インターン大学生の疑問
2016年の「働き方」はどうだった? 副業や多様性をテーマに編集部で1年を振り返ってみた
2016年も、もうすぐ終わりです。
今年は働き方の多様化が進み、多くの方が自分の働き方について考えるようになったのではないでしょうか。一方「今の働き方で大丈夫?」という方もいらっしゃるはず。
サイボウズ式では今年、会社と個人の関係や働き方を取材してきました。全146記事から選出した5記事をもとに、インターンシップをしている大学生( 私は、眞木といいます!)と編集部メンバーで振り返ってみます。
副業禁止は兼部禁止のなごり?──なんで副業するんだっけ、なんで禁止するんだっけ
副業って、会社だけでは物足りない人がするものだというイメージがあったんです。だからこの記事を読んだ時は驚きました。
そうですか? 僕は副業って、複数の居場所が相乗効果的に影響を与え合って、結果的に本業一本の時よりも、いい状態になるってイメージでした。
なんで副業を禁止してる会社があるんですかね?
部活動の延長みたいな感じじゃないですか? 運動部って兼部しちゃダメってよく言うじゃないですか。
一本に集中しなければ結果は出せない、みたいな論理の延長なのではないでしょうか。
それってかけた時間に対して等しく成果が出る労働だけですよね。
なんでその思考から脱せないんですかね?
変えるのが面倒くさいんじゃない?
過去の成功体験にもよるかもしれませんね。
原因の1つに、専念してくれた方が上司も会社もマネジメントが楽だからというのもあるかも。昔はITが発達してなかったからそもそも無理だったのかもだけど。
他の会社でも副業禁止の取りやめをしてるけど、サイボウズは副業するしないにかかわらず、100%会社にコミットしなくても良くて、貢献できる分だけしてくださいってスタンスなんだよね。その根幹が少し違う気がする。
そうだね。他の会社では業務以外の時間の副業は自由、っていうルールが多いみたい。
業務時間外にも働いてたら……、ワークワーク?
ワークライフじゃなくて(笑)。
副業の選択肢があるのはいいんだけど、仕事が増えるってことだから。そこまでの覚悟が自分にあるのかって自問してる。
副業はお小遣い稼ぎでいいんだ、って風潮は今のワークライフバランス重視の流れには逆行してるよね。がっつりコミットする覚悟がないと、自分の首を絞めることになりそう。
自分の市場価値を高めるために副業できる人が、結局稼ぎにつなげられるって長期的に見たほうがいいよね。
1つの組織に入ってそこに馴染みすぎると、組織の目標を追うばかりで自分なりの目標とかなくなっちゃいそうですよね。でも副業していると、自分を見失いにくいって効果もありそうです。
キャリアプランを考えると自己分析ができる?──2年後、あなたは何をしていたいですか?
キャリアプランって、まだ就職活動も終えていない私にとっては遠い存在なんです……。みなさんのキャリアプランのとらえ方を参考にしたいので、お話を聞かせてください。
「10年後のキャリアプラン」って、就活でよく聞かれるんですかね?
キャリアセンターの人に「考えておくといいよ」って言われるイメージです。
私、面接官をした時に学生さんに聞いたかも。「入社後どんなことがしたいですか」とか「数年後、サイボウズでどうなっていたいですか」とか。
学生さんのやりたいことと、こちらが提供できることのすり合わせができるかなと思って。
僕は学生のころ、40歳になったら独立するって勝手に言ってたけどね。もうその歳も過ぎましたけど。
そうなんですか? もともと描いてたキャリアプランは実現しなかったってことですよね。後悔はしないんですか?
してないですね。独立はしてないけど、会社の中で自分がやりたいと思っていた仕事をやってきたので。結果は違ったけど、本質的には目指したことをできていると思ってます。
状況とともに変化していくものなんですね。
そこまで変わりやすいとなると、極論ですが、キャリアプランを考えることって無意味なんでしょうか?
そんなことはないと思うんだよね。キャリアプランを考えることで気づくことがあるから。
得意なこととか興味の変化とか、自分の内面を知ることにつながるし、社会人になってからもプランニングのスキルを磨くことは必要だしね。
10年後は長すぎるかもしれないけど、キャリアプランを考えることには意味がありますよね。この記事にもあるように、「まずは2年後の未来を考えてみる」というのも、1つではないでしょうか。
多様性には正解がない?──必要なのは共通のフォーマット
1人1人が働き方を選び取ることになったら、みんなが同じオフィスで、同じ時間に働くことが少なくなりますよね。そうなると多様性を認めることって大きく問題になると思うんです。
ただこの多様性って概念。とらえづらいんですよね。
僕はこの記事、好きなんです。CLAMP 大川先生が最後におっしゃった「みんなが『みんな違うのは当たり前だよね』という考えを持っているということは、多様じゃないんですよ。そういう社会が来ないことこそが多様性の証拠だと思います。」という言葉が響きました。
最近、多様性に寛容だと好意的にうけとられる、みたいな風潮がある気がしてます。でも「多様性、多様性」ってみんなが同じことを言っていることに疑問を感じていました。あまりほかの人が言わない意見を聞いて面白いなって。
多様性がいまいちピンとこないのって、日本人だからなんじゃないかな。友達がこの間アメリカで出産したんだよね。その時に出産に関して自分の文化的な習慣とか記入する用紙があったんだって。そこで「へその緒をとっておく」と書いたら、そのとおりに尊重して処置してくれるっていうのを聞いたよ。
その紙が存在するのは、いろんな文化や宗教が背景にあって、それをリスペクトしあうべきという考えが当たり前だからだよね。
多様な文化の中では一定のフォーマットが必要だと思う。でもそれはまだ日本にはないから、多様性をどう扱えばいいか混乱している状態なんじゃないかな。
サイボウズが議論のすすめ方のフレームワーク(問題解決メソッド)を共有している理由もそれですよね。多様性があったら多様な意見がでるのが当たり前という前提で、問題があれば「理想と現実」、「事実と解釈」を分け議論しましょう、という。
そうですね。多様性あるチームが個人個人の価値観を押しつけ合うと崩壊すると思うんですけど、多様性があるからみんなそれぞれだよね、って思っているチームだったらそこまで崩壊しないのかなって。
これはインターン生の伊藤さんが企画しました。約1年半「多様性」をテーマに企画を作ってきたんですよね。このテーマを追い続けて、なにか答えは見つけられましたか?
