インターン大学生の疑問
「やりたいこと」が見つかるとは限らないけど、可能性は自分で高めていける──印度カリー子
就職活動などで必ず聞かれる「あなたのやりたいことは何ですか?」という質問。聞かれてもピンとくるものが思い浮かばず、悩んでいる学生は多いのでは。
そんな中、もともと「やりたいこと」がない状態から「やりたいこと」を見つけ、真摯に向き合っている大学生を見つけました。その名は印度カリー子さん。カリー子さんは、「インドカレーの魅力を広める」というやりたいことのために、ご自身でスパイスショップを経営しています。現在4年生のカリー子さんは、多忙な中で大学院への進学を選択し、インドカレーを広める事業と並行して研究活動も続けているとのこと。
カリー子さんはどうやって自分のやりたいことに出会い、向き合ってきたのでしょうか。サイボウズ式インターン生の鈴木健斗がお話を伺いました。
「興味」と「環境」と「きっかけ」が重なり合ったとき、すべてがはじまった
カリー子さんはインドカレーを普及させるために、さまざまな活動をされていますよね。スパイスショップの経営やSNSでの発信など、自分のやりたいことに向かって精力的に取り組まれている印象があります。
そもそもカリー子さんは、どんな経緯でインドカレーに夢中になっていったんですか?
でも、料理をすることは小さい頃からずっと好きで、自分で作ったり、レシピを読んだりしていました。
印度カリー子(いんどかりーこ)。大学の物理学科の4年生。インドカレーの魅力を伝えるために、自身でSNSを使った発信や、スバイスショップの経営を行っている。大学卒業後は大学院に進学し、食品科学の研究を行う予定。
すると、そこには私の知らない香りがたくさんあって、「こんな世界があるんだ!」と驚きました。
でもそのときは、知識がどんどん豊富になっていくだけで、実際に作るまでには至りませんでした。
そうやって、「料理が好き」という興味と、「スパイスショップに通っていた」という環境、「インドカレー好きな姉と同居する」というきっかけが重なって、すべてがはじまったんだと思います。

カリー子さんはインターネット上で自分のお店を開き、誰でも簡単にインドカレーのつくれるスパイスセットを販売している。
自分にとって本当に好きだと思えるものは何かをはっきりさせて、そのために動いてみる
私の場合は「料理」でしたが、読書や人と会うこと、寝ること、なんでも良いと思います。
私の場合は、料理が好きだからスパイスショップに通いましたよね。同じように、読書が好きなら本を読める場所を見つけて通う。人と会うのが好きならば、人と会える場所に行く。そうやって、人脈や知識を自分のものにしておくと、後で行動につながりやすい。
自分の興味や環境を分析的に探し続けていれば、頭の中ですべてがリンクして、奇跡の星が輝く瞬間と出会えるかもしれません。
「なんとなく好き」で終わらせず、自分が本当にそれを好きなのか自問してみる
それに、「なんとなく好きだから」という曖昧な気持ちで接していても、その人や物事を、自分が本気で愛せるかはわからない。初めて出会った人のことをなんとなく「いいなあ」と思っても、その人とずっと長く付き合っていけるかはわからないじゃないですか。
例えば、私であれば「カレーが好きだから、カレーをやっていれば、何かできるかもしれない」なんて適当な気持ちでいるのではなく、「本当にカレーが好きなのか?」と自問してみます。
そこでもし「カレーが好きだと思いたい自分」がちょっとでもいるようであれば、きっとそれは「本当に自分がやりたいこと」ではないんです。長続きしないので、別のことを始めた方がいい。
負けん気の強さが、「やりたいこと」につながった
ただお姉さんにカレーを作るだけだと、そこまでの思いにつながらない気が……。
そこで、誰でも簡単に料理できるように、使い切りのスパイスセットを試しにインターネットで売ってみたんです。そしたら思いのほか反響があって。「これはもしかすると、私以外の人も必要としているものなのかもしれない」と思いました。
「やりたいことができないのはなんでなの?」と先輩に詰められた
突破口は何だったんですか?
それでいろいろ話していたら、「今、やりたいことがあるのに、できないのはなんでなの?」って聞かれたんです。
そう言われたときに、「私まだ全然やってないじゃん」って気づきました。
けど、結局そのときも全部の会社に断られたんです。それで「やっぱり無理じゃん」って思ったんですが、先輩の「本当にいないの?」という言葉が、なんだかずっと心に残っていて……。
そうしていろいろ試行錯誤しながら電話をかけているうちに、話が進んでいきました。
カリー子さんがインターネットで販売しているスパイスセットは、宮城県にある社会福祉法人「はらから」で製造されている。
あの先輩が、なぜあそこまで言ってくれたのか全くわからないんです。会ったのは授業のそれっきりだったので……。早く感謝を伝えに行った方がいいですよね(笑)。
今はやりたいことがたくさんあって、全部あきらめたくない
今はやりたいことがたくさんあるけれど、全部あきらめたくないと思っています。
やりたいことに向き合い始めたら、黄色い線の外側を歩けなくなった
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執筆
多田 慎介
1983年、石川県金沢市生まれ。求人広告代理店、編集プロダクションを経て2015年よりフリーランス。個人の働き方やキャリア形成、教育、企業の採用コンテンツなど、いろいろなテーマで執筆中。
撮影・イラスト
編集
鈴木 健斗
サイボウズ式のインターン生。「サイボウズ式」のコンテンツ制作や「Meetup」などのイベント運営、またコミュニティ「第2編集部」の立ち上げ・運営などに携わる。
