サイボウズのつくりかた
「青野さん、取材やTwitterばかりで仕事できてるんですか?」と聞いてみたら、マネジャーが本当にすべきことが見えてきた

時短だ、働き方改革だというけれど、目の前の仕事はいそがしくなる一方。「もっと部下や後輩に業務を任せたほうがいい」なんて言われても、現実にはなかなか難しい。そんな悩みを抱えるマネジャー・リーダーは少なくないと思います。
うまく人に仕事を任せていくためには、どんな心構えや工夫が必要なのでしょうか。
さまざまなメディアに顔を出し、選択的夫婦別姓の容認を求める裁判に挑み、Twitter(@aono)でも積極的に発信するサイボウズの代表取締役社長・青野慶久。「なんだかいそがしそうだけど、経営者としての時間はどう確保しているのだろう?」
不思議に思ったサイボウズ社員が、直接聞いてみることにしました。
仕事をたくさん任せています



青野慶久(あおの・よしひさ)。1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立し、2005年4月に代表取締役社長に就任(現任)。ここ数年はメディア出演やTwitter(@aono)での露出が増えつつある。



サイボウズ 新卒3年目の吉原。仕事の合間にTwitter(@yosshimusic)を開くと、青野さんが何かしらツイートしていることが多く、その頻度に驚きと一抹の疑念を抱いている。

直接かつ簡単に仕事を任せやすい仕組み




たとえば僕、創業時からずっと秘書がいないんですよ。


秘書がいると、何事も「まずはこの人を通しましょう」となりますよね。すると、誰かが僕のスケジュールを押さえたいときにも、秘書を通して、僕が確認して、また秘書が返事をすることになる。
めちゃくちゃ無駄ですよね!? 直接僕に言ってくれたらいいじゃないですか。

「無駄は良くないですよ」




そういえば僕も青野さんの予定は見られるのでした


サイボウズのグループウェア「Garoon」内の「青野慶久からの無茶ぶり」スペース


福岡の営業の案件を、福岡の営業担当に直接連絡している




そんなときにまたほかの人に説明し直すのは大変だから、最初からすべて公開しておいて、別の人に宛先指定をし直せばいいだけにしているんです。

共有すべき相手をあとから思いついたので、宛先指定を追加している様子


“無駄”について語り出すと止まらない

これは、仕事を任せるのが楽にできそうですね。経営者でなくとも、実践できるところはありそうです。
理想に立ち帰れば、任せるべき仕事が見えてくる

任せるどころか、「自分がかかわることについては、何でも自分が握れていないと気がすまない」という人も少なくないと思うのですが。



(社長に仕事をあきらめられると困るぞ……?)



だからあきらめています。「すべてを把握すること」が、理想につながるわけでもないと思いますし。


そう考えると、仕事を他人に任せられない人は、「そもそも何がやりたかったんだっけ?」と、理想に立ち戻ることが必要なのかもしれませんね。そうすれば、「他人に任せるべき仕事」が見えてくるはずです。
マネジャーが自分ですべきことはそんなに多くない


けど、もっとすごい球を投げたり、もっとよく打てたりする人が周りにはいて、任せてしまったほうがいいこともあると少しずつ気づいたんです。
最近はむしろ、メンバーに任せられることが本当に多くて、僕の仕事はいずれなくなっちゃうんじゃないかなとさえ、ときどき思いますよ。



「広報活動」と「意思決定」は最初に言った通りです。あとは「価値観の番人」。これはわたしのようなマネジャーの役を担う人間にとって、重要な仕事だと思っています。


この価値観から逸脱した様子が社内で見られないかだけはよく見守って、必要なら声をかけるようにしています。


いろんな人たちのやっていることや考えていることが見えるので、それを見つつ、声をかけたり、改めてメンバーみんなに発信したりしています。

青野が守ってほしい価値観について、サイボウズの業務改善クラウドサービス「kintone」上で発信している様子


意思決定と、チームの価値観を守る活動。そして、経営者なら広報活動。あとは、誰かに任せてみてもいいんじゃないでしょうか?

今日はありがとうございました。青野さんがTwitterばかりしているわけでもなく、社内無職になるわけでもなさそうで、安心しました(笑)。

ガルーンなら、共有したスケジュールに添付資料を貼るだけ!
— 青野慶久@サイボウズ (@aono) 2018年10月23日
『会議は印刷から始まってるんだ!』
会議前の最重要任務。
https://t.co/xT3fHr3kSZ #Cybozu #Garoon #ざんねんな情報共有ずかん
文:多田慎介/撮影:内田明人/企画編集:吉原寿樹
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執筆

多田 慎介
1983年、石川県金沢市生まれ。求人広告代理店、編集プロダクションを経て2015年よりフリーランス。個人の働き方やキャリア形成、教育、企業の採用コンテンツなど、いろいろなテーマで執筆中。
撮影・イラスト

編集

吉原 寿樹
1995年、大阪生まれ。2017年にサイボウズへ新卒入社。働き方やツールに関するコンテンツ制作を通して、サイボウズが製品で提供できる価値をより広く伝えるプロモーションに取り組んでいます。趣味は音楽・ゲーム・読書。