見もありました。
次に、その理想を叶えるために何が必要なのかを見極めるために、以下の手順でチームで業務の棚卸しをしました。
マッピングした業務の中から、まずはチームで取り組めそうなところを話し合い、次回アクションを設定します。
例えば「メール返信が特定の人に偏りがちなのでツールを導入したほうがいいのではないか」「提案資料を1から作るのが大変だから、作った資料をお互い共有しておけばいいのでは」という具合です。
第一回では「アイロンの手間をなくすために、ワイシャツは形状記憶のシャツを買う」「振込作業はネットからできるように設定する」などプライベートな話題もありました(笑)
とにかく意見を出すことが大切なので、最初はこれくらいカオスでもいいのかなと思います。
メール共有が働き方を変えた
メンバーの入れ替えがあった時に過去の履歴を共有しやすくなるし、各メンバーが忙しい時期もお互いを助け合えるようにしたいとのことでした。
また、僕たち営業は外出が多いので、メーラーは「モバイルでメールを確認しやすいものが良い」というこだわりがありました。ブラウザにアクセスしてメールを見なければいけない状態だと外出先から確認しづらいので嫌だったんです。
そんな中、メールワイズというメール共有ツールはモバイルアプリが出るとのことだったので、じゃあ使ってみようかという話になりました。
「営業が個人アドレスを廃止して大丈夫なのか」という懸念はありましたが、お客様や代理店様には「今日からこの代表アドレスから返信します」ということを伝えて、思い切って運用を開始しました。
そのため、他のメンバーが子供の熱で商談にいけない時などに、それまでのやりとりをいちいち転送しなければいけなかったんです。
また、メールの受信量もメンバーによって偏りがあったので、代理店様からの問い合わせが多いメンバーほど残業せざるを得ない状況でした。
チームでメール共有をしてからは、誰かが忙しくても他のメンバーが代わりに対応できるようになったので、負荷が分散できるようになりましたし、常に案件やお客様の情報を共有しているので、より助け合いの風土が強くなったと思います。
そこで、クラウド型データベースのkintoneを利用し、チームで資料を共有するようにしました。
チームで資料共有をするようにしてからは、自分が資料を作る際、過去に同じような資料がないか検索してから作るようになり、効率的に業務が進められるようになったと思います。
また、コメントもできるのでチームでアドバイスをし合いながら資料をブラッシュアップできるようになりました。
属人化がなくなり、1ヶ月の有給が取れるように
残業削減以外にも様々な効果が出ています。深澤というメンバーは早く帰れるようになった時間を使って副業を始めましたし、私も英語を勉強する時間が取れるようになりました。
最近はリーダーの私がフィリピン留学で1ヶ月の長期休みをいただいていたのですが、私がいなくても業務が回るようになっています(笑)
気持ちだけでは業務改善はできない
僕らのチームは激務でしたが、助け合いの文化はかなりあったと自負してます。
それでも、個人のパソコンに情報が閉じ込められている状況だと、「メールを代わりに返信して欲しい」「資料を共有してほしい」とちょっとチームメンバーにお願いをするのも、転送をしたり資料をアップロードする手間が発生するので、気を遣う人ほどためらってしまいます。
常にチームで情報を共有し、コメント欄で気軽にコミュニケーションを取れる環境を整えたことで、助け合いの風土がさらに醸成されました。
助け合いの気持ちや風土だけでは変えられないこともある。まさに風土がツールに負けた、という感じです。
また「まずはやってみる」というフットワークの軽さでしょうか。僕達も業務改善のやり方わからない素人でしたが、まずは出てきた改善アイデアをどんどん試してみてチャレンジすることでなんとかブラックな状況から脱することができました。
とりあえず行動してみることで状況は変わるということを伝えたいです。
今だと働き方改革の雰囲気があるので、「業務改善のプロジェクトをしたい」と言えば上長の承認もとりやすいんじゃないですかね。
KAIZEN会議はお酒を飲みながらでもできるので、一度チームで「自分達はどんな働き方をしたいのか」「どうしたら理想の働き方を実現できるか」を建設的に話し合ってみてはいかがでしょうか。
今回僕たちが使ったのは、メールワイズとkintoneというツールです。僕たちのように、まずはツールを使って業務改善を始めてみませんか?非効率な業務に困っている方がいれば、ぜひメールワイズとkintoneを試してみてください!
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執筆:熱田優香 / 撮影:山本悠子
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