働き方改革、楽しくないのはなぜだろう。

「男性育休」「夫婦別姓」「配偶者控除」、なにが女性の活躍を阻むのか ──野田聖子×サイボウズ青野慶久

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当選回数8回キャリア23年の衆議院議員である野田聖子さんとサイボウズの青野慶久社長には、両夫婦とも「妻側の姓」に夫が変えたという共通点がありました。野田さんはプライベートでは一児の母であり、女性の活躍や少子化対策にも熱心に活動されています。

前回に引き続き、サイボウズ ワークスタイルドラマ「声」(ドラマは公開を終了しました)を見て、夫婦コミュニケーションや子育てについて語る、対談連載第2回目(全3回)。 今回は、男性育休、夫婦別姓そして配偶者控除など、具体的な社会制度や政策について引き続き活発なやりとりがつづきます。

男性育休を罰則規定し出世の条件へ、男性の見えざるハードルを潰していく

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野田聖子さん。1960年生まれ。衆議院議員。上智大学外国語学部比較文化学科を卒業後、帝国ホテルに入社。祖母・野田光の死去に伴い、野田卯一の養女となり野田姓を継ぐ。87年岐阜県議会選挙当選。93年、32歳で衆議院議員選挙初当選。現在当選8回。98年、郵政大臣就任。福田、麻生内閣で内閣府特命担当大臣(科学技術政策・食品安全)、消費者行政推進担当大臣、宇宙開発担当大臣、自由民主党総務会長等を務める。プライベートでは一児の母

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青野 慶久(あおの よしひさ)。1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年4月代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を推進し離職率を6分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。2011年から事業のクラウド化を進める。総務省ワークスタイル変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)がある

最高裁判決のおかげで「夫婦別姓は立法府の仕事」と、やっと国会にボールが来た

夫婦別姓問題とは

現在日本で焦点になっているのは、婚姻時に夫婦どちらか一方の姓に揃えなければならないとする”夫婦同姓”の見直し。先進国では稀な夫婦同姓制度を守る日本では、慣習的に女性の側が男性の氏に改姓するケースが96%に及んでいる。

パスポートや運転免許証、銀行口座や資格証明書など、日本社会では原則戸籍名で表記しなければならないものがたくさんある。結婚後も仕事上の便宜性から旧姓を引き続き名乗りたいとする女性が、暮らしのあらゆる場面で不便を強いられることから、夫婦同姓は現代社会にそぐわない制度であるとして、90年代以降「結婚した時に夫婦同姓か別姓かを自由に選択できる」とする選択的夫婦別姓の導入実現が望まれ、社会的な議論が重ねられてきた。

しかし2015年12月、事実婚の夫婦合わせて5人が「夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法違反」として、日本国政府に対し損害賠償を求めた訴訟で、最高裁判所大法廷は、民法の規定を合憲とする判断を示し却下。民法改正の動きは頓挫したとして、大きな社会的反響を呼んだ。

2016年には国連女性差別撤廃委員会が「実際には女性に夫の姓を強制している」として、選択的夫婦別姓制度導入のための民法改正を求める再度の勧告を行っている。

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女性の活躍の阻害要因、もう一つは専業主婦のお値打ち感のシンボル「配偶者控除」

第3回 長時間労働の男性と同じ、子育てに疲れている人には100のなぐさめより2時間の休息につづく


文:河崎環/写真:谷川真紀子/編集:小原弓佳


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Cybozu

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