うーん、多様性って言葉には正解がないと思うんです。
一概にこれは多様性だ、これは違うって示すこともできなくて、クローン人間だけの世界にならない限り、多様性はそこに存在してるんじゃないかと。
ただそれを認めるか認めないかっていうのは、また別の話、というのが今の私の結論です。
サイボウズの常識は、世間の非常識!?
突然問題が起こった時に、会社のルールでなく個人の判断で行動できるのって、「自分で働き方を決めている」といえると思うんです。
もしサイボウズ式編集部でも同じことが同じ条件で起こったら、対応できますか?
選択肢がそれしかなかったら、きっとやるんじゃないですかね。
解決策をみんなで考えて実行できるのが健全な組織ってことなんでしょうか。
あまり仕事に直接かかわる問題ではないのかもしれませんが、こういう自由な判断ができるかどうかで会社のカルチャーがわかりますね。
あれもこれもやっちゃだめ、という風潮がある会社だと、ルールとしては決まっていなくても「これもやっちゃだめだろうな」って心理がはたらきそうですし。
多分、一般的な企業ならやらないと思うし、もしやっても社内外にシェアはしないですよね。
サイボウズでなければ、夫婦の問題としてなんとか解決して、上司に相談すらしないんじゃないでしょうか。
仕事のことだから上司に相談したんだろうけど、普通は「なんとかしろ」って言われて終わりなんだろうね。
記事の反響で、自分だったら絶対上司に頼みたくないって方もいました。判断軸が世間とサイボウズだと違うのかな。
サイボウズの常識は、世間の非常識。小原さんの名言のとおりですね。
「会社が幸せにしてくれると思ってた」──それ、熟年離婚の理由と同じじゃない?
働きたくなる会社とは何か、という問いにサイボウズ副社長の山田さんは「個人が幸せになることを大前提に仕組みを整えていく会社が、働きたくなる会社になるんじゃないかな。」と答えていらっしゃいました。
この結論は、会社だけでなく、社員が自分の働き方について考える責任を持つことによって成り立つと思うんです。これについてどう思いますか?
ますます必要になるでしょうね。「会社さん」って人は存在しなくて、1人1人が必要とされ、働いている中で「会社」が生まれてくるというか。
勤めていれば会社が幸せにしてくれるというロールモデルをもう提供してもらえないって、みんな薄々気付いてるんでしょうね。
わかります。もう大企業に入ればいいと単純に思っている人は少ないんじゃないでしょうか。
サイボウズくらいの規模の会社にいると、自分はどう働くのが幸せなんだろうとか考えちゃう。
自分の幸せは何か、って考えていくからこそ、働きたくなる会社が見つかるってことはありますよね。
だから学生は就職活動の時期に大学の授業を削ってまで、OB訪問や説明会に行ったり、自己分析をしたりして、自分の幸せはなんなのかって模索してると思うんです。
こんな本末転倒なことをしてまでやりたいことを考えているのに、3年で3割辞めるって謎ですよね。努力が結果につながらなすぎてヤバくないですか?
結局、会社に入ったあとは自力で頑張らなくても幸せになれそうだと思ってるから、それだけ入社前に頑張れるってことですよね。
熟年離婚みたいですね。 結婚するときは、相手が幸せにしてくれると思ったから受け入れてみたけど、相手を幸せにしてあげようという気持ちはなかった、みたいな。
深いな……。
一方で、入社して最初の2、3年って、会社がなくて個人で働いていくって無理だと思うんです。私自身、サイボウズ式編集部という肩書きがなかったら携われないことがたくさんありますし。
だから会社っていうのは自分の経験を増やすという意味ではすごい大事な存在だと思います。でもそこで止まってちゃダメで、個人の力で生きていけるように、成長するのを忘れないことが大事なんだと思います。
どこかで「会社にお世話になる時期」と、「会社をうまく活用して成長する時期」の転換期がくるんですよね。
そうなのですね……。
最後にうまくまとめたいんですけど、実はいい言葉が見つからないんです。でもみんな働く目的がちがうから、1つの結論を出す必要はないのかもしれませんね。
来年に向けて……
2016年のサイボウズ式の振り返りはいかがだったでしょうか。読者のみなさまの働き方に対して、何かヒントになったのであればうれしいです。2017年は、働き方に加え、「会社と個人のつながりや関係性」が注目されそうな予感も……? 来年もサイボウズ式をぜひご愛読ください。文:眞木 唯衣/写真:阿部 光博
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