働き方が多様化しても、「仕事のしんどさ」は変わらない? ──個人のしんどい気持ちとの向き合い方を考えた

「仕事って、しんどいもの」というのは、働く人なら誰しも抱える気持ちなのかもしれません。
責任が重い、仕事内容が難しい、コミュニケーションがうまくとれない……そんな「しんどさ」とどのように向き合えば、気持ちをリセットできるのでしょうか?
今回サイボウズ式では、そんなマイナスの気持ちをゼロに戻すきっかけをつくるため、特集「ひとりじゃ、そりゃしんどいわ」を始めます。
記念すべき第1回目では編集部メンバーそれぞれの「仕事のしんどさ」とその向き合い方について、真剣に考えてみました。座談会の模様をレポートします!
責任、孤独、プレッシャー……仕事で感じる「しんどさ」の中身

わたしの場合、やっと一通り仕事を覚えたと思ったら、また新しいことを覚える必要が出てくる……といった挑戦の連続に、ときどきしんどさを感じることがあります。

神保麻希(じんぼ・まき)。2019年キャリア入社。前職では総合PR代理店で広告営業・プランナーを担当。「心理的安全性」のテーマに興味関心あり


最初は「よしやるぞ!」って思えるんですけど、だんだん疲れやタスクがたまっていって、しんどいなと思ってしまう瞬間もあるんですよね。

すごく短い納期の仕事があり、ずっと働き詰めだったら、疲労がたまるのがしんどい。でも、これは終わりが見えているからまだいいんです。
一方、心のしんどさは一人で向き合わなきゃならず、なかなか終わりが見えない。
たとえば、僕は以前の会社で中間管理職になったとき、いままで同じ立場だったメンバーと距離が遠くなった気がして。そこで寂しさを感じたし、誰にもわかってもらえないつらさもありました。

竹内義晴(たけうち・よしはる)。2017年キャリア入社。新潟でNPO法人を経営しながら、サイボウズで複業している。コミュニケーション心理学やコーチングが専門


たとえば、休みの日に友達から遊びに誘われたとき、「その日仕事なんだよね」と言うと、「え〜、大変だね」と返されてしまう。
「仕事って大変でつらいもの」と、みんな思っているんじゃないかなって。

「しんどい」基準がわからないから、防ぎようがないんです

大学の頃は先輩といっしょにプロジェクトを進めることが多かったので、先輩の後をついていけばよかったんです。
だから、入社したての頃は、そのギャップがしんどかったですね。

高橋団(たかはし・だん)。2019年新卒入社。大学では学生記者をしながら、スポーツとチームワークに関心を持つ。複業ではフォトグラファーとして活動


だからこそ、しんどさを予防できないんじゃないか、と。それが新人としての悩みなのかもしれません。

深水麻初(ふかみ・まうい)。2021年新卒入社。特集「多様性、なんで避けてしまうんだろう?」の担当。大学では社会学を専攻し、ジェンダーを学ぶ


常に周りと比べて、しんどさを測っているところがあります。
苦手なことを言い出せない、やりたいことができない……自分に正直になれないしんどさ

ほかの分野と比べて、どうしてもエンジンがかかりにくかったり、パフォーマンスを発揮できなかったりするんですよね。

鮫島みな(さめじま・みな)。2018年に新卒でサイボウズ入社。1年半営業を経験し、コーポレートブランディング部へ異動。サイボウズ式とUS版メディアKintopiaの企画・編集にかかわる

でも、バレちゃいけない、言っちゃいけないって思っていると、しんどいですよね。


「こうなりたい、あれをやりたい」と思っているのに、いまの環境ではどうにもできない、というのもしんどいですよね。


生きていくためには働かなきゃいけないですが、「やりたいことができなくても、仕事だから仕方ない」と振り回され続けていると、しんどさは消えないままですよね。
求められる仕事をしつつ、ある程度自分の欲も出していく。この塩梅って難しいですよね。
「成長」や「やりがい」が見えていれば、仕事もしんどいだけではない


