Twitterのプロフィール、古くないですか?──新人からダメ出しされた副社長に、イラっとしなかったのか聞いてみた

それは、新人たちの何気ない会話から始まった
それは、サイボウズマーケティング本部の新人4人による何気ない会話から始まりました。

(*)サイボウズ取締役副社長 兼 サイボウズUS社長の山田理(やまだ・おさむ)





いても立ってもいられなくなった4人は、グループウェア上で副社長へのダメ出しを開始。その流れで副社長のTwitterアカウントをプロデュースすることになったのでした。

社内グループウェアでのやりとり。新人たちで盛り上がっていたらまさかのご本人登場
このやり取りがTwitter上で展開されると「新人の言うことを素直に聞く副社長がすごい!」と話題になり、ネットニュースにも取り上げられることに。
まさか自分がYahoo!ニュースに出るなんて…なんて日だ!https://t.co/WPCNKYMJqk
— Osamu/山田理@サイボウズ (@osamu419) June 17, 2019
1200人ほどだった副社長のフォロワーは現在、4300人以上に増えています。
理さん、Twitter上では受け入れてくれていたけど、新人にダメ出しされて本当にイライラしなかったの? もしそうだとしたら、その寛容さはどこから生まれてきているの? 疑問に思った新人たちは、理さんが東京にいるタイミングを見計らって、取材を行うことにしました。
理さん、新人にダメ出しされて、ぶっちゃけどんな気持ちでしたか……?
新人にダメ出しされて「めっちゃおもしろい」「やるやん」と思った


山田理(やまだ・おさむ @osamu419)。サイボウズ 取締役副社長 兼 サイボウズUS(Kintone Corporation)社長。1992年日本興業銀行入行。2000年にサイボウズへ転職し、責任者として財務、人事および法務部門を担当し、同社の人事制度・教育研修制度の構築を手がける。2014年からグローバルへの事業拡大を企図し、米国現地法人立ち上げのためサンフランシスコに赴任し、現在に至る。初の著書『最軽量のマネジメント』を11月7日に上梓





自分のTwitterのプロフィールについてダメ出しされていることがわかって、「おいおい、ほんまかいな」と最初は思いました。
ちょっと怒ってます……?




僕はTwitterのこともよくわかってないのよ。
僕よりもマーケティング部の若い人たちのほうがネットやSNSに長けているから、「この機会に教えてもらおう」という感じやった。で、どうせやるなら表に出てやったほうがおもしろそうやんって。




マーケティングでも開発でも営業でも「現場のみんなのほうが詳しいな」と感じる経験をたくさんしてきたんで、年齢や社歴は気にしてないよ。
怒ってなかったみたいです
「新人だから」といって恐縮する必要なんてない

サイボウズがフラットな組織だというのは頭ではわかっているんですけど。

山田翠(やまだ みどり)、高橋団(たかはし だん)、佐藤萌音(さとう もね)、武田暁誉(たけだ あきもと)(写真左から)。ビジネスマーケティング本部の新人たち。2019年4月入社




「誰が言うか」よりも「何を言うか」を大事にしてくれているんだなって。

もちろん、みんなが提案してくれたことが、僕から見てもイケてない内容だったら受け入れてなかったはず。僕にはないクオリティの高さがあるから受け入れたわけで、新人の言うことだから聞いたわけではないよ。
むしろ僕も「私たちの提案を受け入れない副社長って何やねん、センスないな」と言われるくらいの多少の覚悟はあったよ(笑)。なので「新人だから」といって恐縮する必要なんて全然ない。
本番です。
— Osamu/山田理@サイボウズ (@osamu419) June 11, 2019
「新人さんにこんな爽やかにしてもらいました!」 pic.twitter.com/kMysclamgS
この月のインプレッション数は驚異の200万越え、プロフィールへのアクセスは前月の100倍だったとか……。
「お前らに何がわかんねん!」と思うときはあるけど、「一概に自分が正しいとは言いきれないぞ」とも思う

そうすれば僕は、自分の強みを伸ばしていくことに集中できるから。






こだわりがあるところとないところ、自分の強みだと思うところと弱みだと思うところは、切り分けて考えてるね。






そんな変化を目の当たりにしてきたから、「強みの部分だからといって一概に自分が正しいとは言いきられへんな」ということは身に染みているつもり。
そういう意味では、僕のこだわりがある領域でもどんどん意見してほしいよね。



理さんが「THE・昭和」だった時代に入社しなくて本当によかった……
(*2)サイボウズ5精神:「一芸に秀でる、ベストを尽くす、誠実、チームワーク、人から学ぶ」の5つ。現在は廃止済み。最初に作った『サイボウズ7精神』を覚えてもらえなかったため、わざわざ2つ減らしたらしい。
こう見えて、意外と繊細やねん

でも理さんの話を聞いていると、時が経つにつれて柔軟になっているようにも感じます。



打たれ弱いし……こう見えて、意外と繊細やねん。
こう見えて、意外と繊細やねん


あまり人から嫌われたくないと思うし、僕はどちらかというと空気を読むほうやから、反対意見が来ると「何で反対するの?」って気になってしまう。




働く人を幸せにするのも会社がやるべきことだし、そもそも会社って必要なのか? といったことも含めて、僕らが考えていることはこれからの時代に必要なことなんじゃないかという自信もある。
「もっと利益を追求して株価を上げていくべきだ」とか「時価総額を上げてお金でみんなを幸せにするべきだ」とか言われても、まったく動じないね。
組織作りの話題になると表情が変わりました

成功体験にとらわれないために必要なのは「大海を知る」こと


僕らはまだ日本の中を変えていないし、ましてや世界も歴史も変えられていない。まだまだ全然できていないことばかりよね。
青野さんも「うちは本当にイケてないな〜」とよく言ってるし(笑)。
「イケてないな〜」と笑う理さん。そんなことないですよ


会社の中ばかり見て幸せを感じているだけだと、「井の中の蛙」になってしまうのかもしれない。そういう意味ではまず、大海を知るべきとちゃうかなと思う。


井の中の蛙でも幸せに生きていけるかもしれない。でも少なくとも僕は、外の大海を見ていたいね。
安心できる居場所があれば、「新人」のくくりはいらないんじゃない?




昔は先輩や上司へのダメ出しは陰で言うくらいしかなかったけど、今はみんなの前で言えるから。Twitterでつぶやいてもいいし、社内のグループウェアに書いてもいい。


100人100通りの幸せを実現するためには、おかしいと思うことをオープンに言い合っていかないとアカンねん。



とはいえ所属部署もあるわけやし、そこで居場所が確保できるなら、「新人」のくくりはいらないんとちゃうかな。




SNSシェア
執筆

多田 慎介
1983年、石川県金沢市生まれ。求人広告代理店、編集プロダクションを経て2015年よりフリーランス。個人の働き方やキャリア形成、教育、企業の採用コンテンツなど、いろいろなテーマで執筆中。
撮影・イラスト

編集

高橋団
2019年に新卒でサイボウズに入社。サイボウズ式初の新人編集部員。神奈川出身。大学では学生記者として活動。スポーツとチームワークに興味があります。複業でスポーツを中心に写真を撮っています。