アレックス・ストゥレ。2018年キャリア入社。スイス出身。グローバルコンテンツ、英語ブランディングを担当。イギリスのノッティンガム大学で修士人権法を学び、2016年から日本に在住

後から振り返ると、「あのときの経験が生きているな」と思うことはあるけれど。


最近編集部では、ザツダン会や振り返り会を設けていますが、そこがしんどさを共有する場になっていますよね。
しんどさを吐き出しやすくなったのはもちろん、「これをやってみたい」という声も出てきて、いろいろなプロジェクトが生まれる場にもなっているなと思います。

サイボウズ式編集部では「仕事の進め方の振り返り」アプリを使用し、不安をチーム内に共有。ネクストアクションや改善につなげている

でも、チームメンバーに話すことで、頭の中が整理されて楽になったり、手伝ってもらえたりと、お得なことも多いんですよね。

編集部でも「1日あたりの会議数が増えていて、しんどい」という声をきっかけに、チームで会議の内容や頻度を見直しましたね。
毎週の会議を隔週にしたり、会議のオーナーを分散したり、一部の会議を自由参加にしたり……。しんどさを共有することで仕組みが変わったいい機会でした。
「しんどいって言ってくれてありがとう!」と伝えられる関係がいい

いっそのこと、みんなが「チームのためにもしんどさは伝えていい」くらいの認識を持てれば、言いやすくなるんじゃないでしょうか。



だけど、「そもそも言えないから、苦労してるんだよ」って気持ちが、いろんなチームや会社の中であるような気がして。

藤村能光(ふじむら・よしみつ)。サイボウズ式編集長。「仕事のしんどさ」も含めたストレスが大の苦手。頭の中にある不安を紙に書き出すジャーナリング、マインドフルネスのためにサウナに行くなど、自分で対処できるストレス対策を実践中


もちろん、それぞれが抱えるしんどさの中身は異なり、理解しきれないしんどさもあるとは思います。
でもだからこそ、理解できなくても受け入れて、改善できる道をみんなで探っていくことが、大切なんじゃないかな、と。

むしろ、「しんどい」と言ってくれることこそが、未来に向かうための一歩になるんだと。そういう認識に変わっていけばいいなって思います。
しんどい気持ちが、ゼロに近づけるコンテンツを

今回の特集を決めるまでに、編集部ではさまざまなテーマ案を出し合いましたね。
そして、挙がったどのテーマにも「仕事=ツラい、しんどい、我慢が多い」が当たり前になっている、という共通点がありました。

でも、一人ひとりが仕事に対して感じている「しんどさ」は、いまでも変わらない気がして。

何度も話し合いを重ねる中で、そんな再発見がありましたね。

その中で、個々が抱えるしんどさやそれとの付き合い方を共有し、読者の方の重荷を少しでも減らせたらな、と。

この特集を通じて、読んでくださる方に感じてほしいことを、みなさんに聞きたいです。

たとえば、しんどい思いをしている人がいたら、「たくさん働いていて、えらいね」ではなく、「みんなで解決できないか話してみよう」という反応に変えていく。
社会全体がそうなれば「仕事=しんどい」という方程式も、徐々に変わっていくんじゃないかなって思います。

穂積真人(ほづみ・まさと)。2021年キャリア入社。前職では総合広告代理店で勤務。福島県に在住しながら、複業で「移住施策アドバイザー」を勤める

読者のみなさんに「しんどいって感じていてもよかったんだ」と思ってもらいたいし、周りのしんどそうな人に共有したくなるコンテンツになればいいなって思います。

僕らも特集を通じてこうしたことを伝えつつ、読者からも「こんなしんどさがあるんです」っていろいろ教えてもらえたらうれしいですね。
企画:サイボウズ式 編集部/執筆:モリヤワオン(ノオト) /編集:野阪拓海(ノオト)
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